黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『暁の密使』北森鴻(小学館)

2006-01-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
時は明治、諸外国の間に緊張が走る中、仏教の原典を求めて中国大陸に渡った東本願寺派僧侶・能海寛。
そんな彼の目的地は、西蔵(チベット)の聖地・拉薩(ラサ)。
あくまで、純粋に仏教の為、人々に助けられつつ、苦難の旅を続ける能海だったが、そんな彼を日本からの密使であるとつけ狙う影が……。

実在の人物を題材としているのでしょうがないのでしょうが、ラストがとても微妙;
もっとフィクション要素が多くてもいいかも。

<06/1/24,25>

『SILVER DIAMOND 7』杉浦志保(冬水社)

2006-01-24 | 読了本(漫画)
旅を続ける羅漢たちは、暗黒地図にあった『笹丘一族所有の別の倉』に到着。
ところが石の倉であるはずの建物には、壁はなく骨組みのみ。しかし中の家具や柱に痛みはなく、老朽化したわけではない様子。そしてその柱には、獣の爪あとが……。
そこへ彼らを襲う石の獣が出現。それは、金隷からのあらたなる刺客・白河白琵の操るものだった……。

“男4人inメルヘンハウス。”に爆笑(笑)。
あとは、怖い外見なのに、翻訳された言動が妙に可愛らしい石狼のクロが……(笑)。

<06/1/24>

『あなたが名探偵』泡坂妻夫、西澤保彦、小林泰三、麻耶雄嵩、法月綸太郎、芦辺拓、霞流一(東京創元社)

2006-01-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
蚊取湖のほとりで男性が殺害された。そしてその首には包帯が。彼は前日、病院にいたのを目撃されていた、東京から来た自称作家の男性で……泡坂妻夫『蚊取湖殺人事件』、
殺害されたのはリストラされ家にいた男性。妻の昼食用に用意したお弁当を、彼自身は食べておらず、また弁当箱の中身が捨てられた形跡もない……西澤保彦『お弁当ぐるぐる』、
森の中にある別荘で殺されていた高利貸しの男。そこには、彼に借金を負う人々が集っていたが、当時部屋は密室状態で……小林泰三『大きな森の小さな密室』、
自室で殺されていた学生。部屋は荒らされ、彼が大事にしていたヘリオスの神像も破壊されていた。さらにガスコンロ、エアコンはつけっぱなしで……麻耶雄嵩『ヘリオスの神像』、
双子同士で結婚したカップル。ところがその一組は事故で亡くなり、残る一組の経営するホテルで、殺人が。被害者は「偽者にやられた」というダイイングメッセージを残し……法月綸太郎『ゼウスの息子たち』、
ペンションを訪れた男女5人。ところが女性が殺害され、客室で遺体が発見される。そして鉄仮面を被った全裸の女性が……芦辺拓『読者よ欺かれておくれ』、
高原の別荘での殺人事件。遺体発見時にあったはずの男性の左手首は消え、何故かバーベキュー場で焼かれていた……霞流一『左手でバーベキュー』の7編収録。

『ミステリーズ!』に掲載されていた犯人当て小説。掲載当時、『蚊取湖~』と『お弁当~』は応募したのですが、あえなく撃沈;『ヘリオス~』は一応考えたのですが、まとめてる時間がなくて、結局応募すらできませんでした(笑)。

<06/1/23>

『アコギなのかリッパなのか』畠中恵(実業之日本社)

2006-01-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
突然押し付けられた腹違いの弟・拓を養うため、元大物国会議員・大堂剛の事務所『アキラ』で事務員として働いている、21歳の大学生・佐倉聖。ところがただの事務員のはずが、大堂が会長を務める、若手政治家の勉強会『風神雷神会』に所属する議員たちから次々に持ち込まれる問題を、解決するはめになってしまい……という連作短編集。

