606)乳酸はがん細胞の増殖や転移を促進する:乳酸リンゲルの点滴はがん転移を促進する?

図:がん細胞では、ブドウ糖(グルコース)の取込みと解糖系が亢進している(①)。解糖系亢進の結果、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化が抑制され、あるいはミトコンドリア機能の低下による酸化的リン酸化の抑制が解糖系亢進を増強している(②)。解糖系亢進と酸化的リン酸化の抑制によって乳酸産生が亢進している(③)。がん細胞で作られた乳酸は、肝臓や腎臓やがん間質細胞で糖新生によってブドウ糖に変換されてがん細胞に再利用される(④)。がん細胞で大量に産生された乳酸は、血管新生を亢進し、浸潤や転移を促進し、免疫細胞の働きを低下させて、がん細胞の悪性進展を促進している(⑤)。輸液に多く使用されている乳酸リンゲル液などの乳酸添加の点滴ががん細胞の悪性化を促進するという報告がある。

606)乳酸はがん細胞の増殖や転移を促進する:乳酸リンゲルの点滴はがん転移を促進する?

【乳酸はがん細胞の増殖や浸潤を促進する】
水分や電解質などを点滴静注により投与する治療法を輸液(ゆえき)と言います。
輸液は、下痢や嘔吐などによって失われた水分および電解質の補充、なんらかの理由で飲食ができない場合の経口摂取の代わりなどの目的で行われます。
輸液製剤としては血漿と浸透圧が等しい0.9%生理食塩水(Na+とCl-を含む)が使われます。しかし、血漿中の電解質の濃度はナトリウム(Na)が135〜145mEq/Lでクロール(Cl)が98〜108mEq/Lです。したがって、生理食塩数を大量に輸液すると、クロール過剰になってアシドーシス(酸性血症)になります。
生理食塩水にカリウムやカルシウムを加えたのがリンゲル液です。このリンゲル液もクロール過剰になる欠点があります。多量のリンゲル液を投与するとク ロール濃度が155.5mEq / Lと高いため、重炭酸イオ ンが希釈されて濃度が低下し、その結果アシドーシスが起こるのです。
そこで1932年にHartmannによって有名なハルトマン液(乳酸リンゲル液)が開発されます。リンゲル液のクロールイオンを乳酸イオンで置換した処方を考案したのです。乳酸リンゲル液は輸液の最も基本的な製剤になっています。

表:生理食塩水、リンゲル液、乳酸リンゲル液の組成内容。生理食塩水とリンゲル液は大量に点滴するとクロール(Cl-)が過剰になる。乳酸リンゲル液は乳酸塩を加えてクロール濃度を血漿に近づけている。 

乳酸リンゲル液では、クロール(Cl-の濃度を減らすために乳酸塩(Lactate-が使用されていますが、この乳酸リンゲル液中の乳酸はがん細胞の転移を促進するから使うべきでないという意見もあります。乳酸自体にがん細胞の増殖や転移を促進する作用があるからです。以下のような論文があります。 

Ketones and lactate “fuel” tumor growth and metastasis:Evidence that epithelial cancer cells use oxidative mitochondrial metabolism(ケトン体と乳酸は腫瘍の成長と転移を促進する:がん細胞がミトコンドリアの酸素呼吸を利用するという証拠)Cell Cycle. 2010 Sep 1; 9(17): 3506–3514.

【要旨】
がん細胞の代謝における「ワールブルグ効果」を理解するための新しいモデルを以前に提案した。このモデルでは、がん関連線維芽細胞が好気性解糖を行い、得られたエネルギー豊富な代謝産物ががん細胞に移され、そこでがん細胞のTCAサイクルに入り、酸化的リン酸化によって大量のATPを産生する。この新しい概念を逆ワールブルグ効果(The Reverse Warburg Effect)と名付けた。
乳がん細胞のMDA-MB-231細胞の移植腫瘍の実験モデルを用いて、好気性解糖の最終産物(3-ヒドロキシ酪酸とL-乳酸)が腫瘍の増殖と転移を刺激するかどうかを検討した。
ケトン体の3-ヒドロキシ酪酸の投与が、がん組織の血管新生の増加なしに、腫瘍の成長を約2.5倍増加させることを示した。
3-ヒドロキシ酪酸および乳酸の両方ががん細胞の移動を刺激した。
乳酸は原発腫瘍の増殖を増加させなかったが、肺転移の形成を約10倍促進した。
これらの実験結果は、ケトン体および乳酸が腫瘍の成長および転移を促進し、「逆ワルブルグ効果」を支持する機能的証拠を提供している。
さらに、乳酸はがん細胞の転移を顕著に促進するので、乳酸塩含有の注射液(乳酸リンゲルやハルトマン液)をがん患者に使用することが賢明でない可能性について論じる。
また、我々は、乳がん細胞および間質細胞の転写プロファイルの解析を介して、生体内(in vivo)でのヒト乳がん細胞における酸化的ミトコンドリア代謝およびTCAサイクルの亢進についての証拠を提供する。
最後に、我々の知見は、なぜ糖尿病患者にがんの発生が多いのかを、ケトン体産生の増加および脂肪組織におけるオートファジーやミトファジーの亢進の観点から考察する。

