黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『戸村飯店青春100連発』瀬尾まいこ(理論社)

2008-07-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
大阪の下町・住ノ江。祖父の代から始めた中華料理店・戸村飯店の息子・戸村コウスケは高校2年生。
1つ年上の兄・ヘイスケは顔も要領も良くモテモテな上に、どんな忙しい時も店を手伝わず、働くのはコウスケばかり。そんな兄は卒業と同時に家を出、小説家の勉強をするため、東京の専門学校への進学を決めていた。
そんな中、ほのかに思いを寄せる同級生・岡野から、兄へのラブレターの代筆を頼まれたコウスケだったが……第1章、
東京の花園総合クリエータースクールのノベルス学科に入ったヘイスケ。しかし通い始めて3日にしてすっかりあきらめモード。端からは要領がよく見える彼だったが、大阪でもここでも、自分がそこに溶け込めていないような疎外感を感じていたのだった。そんな中、たまたま連れて行かれた学校近くのカフェレストランRAKUで見かけたアルバイト募集の張り紙に目をとめ、そこで店長の品村にアルバイトを申し出る。……第2章、
兄がいなくなって2カ月と少し。コウスケは3年生。1学期ももうすぐ終わる。大学に行かず、店を継ぐと決めているコウスケは、全身全霊をかけて高校生活を満喫するつもりだった。1学期最後を締めくくる行事、合唱祭の指揮者に立候補。ピアノを習っている岡野が伴奏をしてくれることを期待してのことだったが、その願いもむなしく、満場一致で北島君に決定。そんな中、岡野からヘイスケがすでに学校を辞めたと聞かされ、おまけに彼女が東京で兄に会ってきたと知り……第3章、
学校を辞め、講師だった岸川アリサと付き合うようになったヘイスケ。10月も半ばを過ぎた水曜日。店の常連である竹下の兄ちゃんが上京してきた。ディズニーランドへの家族旅行の下見にやってきたのだという。そんな彼に付き合うことになったヘイスケだったが……第4章、
文化祭、体育祭もつつがなく終わり、2学期も終盤を迎えていた。最後の三者面談で、いつもは来ない親父がやってきた。その場で進路を訊かれたコウスケは、店を継ぐと宣言したが、その言葉に何故か親父がキレた。出てけといわれ、急遽大学進学することになったコウスケ。困った彼は上京し、ヘイスケに相談し……第5章、
3月の終わり。品村から正社員にならないかといわれたヘイスケは悩んでいた。そんな中、コウスケは無事大学に合格。そこで以前、親父に渡された茶封筒をコウスケに渡す。そこには金と親父からの手紙が入っていて……第6章。

戸村飯店の2人の正反対な息子たちの青春コメディ。第1章は『Re-born』に掲載されていた短編『ゴーストライター』に加筆修正されたもの。
章ごとにそれぞれの視点での語りになっています。
不器用な2人の姿がどこか微笑ましく、好感が持てました。そして何といっても戸村父が最高(笑)。

<08/7/3>