黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『薔薇を拒む』近藤史恵(講談社)

2010-06-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
両親を事故で亡くし、施設で育った内気な少年・鈴原博人。
大学進学への援助を得る為、和歌山の山奥にある、裕福な事業家・光林康雅の屋敷で働くことを決めた…そこで三年働いて、大検で大学に合格すれば、その在学中の四年間の学費と生活費は彼が負担してくれるという、好条件を提示された為だ。
博人同様の条件で、同い年の少年・樋野薫も一緒に働くことになったのだが、彼にも複雑な事情があるらしい。
主人の光林は不在がちで、そこで専ら暮らしているのは身体の弱い妻・琴子、令嬢・小夜。そして小夜の家庭教師を務める・角倉幸。屋敷のことを取り仕切っている男性・中瀬、住み込みのお手伝いさん・登実、通いできている女性・弥生がいる。
真っ白なグレートデーン・桃子と戯れる、美しい小夜の姿に、次第に惹かれてゆく博人だったが、やがて、湖に浮かぶボートで殺人事件が発生。
捜査にやってきた和歌山県警の刑事・村上は、この家は弾薬庫のようだというが……

陸の孤島に建つ館で働くことになった身寄りのない美少年ふたりと、そこに暮らす美少女。さらに周囲の人々。それぞれに秘めている思いや思惑があり、愛憎渦巻く中で殺人事件に発展してゆくゴシック・ミステリ(…というよりはサスペンス?)。
ラストがとても印象的(個人的には、彼女は事実に気づいているのでは、と思うのですが、果たして真実は如何に)。

<10/6/22>