不義密通相手・梶井兵衛門と出奔した妻・お登勢を女敵討ちするため、幼い娘のお艶を連れて、久居藩を出た矢萩源九郎。しかしそれから六年、それを果たせぬまま流浪の末倒れた二人は、通りかかった住職・正真と青年僧・正念に救われる。今際の際、源九郎は、正真に娘に新たな名をつけて欲しいと頼み、息を引き取った。その願いを受けて、同じ音で“お縁”と名付けられた彼女は、彼らの寺…死者の弔いを専門とする墓寺・青泉寺に身を寄せることに。その仕事に接する中で、その仕事の大切さを感じてゆくお縁。
そんな中、菓子屋桜花堂の後妻・お香と主人・佐平が見初め、お縁を彼らの養女にという話が持ち上がるが……『出世花』、
三昧聖(湯灌師)として、寺で働くことになったお縁は、正縁と名乗ることに。女性の湯灌の依頼を頼まれることも多くなった。
寺にも出入りしている、龕師(柩職人)の岩吉は、“一枚岩”と噂されるひどい面相の持ち主だが、ひょんなことから心根の優しい人だと感じるお縁。
巷では、内藤新宿では髪切り魔が横行しているという。臨時廻りの同心・窪田主水から曰く、内藤新宿で評判の小町娘・油屋久兵衛の娘・お紋と同じ兵庫髷という結い方をしている女性が狙われているという。
そんなある日、さる藩主の正室ふみの乳母の湯灌を依頼されたお縁は、その屋敷からの帰り道に転んで怪我をし、岩吉に助けられた。
ところが、そんな岩吉が、お紋を襲った髪切り魔の下手人として捕らえられて……『落合蛍』、
お縁の噂は巷で評判に。そんな話を聞きつけて、ある日、寺に三昧聖に会わせろとひとりの女郎がやってきた。彼女はかがり屋という女郎屋の女郎・てまり。彼女が慕う、通いの女郎・おみのが病に床に伏しているのだが、そのおみのを湯灌して欲しいのだという。
住職の許可を得、五日間おみのと一緒に暮らすことになったお縁。
そんな中、評判の良くない地廻りの卯之吉が、てまりを番屋へ引き立ててていった。彼女の客である万蔵を殺害した下手人だというのだが、その誤解は定廻り同心の新藤によって解かれた。新藤曰く、同じような死に方をした男が、他にも二人いるのだという……『偽り時雨』、
正念の元に彼の母・咲也の危篤を知らせる者がやってきた。彼は出家前、さる大名家の若君だったというのだが、その話を聞いても耳を貸さず、優しい彼らしくない態度で冷たくあしらう。
さらに寺にやってきた、尾嶋多聞の娘・あや女…彼女は正念の異父妹。君主から咲也に下げ渡されたのが、たまたま功のあった彼女の父だという。正念には何人かの兄がいたのだが、次々亡くなり、彼のところまで順番がまわってきたところで突然出家したらしい。
やがて咲也は亡くなり、湯灌を頼まれたお縁は……『見送り坂暮色』の4編収録の連作短編集。
墓寺の住職たちに救われた少女・お縁が、三昧聖と呼ばれる湯灌師として成長する話。江戸版おくりびと的な感じ。
高田さんの作家デビュー作(表題作が)だそうですが、扱う題材は違うまでも、その後の作品にも通ずるものを感じますね~。
<10/6/23>
そんな中、菓子屋桜花堂の後妻・お香と主人・佐平が見初め、お縁を彼らの養女にという話が持ち上がるが……『出世花』、
三昧聖(湯灌師)として、寺で働くことになったお縁は、正縁と名乗ることに。女性の湯灌の依頼を頼まれることも多くなった。
寺にも出入りしている、龕師(柩職人)の岩吉は、“一枚岩”と噂されるひどい面相の持ち主だが、ひょんなことから心根の優しい人だと感じるお縁。
巷では、内藤新宿では髪切り魔が横行しているという。臨時廻りの同心・窪田主水から曰く、内藤新宿で評判の小町娘・油屋久兵衛の娘・お紋と同じ兵庫髷という結い方をしている女性が狙われているという。
そんなある日、さる藩主の正室ふみの乳母の湯灌を依頼されたお縁は、その屋敷からの帰り道に転んで怪我をし、岩吉に助けられた。
ところが、そんな岩吉が、お紋を襲った髪切り魔の下手人として捕らえられて……『落合蛍』、
お縁の噂は巷で評判に。そんな話を聞きつけて、ある日、寺に三昧聖に会わせろとひとりの女郎がやってきた。彼女はかがり屋という女郎屋の女郎・てまり。彼女が慕う、通いの女郎・おみのが病に床に伏しているのだが、そのおみのを湯灌して欲しいのだという。
住職の許可を得、五日間おみのと一緒に暮らすことになったお縁。
そんな中、評判の良くない地廻りの卯之吉が、てまりを番屋へ引き立ててていった。彼女の客である万蔵を殺害した下手人だというのだが、その誤解は定廻り同心の新藤によって解かれた。新藤曰く、同じような死に方をした男が、他にも二人いるのだという……『偽り時雨』、
正念の元に彼の母・咲也の危篤を知らせる者がやってきた。彼は出家前、さる大名家の若君だったというのだが、その話を聞いても耳を貸さず、優しい彼らしくない態度で冷たくあしらう。
さらに寺にやってきた、尾嶋多聞の娘・あや女…彼女は正念の異父妹。君主から咲也に下げ渡されたのが、たまたま功のあった彼女の父だという。正念には何人かの兄がいたのだが、次々亡くなり、彼のところまで順番がまわってきたところで突然出家したらしい。
やがて咲也は亡くなり、湯灌を頼まれたお縁は……『見送り坂暮色』の4編収録の連作短編集。
墓寺の住職たちに救われた少女・お縁が、三昧聖と呼ばれる湯灌師として成長する話。江戸版おくりびと的な感じ。
高田さんの作家デビュー作(表題作が)だそうですが、扱う題材は違うまでも、その後の作品にも通ずるものを感じますね~。
<10/6/23>