『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』深水黎一郎（講談社）

プッチーニ作曲の歌劇『トスカ』。
昨年落成したばかりの上野のニュー・トーキョー・オペラハウスで、日本を代表するオペラ演出家・郷田薫による『トスカ』を上演中、悪役スカルピアを演じていたベテランバリトン歌手・磯部太が、ヒロインの歌姫トスカを演じていた主演女優・中里可奈子のナイフにより、死を遂げた。本来は精巧に作られた偽物だったはずのナイフを、何者かが本物にすり替えたらしい。
その事件を担当することになった警視庁捜査一家の海埜刑事たち。
そこに現れたのは、海埜の甥である芸術フリークの神泉寺瞬一郎。彼は、トスカに出演していたテノール歌手・藤枝和行と知り合いで、この舞台を観にきていたのだった。
その偽物ナイフを本物そっくりに作らせ、リアルな演技指導をしたのは郷田。しかし彼自身は、その時ロンドンにいた。
そんな中、帰国した郷田が斬新な解釈による新演出のトスカを予告した会見後、さらに事件がおき……

芸術探偵・神泉寺瞬一郎のシリーズ…らしいのですが、1作目は読んでません（笑）。
薀蓄満載で衒学的なのですが、その割には専門知識がなくても、あまり重さは感じないような…。テキストの読み替えの話はとても興味深かったです。
でも、実際の『トスカ』を知っていた方が、より楽しめるのは請け合いですね。

<10/6/3,4>