黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ヴァン・ショーをあなたに』近藤史恵(東京創元社)

2008-07-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
ある日、志村シェフに三舟シェフが怒られているという、珍しい場面に遭遇した高築。どうやら店先にいた野良猫に、三舟がつい残り物を与えてしまった為に、居ついてしまったらしい。家では飼えない三舟は、やむをえず飼い主を募集することに。そこで名乗りをあげたのは、以前同じような黒猫を飼っていたという近所の田上夫妻。そこの家のスキレット(鉄製の重いフライパン)は、どんなに手入れしても何故かすぐに錆びてしまうのだという……『錆びないスキレット』、
三舟と志村の知り合いである料理人・南野から、パ・マルからそう遠くない場所に、ル・ヴァンテアンというフランス料理の店を開店したとの知らせが届く。
それから数ヶ月後。予約客からベジタリアンだということを急遽知らされ、当日になってメニューの変更をさせられるが、その客である2人の女性は、あるフランス料理店で食べたスープ・ド・ピストゥが美味しかったという。その店とは、南野がシェフを務める店。しかし、彼が作るのは“フランス伝統のピストゥ”だといっていたという言葉に、三舟たちは……『憂さばらしのピストゥ』、
パ・マルのオーナーである小倉が新しく、パン屋を出店するという。斎木と中江という若い女性2人が共同で経営し、本格的なフランス風のパンを売ろうとはりきっているが、その近所には昔ながらのパン屋・ブランがあった。パンの傾向が違うため、客層はかぶらない読みだった。ところが、開店を1週間前にブランが閉店。そんな中、中江が行方不明に……『ブーランジュリーのメロンパン』、
金子から三舟に好きな人がいるらしいと相談された高築。たびたび店に訪れてはブイヤベースを注文している女性、“マドモワゼル・ブイヤベース”新城の存在が“気になる”といっていたらしい。ところがその翌日、彼女が男性と一緒に現れて、三舟の失恋決定かと思われたが……『マドモワゼル・ブイヤベースにご用心』、
圭一が一緒に住んでいた杏子が家を出ていった。圭一は大学の友人の妹である彼女に、ずっと思いを寄せていたが、彼女には結婚直前までいった婚約者・寺坂悠人がいた。しかし寺坂が傷害事件を起こした為、破談に、残された彼女を圭一が支えていた。それから3年半後、寺坂が出所し、かき氷好きな彼女の忘れ物だという、氷の入ったアルミ容器を持ってきた。その後、彼女には出所を知らせていないはずなのに、何故かその事実を知ったらしく……『氷姫』、
コルド・シュル・シエルという町を訪れた、江畑ヒサコ。シェ・アルチュールというオムレツのおいしいレストランで、店員に勘違いされ、料理の勉強の為旅をしていた三舟と相席することに。そこで、彼に家を出て行った恋人・カミーユが、“星の王子さま”を置いていったことの意味を問うてみると……『天空の泉』、
ストラスブールのユースホステルにいた貞晴。風邪を引いて体調を崩している彼に味噌汁をつくってくれたのは、同じくユースホステルに滞在していた三舟だった。折しもマルシェ・ド・ノエルの季節。貞晴が思いを寄せるルウルウが、マーケットを案内してくれることに。ところがそこで美味しいと大人気だったミリアムおばあちゃんの作るヴァン・ショーの味が落ちているという。おばあちゃんに事情を訊くと……『ヴァン・ショーをあなたに』の7編収録の短編集。

ビストロ・パ・マルシリーズ第2弾。後ろ2編はフランス時代の三舟さんの番外編的エピソード。
ヴァン・ショーのお話が心あたたまる感じで良いですね♪
個人的には、『錆びない~』の冒頭の三舟さんと志村さんの猫エピソードが好きです(笑)。

<08/7/8>