黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『時のかさなり』ナンシー・ヒューストン(新潮社)

2009-05-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
2004年、アメリカ・カリフォルニア。
父・ランダルと母・テッサに甘やかされて育ち、自分は天才だと思い込んでいる、6歳の少年・ソル。母は暴力的な物を嫌い、彼に残酷な映像などを見せないようにとしているが、早熟なソルは自分のパソコンでイラク戦争の残虐シーンなども容易く検索してしまう。
そんな彼には、こめかみと頬の間にアザがあった……彼の家族には、場所を変えながら各世代に受け継がれているアザがあるのだ。
しかしそのアザが自分の欠陥であると思っているソルは、母の提案に従いそれを除去する為の手術を受けることに……第一章 ソル、二○○四年、
1982年。左肩にコウモリのように乗っているアザを持つ6歳の少年・ランダル。
ニューヨークで、劇作家の父・アーロンと、学者の母・セイディと暮らしているが、母は研究の為に留守がち。
セイディの母は、世界的に有名な歌手・エラ。エラは、カナダで育ったのだが、それ以前はドイツで暮らしていたらしい。セイディはそのルーツ探しに関わり、ナチス統制下の中で行なわれた“レーベンスボルン”について調べており、その研究の為に、イスラエルのハイファという町に引っ越すことに……第二章 ランダル、一九八二年、
1962年。左のお尻にアザを持つ6歳の少女・セイディ。
17歳で彼女を産んだ母・クリスティーナは、歌手として飛び回っており、彼女はカナダで厳格な祖父母と共に暮らしていた。
そんな中、母がマネージャーのピーターと結婚することになり、セイディはニューヨークで彼らと一緒に暮らし始めた。
母は、芸名をエラに改名し活動を始めるが、そこに謎の男が現れる……第三章 セイディ、一九六二年、
1944年。ドイツで暮らしていた歌の好きな6歳の少女・クリスティーナ。
父と兄は出征、祖父母と母、姉・グレタと共に暮らしていたが、やがて兄が戦死したとの知らせが届く。
クリスマスに姉がもらったプレゼントの人形を羨み、その人形にアナベラと名付け密かに可愛がっていたのだが、それをひょんなことから姉に知られてしまい、喧嘩に。その口論の中で、自分がこの家の娘ではないことを知ってしまう。
そんな中、ヨハンという無口な少年が養子としてやってきたが……第四章 クリスティーナ、一九四四~一九四五年 の4章編成。

ある一族の60年の歴史を、それぞれ6歳の子供の視点で綴ったお話。
情報量が制限され、それでいて多感でいろいろなものに興味を持つ6歳の視点で描かれている上、時間を遡っているので(結論としての“現実”があり、その理由はその時点ではわからない、という状態が)ちょっとミステリのようで面白いです。

<09/5/7,8>