黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『白蝶花』宮木あや子(新潮社)

2008-07-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
大正後期。貧しさゆえに、それぞれ13歳と12歳で有馬の温泉芸者の置屋に売られた姉妹・菊代と雛代。しかし女衒が同じ店に売ってしまったことから、仲が悪くなってしまった2人。やがて菊代には、やくざの組長・吉岡が旦那に付いたが、吉岡の組と兄弟盃を交わしている組の跡取である黒田と関係を持ってしまう。やがて黒田は、雛代の旦那になるが……『天人菊』、
事業失敗の末、自殺をはかった父に売られ、女学校を辞めて、自分よりはるかに年上の資産家・三島章太郎の6番目の妾として入ることになった如月泉美。ある日、彼女の住まう家に三島の長男ながら冷遇されている吉明がやってきた。いつしか彼のことを思うようになった泉美だったが……『凌霄葛』、
戦争の影も色濃くなりはじめた頃。山形の酒田から福岡県知事を務める漆間誠一の屋敷に女中として奉公にきた千恵子。彼のわがままな一人娘・和江の相手をまかせられた千恵子は、いつしか彼女の傍らにいることを約束する仲に。ところが、千恵子が書生として館にやってきた政吉と恋仲になってしまったことからその関係は崩れてゆく……『乙女椿』、
戦後。人と交わることを拒む和江。ある日、三越デパートで二階堂正文という青年に出会い、ひょんなことから彼とたびたび会うことに。しかし彼はかつて和江が縁談を断った相手の弟で……『雪割草』の4編収録の連作集。

大正末から戦後へと移る時代の中で、懸命に生きる女たちの物語。『乙女椿』のみ中編で、それぞれに内容がリンクしてます。
時代に翻弄されながらも、したたかに生き延びていく女たちの強さを感じました。
……あ、ここに出てくる三島は、あの三島と同じ家系?

<08/7/21>