黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『無月ノ橋 居眠り磐音 江戸双紙』佐伯泰英(双葉社)

2010-06-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
安永四年の秋。坂崎磐音は品川柳次郎の母・幾代からの誘いを受け、出かけることになった。
その前に、先般研ぎに出していた備前包平を受け取るべく、研ぎ師・鵜飼百助の屋敷に立ち寄った磐音は、そこで鵜飼に正宗を研ぐようにと迫る壮年の武家を諫めるが、そんな磐音に捨て台詞を吐いて立ち去った。彼は御小普請支配・逸見筑前守実篤の用人で高村栄五郎。鵜飼曰く、彼が持ち込んだ刀は、正宗と改鑿してあるが、元は妖刀と忌まれる勢州村正ではないかという。
帰宅した磐音は家の戸口に書状が差し込まれているのに気がつく。手紙の主は因幡鳥取藩の大寄合・織田宇多右衛門の娘・桜子。彼女の一途さを持て余し気味の磐音は、それを封を切らずに、亡き友人たちの位牌の並ぶ箱に乗せ、相談をする。
その後、柳次郎らと共に向かったのは、品川家の菩提寺・竜眼寺。萩の花が咲き乱れることで有名なそこでもてなされ、風流な気分を味わった磐音だったが、その帰り、騒動に巻き込まれ……“第一章 法会の白萩”、
佐々木道場に顔を出した磐音。将軍家治の御側衆である速水左近から、将軍の命により先の豆州の一件の褒美として、速水家伝来の刀・粟田口吉光を拝領することに。
その帰りに、六間湯に入っていた磐音の元に、地蔵の竹蔵親分が、笹塚孫一が辻斬りに遭い、重傷だと知らせにやってきた。笹塚は、ある用件で逸見の屋敷を訪ねた帰りに襲われたのだという。磐音は、知己の蘭方医・中川淳庵と桂川国瑞に彼の治療を依頼し、自分はその騒動を目撃した近くの屋敷の門番に話を訊きにゆく。どうやら襲ったのは二人の武士。臥煙(火消し人足)の寅吉が、その辻斬りらしき姿を見たらしく……“第二章 秋雨八丁堀”、
笹塚は無事快復。豊後関前藩の船の第二便も十日後に江戸に着くと、別府伝之丈と結城秦之助が知らせにやってきた。
そんな中、竹村武左衛門が用心棒の話を持って、訪ねてきた。
どうやらこの春に磐音たちが秩父から娘たちを連れていった、妓楼・一酔楼の主・千右衛門が、昔の同輩の借金の保証人になったことから、騒動に巻き込まれており、店の権利を明け渡せと迫られているらしく……“第三章 金貸し旗本”、
六間湯にいた磐音の元に、桜子が駕籠で乗り込んできた。先の書状は昼餉の誘いだったのだが、開封することをすっかり忘れていた磐音。
その後、淳庵と国瑞らとともに宮戸川で鰻を食べる約束をしていたことから、その席に桜子も誘う。彼らと共に楽しく過ごし桜子を屋敷に送った磐音は、殺気を感じる。
一方、桜子が乗り込んできた話を耳にしたおこんは、磐音に対して不機嫌な態度を取って……“第四章 おこん恋々”、
秋が深まりを見せる中、十八大通の髭の意休が、莫大な金子を楼主に支払い、白鶴太夫を吉原の外へと連れ出し、紅葉狩りを楽しもうという計画したという。ところが、白鶴がその誘いに乗った場合には、危害を加えるという脅し文が届けられたと、吉原会所の四郎兵衛から知らせを受けた磐音。脅した相手は、日ごろから意休のことを快く思っていない、同じ十八大通の暁雨らしい。
陰ながら白鶴を守るべく磐音は……“第五章 鐘ヶ淵の打掛け”を収録。

シリーズ第十一作。
磐音が奈緒を想っていることを知っているだけに、自分の気持ちを伝えられないおこんが切ないですね~。
桜子ほど率直になれない部分がかなり損をしてますが、きっと報われる日も来るはず!

<10/6/25>