黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『桜の首飾り』千早茜(実業之日本社)

2013-03-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
美術館で働く私は、昼休みの公園で出会った尾崎さんという初老の男性と、その後ちょくちょく同じベンチで言葉を交わす仲になった。彼はクダという狐を飼っているという。
人に感情を伝えることが苦手な私。それ故に恋人とも別れ、どこかがずっと壊れっぱなしなのだと思い、人と関わることに恐怖を感じてきたが……“春の狐憑き”、
花見の場所取りを頼まれた俺。雨宿りをしていた中で、ある女に囚われてしまった同じ季節のことを回想する。
引っ越し屋のバイトをしていた大学時代、仕事に出向いた先で出会った香澄という女。どちらかというと苦手なタイプの女だったが、ひょんなことからたびたび会うようになったが……“白い破片”、
お父さんがいた頃、一緒にみた白い桜を、密かに<ゆきはな>と呼ぶようになった。
元舞台女優だったというママは、小学六年生のあたしをグロテスクに飾りたて、あちこちのオーディションを受けさせようとする。
そんな日々の中で、近所の花屋さんにやってきた新しいお姉さんと親しくなり、たびたび彼女の元へ通うようになったが……“初花”、
友人の紹介で知り合った、一回り歳が離れている夫と結婚したわたし。なるべく彼の希望に添うようにと努力してきたが、自分が死別した妻の代わりとして見られていることを知り、裏切られていたと気づく。
そんな彼に密かな復讐を企むわたしは、気づかせることなく不真面目になって、嘲笑ってやろうと、男たちと行きずりの関係を結ぶ。
しかしバーで知り合った直哉は、純粋な飲み友達で……“エリクシール”、
会社帰りの神社の境内で、男に話しかけられた私(大島勉)は、小手鞠里子という女について聞かせて欲しいといわれる。名前に心当たりのなかった私だったが、携帯の画像を見たところ、それは「ゆきちゃん」だった。
国税局査察部の雇われ捜査官だというその男曰く、彼女は税務調査をしている人間の愛人で、何人もの男を騙している女だという。
しかし私が奢ったのは、和菓子ばかりだった……“花荒れ”、
就職が決まらず大学卒業後フリーターになった僕は、大学の総合研究資料館で働くことになったが、唯一の職場仲間である上司・一之瀬さんは、頑固で潔癖。
そんなある日、タカミネという女性が、 大学にあるはずだという人の皮…刺青の標本を見せて欲しいとやってきた。断られても日参してくる彼女の理由とは……“背中”、
二年前に亡くなった祖母・キヌの家の庭で、私(咲)がたびたび見かける少女の幽霊。
そこでカメラマンだというおかしな男に出会うが、彼にもどうやらその幽霊が見えている様子。彼の祖母がキヌの親友であったという。
冗談を解さない厳格な人だった祖母だったが、私が描いていたイラストを密かに認めていたことを知らされる。だが、姉の夫・孝文に媚びるような色合いの、自分のものではない作品を描いてしまったことに嫌気が差し、今では描くことをやめてしまっていた……“樺の秘色”の7編収録の短編集。

それぞれに桜が登場する作品を集めた短編集で、まさに桜の首飾り、という感じの一冊。
“春の狐憑き”が好みかな~。

<13/3/24>


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