黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『少女外道』皆川博子(文藝春秋)

2010-06-14 | 読了本(小説、エッセイ等)
実家のあった一角に暮らす画家の久緒。五十年前に庭に植えられた桜とともに。
昔から家に出入りしていた庭師・政吉の息子・葉次に対して感じたある思いから、自分の歪んだ欲望の存在に気づいた彼女は、それをずっと秘めながら生きてきた……『少女外道』、
数ヶ月で百歳になるところだったという老女。生前一度も会ったことのないその老女…母の叔母・巻鶴トサカこと辛島志げの火葬の場へ赴くことになった青年・水沢裕樹。
面識の少ない親戚たちの中で、思いがけず自分が心酔する画家・笹尾苓が親戚だと知る……『巻鶴トサカの一週間』、
鳰子の叔父・一衛と結婚することになった女性・乙矢。彼女には双子の片割れ・甲矢がいたが、生まれる前になくなっていたという。乙矢に、誕生日プレゼントに欲しい物を訊かれたに解剖の道具が欲しいと告げた鳰子だったが……『隠り沼の』、
裕福な家の子供であった圭雄は、国民学校の同級生・コメこと西ヶ谷宏明からメンコを教えてもらった。コメは、兄・義一からお呪いしてもらった特別なメンコを持っており、それを見せて貰った圭雄は、そこに描かれた図柄をを見て、父の蔵書で見た有翼日輪を思い浮かべた……『有翼日輪』、
土地の風習で、生まれて間もなく産土神社に置かれることになった少女・瀧澤倫。彼女を置きに行くのは、母の妹・千江、居候している親戚・兜太がその拾い手として選ばれていた。しかし、兜太が現れる前に、通りすがりの男・梛子に拾われてしまい……『標本箱』、
女学校に通う佐倉梓。彼女が暮らす場所へ東京から、篠井江美子という少女が疎開してきた。周りから避けられていた彼女と、密かに親しくなった梓だったが……『アンティゴネ』、
両親を亡くし、裕福な伯父の家に引き取られた沙子。彼女は澪という少女と知り合い、手作りの手毬をもらう。
やがて、同じ家に居候していた伯母の弟・駿吉が出征することになり、澪は彼にも手毬を渡そうとするが……『祝祭』の7編収録。

耽美で背徳的な香り漂う短編集。時代的には戦中戦後が多め。
個人的には『少女外道』『標本箱』あたりが好み♪

<10/6/14>