黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『七つの蕾』松田瓊子(国書刊行会)

2013-03-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
草場梢(コッペ)は15歳の色黒で元気な女の子。
草場家は、言語学者の父と明るい母、四人兄弟…梢の姉・百合子(サユリ)、虫好きな弟・譲治(ジョッペ)、末妹のナナ(ナコ)…の6人家族。稲村ヶ崎の海辺の家で仲良く暮らしている。
そんな梢の親友・日高黎子は、鎌倉山の邸宅で妹・このみ(みいみ)と父、使用人らと暮らしていたが、ある日リオデジャネイロから手紙が届き、八年前に母を、そしてその後父をも亡くしていた亡き母の従妹の十一歳になる息子・東条靖彦が、海外から日高家へ引き取られることが決まる。
その矢先、黎子の父が突然亡くなってしまう。寄る辺ない黎子は気落ちするが、梢の祖母に優しい言葉をかけられ、救われる。
そんな中、稲村ヶ崎の、山の上の別荘風の家・松籟館に、梢の父の知り合いの一家が越してくることに。資産家の今西正夫氏と、その娘である黒い服装の上品な女性。彼女に<ブラック・レディ>という呼び名をつけるが……

昭和初期の鎌倉を舞台に、育ちは違うけれど仲良しな梢と黎子の友情。そしてその兄弟である、子どもたちの日常を中心にした、およそ一年間のお話。
著者は、作家・野村胡堂氏(銭形平次の)の娘さんで、19歳の時に書かれた作品だとか(残念なことに若くして亡くなられたそうですが)。
小公女や小公子など海外の児童文学などの影響も垣間見えつつ、当時の子供たちの生き生きとした様子が楽しげ。

<13/3/11>