黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『みずうみ』いしいしんじ(河出書房新社)

2007-05-09 | 読了本(小説、エッセイ等)
みずうみのほとりのある村…そこに住む人々の営みはみずうみと共にあった。
家族の中で一番年若い少年は、水くみ役。そして一家にひとり眠り続ける役目のものがいた。
月に一度、みずうみの水はあふれ、眠る人々の口からも水が吐き出される。
そんな村にある日、“新しい商人”の一行がやってきて……第一章、
不思議な偶然を経験することの多い、タクシー運転手の男。そんな彼は月に一度、輪郭が曖昧になり、水があふれ出すという身体をしていて…第二章、
松本に住む作家の慎二と妻・園子。園子の妊娠がわかり、おだやかな空気に包まれる二人。
一方ニューヨークに住む翻訳者・ボニーとその夫で俳優のダニエル。ダニエルは仕事でメキシコに出かけ、休暇でキューバに。そこで経験した不思議な出来事は……第三章の3章からなる物語。

不思議な感じのお話でした。とらえどころがなく、ゆらゆらと揺らめく水のような印象。
そして物事が円環をなし、回帰していく様は、どこか羊水を思わせますね。

<07/5/9>