黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『夢の棲む街』山尾悠子(早川書房)

2013-03-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
浅い漏斗状の円形劇場のある街に棲む<夢喰い虫>のバクは、街の噂の運び屋。街の娼館で暮らしている
その舞台を彩る劇場の踊り子たち<薔薇色の脚>は、ある日脱走。劇場に来ていた観客たちは怒り狂い暴動を起こす。
バク同様娼館に暮らす嗜眠症の侏儒は寝てばかり。彼はいう<その日は近づいている。その日を目指して幾つもの陰謀が進行している>と。
屋根裏部屋の天使たちは、シャム双生児のように接合し繁殖し、娼館の一室では頭を打ち抜かれた女が少しずつ傾いていた……“夢の棲む街”、
大学生・叡里の元に、姉の如き十歳上の従姉・三輪子から小学五年の娘・真赭を預かってくれと電話がかかってきた。
自分ひとりでは手に余ると、応援を頼むべく方々の知り合いに電話をするが、なかなか捕まらない。
そんな中、予定よりも早く真赭が来てしまう。彼女に京都の街を引っ張り回された叡里だったが……“月蝕”、
水上都市である、千の鐘楼の都。
売られる為に船に乗せられていた子供は、その地の領主の姫・水蛇に買われることに。
その子供は銀眼と呼ばれ、彼女と共に、夜毎、船に乗り館の外へと出かけていたが……“ムーンゲート”、
未完に終わった小説の草稿の断片…その作者は、完成の暁には<遠近法>という題が与えられる予定だと、私に語っていた。
その作者である男は、私と少しの間交流のあった人物で、<腸詰宇宙>と呼ばれる世界について書かれたものだった。それがボルヘスの作品「バベルの図書館」と似た話だと気づいた私は……“遠近法”、
領主の遠征に駆り出されていたぼくは脱走し、ある島へと上陸した。
そこにはシメールと名乗る少女がおり、彼女はその島が自分の領土であるかの如く振る舞っていた。
ぼくが遠征に出立する前、祖母は島に行って、自分が何者かで何をすべきなのかを尋ねるようにと言っていた……“シメールの領地”、
街の住人たちが《城》と呼んでいる会社で、O氏がひとり暮らしを始めたのは、言葉に憑かれたからだった。
数年間に渡り、彼を悩ませ続けているのは、たったひとつのある言葉……その言葉がどうしても思い出せないからだった。
ある夜、鍵番がやってきた。なれなれしく態度の大きい彼は、城の主が創り出そうとしている完璧な辞書《本》の存在を仄めかす。誰よりも早く、何としてでも読みたいと願ったO氏は……「PART1 O氏と鍵番」、
王国の領内にあるという、時を内に封じ込めた《館》を捜し出し、時の構造を解き明かすことに成功した者には、褒賞を齎らすという触れが出された。それは言い伝えの《館》のことだと噂する人々。
そんな中、小さい頃に神隠しに遭ったKは、その時に《館》に行ったことがあった。館に向けて旅立つことにしたK、そんな彼に着いて行き《館》にたどり着こうとするI。
昔、Kは、再び《館》を訪れると予言を受けたという……「PART2 シャングリラ」、
この世の果てのいちばん近い荒野に、星男が住んでいた。彼は、地下の廃墟に残っている女の事が気になっていたが、相手にしてもらえない。
一方、そんな夢を見ていた男は……「PART3 星男」、
皆が一同に会す空間。そして……「PART4 邂逅」の4部構成の“ファンタジア領”の6編収録の短編集。

山尾さんのデビュー当時の短編集。'78年に発行されたものですが、今でも古臭さを感じることなく、鮮烈なヴィジョンが浮かんでくる作品集でした。

<13/3/3~5>

『まる文庫』有限会社養老研究所(講談社)

2013-03-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
養老さんちの営業部長なにゃんこ(スコティッシュフォールドの雄)・まるの写真集と、養老さんの猫エッセイ“猫とまるに関する6つの考察”を収録した一冊。

『そこのまる』(ランダムハウス講談社刊)をベースに、新たな写真を加えて再構成され、養老さんのエッセイを追加した文庫版。『そこのまる』は既読。
スコ座り(スコティッシュフォールド特有のぬいぐるみ的な座り方。ここでは『どすこい座り』と言われてますが/笑)が、貫禄十分でめちゃめちゃらぶりーv
見てると思わず笑みが浮かびますね~(*´∀`*)

<13/3/5>