若手議員・大石梨花の後援者・羽生の家で飼っている猫の毛色が変わるという。早速、件の家に出かけた聖は、そこで三毛猫を見かける。ところが、飼われている猫は、茶々という名のトラ猫で……『五色の猫』、
『王子様』と呼ばれ、人気の若手政治家・加納聡(聖は彼が嫌い)。彼の地元の後援会幹部が、何者かに殴打される事件が発生て……『白い背広』、
議員・小島の秘書・酒井が、突然宗教団体へ入信。その際に、議員所有の絵画『月下の青』を持ち出し、宗教団体に寄進したことが発覚。それを奪還すべく、小島の女性秘書・真木瞳と共に乗り出した聖は……『月下の青』、
聖が助っ人にいった選挙事務所で、夫婦喧嘩をしていた夫婦。ダイエット中で甘いものを控えているはずの彼の体重が、選挙事務所を手伝うようになってから、一向に減らないのだという。しかし、事務所ではおやつは出しておらず、商店街では彼に甘いものを売らないように、妻が根回ししている。彼はいったいどこで食べているのか……『商店街の赤信号』、
事務所で2人の若者を預かることになった。どちらかが大堂の『子供』であるという噂もちらほら。そんな中、姿を消していた父が突然現れ、聖は気もそぞろ。しかも拓を連れて再び姿を消してしまい……『親父とオヤジとピンクの便せん』、
都議会議員選挙に立候補した大堂の秘書・小原和博の選挙事務所を手伝う聖と、選挙日の様子を描く『政治家事務所の一日』、『選挙速報と小原和博』を収録。

ミステリとしてはネタは弱めですが、題材は興味深く、各キャラも立ってて楽しく読めました♪
できればシリーズ化して欲しいですが、その場合、シリーズタイトルは、これじゃ長すぎですよねぇ(笑)。

<06/1/22>

『家賃』月村奎(新書館)

2006-01-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
中学教師の遼の前に、彼の勤める中学校の卒業生で、現在は人気アイドルグループのメンバー・望月和哉が現れた。問題を起こして雲隠れ中の和哉は、彼の担任教師ですらなかった遼をあるネタで脅し、強引にそのアパートに居座る。しかも居候ながら態度の大きな和哉。
ある日“家賃はカラダで払う”…という軽口を叩いていた彼が、本当に札束を持ってきた。それを見た遼は……『家賃』、
晴れて結ばれた2人。ひょんなことから、同じ誕生日であることが判明し、和哉はわくわくするが……続編『家賃+α』の2編。

『家賃』という、BL小説らしからぬ固いタイトル(笑)が、いかにも月村さんらしい感覚だなぁと思ったり。
繊細な心理描写が好きなのですが、そちらは今回いま一つ踏み込みが足りない感じかも;(月村さんの、他の作品を基準にすると)

<06/1/22>

『わくらば日記』朱川湊人(角川書店)

2006-01-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
和歌子の、病弱だが美しい姉・鈴音には、人や物の過去の記憶を“見る"能力があった。
ある日和歌子の友人の弟がひき逃げ事故に遭い、その犯人を探すべく、過去を“見た"鈴音。ところが和歌子が、淡い恋心を抱く警官・秦野に姉の能力とそこから得られた“真実"を話してしまった為に……『追憶の虹』、
前の事件で知り合った刑事・神楽から、女子高生を殺害した犯人の真意を探る為に“見て"ほしいと頼まれた鈴音は……『夏空への梯子』、
台風で避難したことをきっかけに知り合った女性・藤谷茜。姉妹とも仲良くなった彼女だったが……『いつか夕陽の中で』、
茜の住むアパートの慶應の学生・笹森。彼に茜が手品でダマされたと、姉妹のもとに相談に来たことから知り合う。やがて鈴音と笹森は、互いに憎からず思うようになるのだが……『流星のまたたき』、
母から頼まれ、口うるさいおばあさん・クラの元へ生地を届けにいった和歌子。ところがそのクラに、近所の男子高校生殺害の容疑が……『春の悪魔』の5編収録の連作短編集。

和歌子の回想によって綴られる物語。『姉さま』という呼び方が良いです♪
昭和30年代という、時代設定もあいまって、切ない雰囲気の漂う作品集です。

<06/1/21>

『マヂック・オペラ ニ・ニ六殺人事件』山田正紀(早川書房)

