黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『花淫れ』池永陽(角川書店)

2007-12-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
雑司ヶ谷の小さな写真館で働く17歳の少年・静夫は、ある日閉店間際にやってきた美しい母と双子の少年少女の写真を撮った。しかし、彼らがなかなか写真を受け取りに現れなかったことから、彼女たちの住む『烏有館』を訪れることに。そこで彼は、母・桜子からある願い事をされる…それは子宮が捩れて羊水が漏れるのを防ぐ為、彼自身で栓をすることだった……『胎内浪漫 栓男の懺悔』、
英国製の革製の鞄“グローブ・トロッター”を抱え日本中を旅する“箱男”。そこに納められているのは、美しい亜由という女性だという。“私”純一が中学2年の夏休みに、向日葵畑で出会った彼女に夢中になった私だったが……『狂い箱 箱男の狂気』、
山奥に独りで暮らす女。彼女・千津はそこである男を待ち続ける理由を語る。彼女は療養の為に訪れていた修善寺温泉で、片腕の男・島本栄次に出会い、恋仲となるが、厳しい父に反対され、心中を決行しようと試みるも失敗。その後、父は没落し、彼女は閉山したマンガン鉱山でひっそり暮らしていたが、そこに栄次が現れ……『かたわれ心中 待つ女の涙』、
転校生の美少女・津神季世子の背中には、彫師の父に彫られた唐獅子の刺青があった。彼女に恋した少年・雅だったが、彼女は父の借金の為、町を出ていくことに。“本当に私の鍵男なら、もう一度逢える”という言葉を信じ、日本中彼女を探し回った彼は……『聖女綺譚 鍵男の純情』の4編収録の幻想短編集。

美しいけれどどこか壊れた女性と、そんな彼女たちと関わったことから世間から“ずれて”しまった人たちのお話。
帯に“谷崎のように淫靡で、乱歩のように猟奇”という惹句がありますが、どちらかというと乱歩寄りかな?

<07/12/11>