黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『奇蹟審問官アーサー 死蝶天国(バグズ・ヘブン)』柄刀一(講談社)

2009-05-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
パミール高原やヒンドゥークシ山脈につながる高地にも近い国。そこに住む女性ライラ・エバーワインの千里眼の能力が奇蹟にあたるのかを調査する為、ヴァチカンから訪れた奇蹟審問官のアーサー・クレメンス。
ところが、彼女は“霊の住処”と呼ばれる山小屋で、頭に針を突き刺されて殺害された。しかも、高い位置にある窓以外は全て閉ざされた状態で建物の中で……『ACT1 バグズ・ヘブン』、
オーストリアの山岳地帯。チロル州の州都インスブルックから車で3時間ほどの別荘地。
氷河が洞窟の奥で崩れ落ちた時の音が、山の魔物の遠吠えのように聞こえる“白魔(アルプ)の咆哮”が聞こえる別荘に招かれた、女性オペラ界の女王イザベラ・ガッレラーニの声で、この現象を引き起こした後、別荘の主人シュテファン・ゴッドバルドが銃で撃たれて死んでいた。現場近くの階段に残されていた階段には、まるで空から来たかのような足跡が残されていて……『ACT2 魔界への十七歩』、
ペルーの中部の遺跡近くの教会の神父ニコラス・アルバラードが、その死後も生前のままの姿を留めた死体となって発見された。しかも聖痕のような現象も現れており、ヴァチカンから奇蹟審問官として、アーサーと老齢のアレッサンドロ・バレトの2人が派遣された。
一方、その遺跡の発掘調査で亡くなった、リマ大学の考古学教授デレク・クーパー。その助手アントニア・レギーアは、彼が“生きている屍”となっている姿を目撃しており……『ACT3 聖なるアンデッド』、
チベット。ダライ・ラマ14世と並ぶように人々を導き、救済していたサムドン・ゲンポ12世が他界して2年。その転生者の出現が待たれたが、なかなか見つけることができない。老僧ティサンは、たまたまその地を訪れていたアーサーの助言によりようやくその候補者たる男子・ロサスを見つけ、その最終判断を下す神託官が送られてくるのを出迎える際に、たまたまアーサーに再会する。
一方、41歳の若さで死を迎えようとしている男・タシは……『ACT4 生まれゆく者のメッセージ』の4編収録。

シリーズ第3弾。ACT3が長めで、ACT4はごく短いお話です。
トリック自体よりも、事象を宗教的なものと結び付けてしまう心理状況が興味深いですね~。

<09/5/11>