2006-01-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
昭和11年。
乃木坂の置屋で芸者・照若が刺殺され、詳細は『“乃木坂芸者殺人事件”備忘録』と縊死した囚人の手による『感想録』に綴られていた。
上司の命令で、刑務所にいる“検閲図書館”黙忌一郎に会い、『押絵と旅する男』の映画を見た、特高の警部補・志村恭輔。
その映画で芥川龍之介に扮していた男・遠藤平吉も同じ刑務所内にいたが、彼は、自分が変装した人間と過剰に同化してしまい、ついには自らの存在すら消してしまうという特異な能力の持ち主であると知った志村。
さらに黙に見せられたニュース映画では、『押絵と旅する男』において、乱歩に扮していた男が元陸軍大臣・真崎甚三郎を演じていた。
黙からの依頼により、彼の正体を調べることになった志村は、やがて発覚していく陸軍『青年将校』の決起計画と、それを扇動する謎の人物の影に行き着くが……。

副題に『二・二六殺人事件』とあるように、二・二六事件の影に潜む真相に迫る歴史ミステリ。でもかなり乱歩風味な感じ(笑)。
オペラ3部作の2作目とのことですが、完結編となる3作目はどの辺が舞台になるのか気になります(笑)。

<06/1/19,20>

『やがてマのつく歌になる!』喬林知(角川書店)

2006-01-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
異世界に行ったきり、消息がつかめなくなってしまったユーリを連れ戻すべく、ナイヤガラの滝逆流計画を目論む兄・勝利は、成田空港でのキャンセル待ちの間に怪しげな日本語を操る少女と出会う……彼女の名は、アビゲイル・グレイブス。
一方、聖砂国への船旅中のユーリ。サラレギーの目を盗み、神族の難民たちを救おうと画策していたのたが……。

明らかになったサラレギーの意図。そしてラストで意外な人物が現れたり……どんな展開になるのか、楽しみですね~。

<06/1/18>

『これがマのつく第一歩!』喬林知(角川書店)

2006-01-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
魔王・渋谷有利は、護衛役のヨザック、小シマロン王・サラレギー、そして大シマロンの使者となったコンラッドたちと共に、神族たちが住むという聖砂国への船旅を続けていた。
一方、地球に取り残された親友・村田健は、いつもは(地球時間で)数分で帰る彼がいつまで経っても帰ってこないことを心配し、解決策を探す為、渋谷家に……。そこで兄・勝利が、ボブと知り合いであることを知り、連絡をとるよう頼むムラケンだったが……『これがマのつく第一歩!』、
他国へ留学中だったユーリの養女・グレタが巨大な蝉と共に帰国。一方、ユーリは暗殺(されない為の)訓練をすることに……。折しもヨモギ熱という奇病が流行り……『マ王陛下の優雅な一日』の2編。

ギュンターの養女・ギーゼラの軍曹っぷり(笑)が楽しかったですが、本編の終わり方は、ちょっと切ないです;(短編のあの2人の関係が昔通りだっただけに、より…)

<06/1/17>

『メディエータ2 キスしたら、霊界?』メグ・キャボット(理論社)

2006-01-16 | 読了本(小説、エッセイ等)
女子高生のメディエータ・スザンナ(スーズ)の、片思いの相手は、彼女の家に憑いている150年前に亡くなった美形のゴースト・ジェシー。
キスはしたものの、2人の関係に進展はなし。2人の立場の微妙さ、そして肝心なジェシーの気持ちがわからず、悩むスザンナ。
そんなところへ、前回危うく殺されそうになった天敵のポールが転校してきた。しかも、彼を避けようとするスザンナに、しつこくあの手この手で近づいてきて……。

まだまだ何か隠してそうなポールも気になりますが、何といってもスーズとジェシーの恋の行方が見処でしょう……てゆーか、長生きしてるのに(いや死んでるけど/笑)、恋に不器用すぎだろ>ジェシー……とツッコミを入れたいです(笑)。
ジェシーとポールの喧嘩のどたばたさ加減とかも、アメリカンだなぁ(豪快?)ととても楽しめた作品でしたが、クレイグの話が唐突な終わり方が、ちょっと拍子抜けな感じが;

<06/1/16>