一般に、がん細胞は解糖系が亢進し、ミトコンドリアの酸素呼吸が低下していると考えられています。これをワールブルグ効果と言います。しかし、がん組織の中にはミトコンドリアでの酸素呼吸を積極的に行っているがん細胞が存在することが報告されています。
また、がん組織内の線維芽細胞が好気性解糖を行い、乳酸ピルビン酸などの高エネルギーの代謝物を作り、モノカルボン酸トランスポーターを使ってがん細胞に渡されて、がん細胞のミトコンドリアで代謝され、エネルギー産生や物質合成に利用されるという「逆ワールブルグ効果」も提唱されています。このモデルでは、乳酸やケトン体はがん細胞の増殖や転移を促進するという実験データを出しています。
この論文は、この逆ワールブルグ効果を提唱しているLisantiのグループからの報告です。
このグループからの研究に対しては、がん細胞のワールブルグ効果やケトン食治療を肯定している研究グループとの間に多くの論争があるのですが、議論が複雑なので、ここでは触れません。ただ、この論文でケトン体の3-ヒドロキシ酪酸(βヒドロキシ酪酸)が好気性解糖の最終産物と言っているのは間違いです。好気性解糖の最終産物はピルビン酸と乳酸であって、3-ヒドロキシ酪酸は好気性解糖とは関係ありません。
この論文で注目したいのは、「乳酸はがん細胞の転移を顕著に促進するので、乳酸塩含有の注射液(乳酸リンゲルやハルトマン液)をがん患者に使用することが賢明でない」と言っている点です。
乳酸ががん細胞の増殖や転移を促進することは多くのエビデンスがあるので、がん患者の輸液に乳酸の入った乳酸リンゲル液(ラクテック注)を使うことは、がんを悪化させる可能性があるという指摘は重要かもしれません。乳酸リンゲルはリンゲル液のクロール濃度を血漿レベルに減らす目的で乳酸塩を加えていますが、乳酸にはがん細胞の転移を促進する作用があるので、がん患者に乳酸リンゲル液を点滴で使うのは賢明でないという意見です。

【細胞のがん化が先か、乳酸産生亢進が先か?】
酸素が無い状態でも解糖系だけでエネルギーのATP(アデノシン3リン酸)を産生できます。これを嫌気性解糖と言い、最終的には乳酸が産生され蓄積します。

図:解糖系ではグルコースからピルビン酸、ATP、NADH + H+が作られる。嫌気性解糖系や乳酸発酵では、NADH + H+を還元剤として用いてピルビン酸を還元して乳酸にする。乳酸に変換する反応によってNAD+を再生することによって解糖系での代謝が続けられる。したがって、解糖系が亢進すると、細胞内で乳酸とプロトン(H+)が増える。

強い運動をすると筋肉に乳酸が蓄積してきます。乳酸は疲労物質とも言われ、一般的には解糖系の嫌気性代謝の結果発生する代謝老廃物と認識されています。
しかし最近では、乳酸は単なる老廃物ではなく、重要なエネルギー源であり、ホルモン様の性状を持ったシグナル伝達物質であることが明らかになってきました。
がん細胞では乳酸産生が増えていますが、この乳酸産生亢進は細胞のがん化(遺伝子変異により発生する)の結果という考えが主流ですが、乳酸産生亢進が細胞のがん化に先行するという研究結果も報告されています。
乳酸が重要なエネルギー源であることや、糖新生の主要な材料であり、乳酸シャトルによって細胞内および細胞間で乳酸の積極的な交換(移動)が行われていること、乳酸が細胞内のシグナル伝達に関与していることなどが理由になっています。
乳酸シャトル(Lactate Shuttle)というのは局所での乳酸のやり取りのことです。乳酸の交換は,グリア細胞とニューロン(神経細胞),精子細胞と支持細胞,筋肉の赤筋線維(遅筋)と白筋線維(速筋)、がん細胞とがん間質細胞(線維芽細胞など)の間で行われていることが明らかになっています。
がん細胞において好気的解糖が亢進する前に、細胞のがん化過程におけるエネルギー代謝が亢進する段階で、乳酸の産生と利用の亢進が起こり、この乳酸産生が細胞のがん化を悪循環的にさらに促進する可能性が指摘されています。
ミトコンドリアDNAには酸化的リン酸化に関与するたんぱく複合体の85種類のサブユニットのうち13種類のたんぱく質を作成する遺伝子が存在します。

ミトコンドリアDNAを欠損させても、細胞は生きていけます。呼吸鎖の呼吸酵素複合体が完成できないので、ATPは産生できませんが、その他の物質合成や代謝に必要なたんぱく質は核のゲノムDNAにコードされているからです。ミトコンドリアDNAを欠損させると、解糖系が亢進してATPが産生され、その結果、細胞ががん化するという考えもあります。
つまり、がん細胞における乳酸産生亢進は解糖系の亢進による単なる結果ではなく、乳酸自体に細胞のがん化を促進する働きがあり、がん細胞の発生と進展に積極的に関与していると言う考えです

図:(左)がん細胞は乳酸の産生が亢進している。その理由として、一般には遺伝子変異による細胞のがん化によってブドウ糖(グルコース)の取込みと解糖系が亢進し、酸化的リン酸化が抑制されて、乳酸産生が亢進すると考えられている(①)。つまり、乳酸産生は細胞のがん化の結果と単純に理解されている。
(右)遺伝子変異→細胞のがん化→ブドウ糖の取込みと解糖系の亢進→乳酸産生亢進という経路だけでなく、ミトコンドリアDNAの変異などによるミトコンドリア機能の低下(②)による酸化的リン酸化の抑制が解糖系亢進を増強し(③)、乳酸産生に亢進に関与している(④)。この乳酸産生が細胞のがん化(⑤)や、がん細胞の悪性進展の促進(⑥)に関わっている可能性も指摘されている。乳酸が発がんを悪循環的に加速しているという考えである。

「細胞のがん化が先か、乳酸産生亢進が先か?」という問いは「遺伝子が先か、ミトコンドリアが先か?」という問いでもあります。
基本的には、遺伝子変異による細胞のがん化が先行すると考えるのが妥当ですが、発がん過程のかなり早い段階でミトコンドリアの機能低下(抑制)と乳酸産生亢進が起こり、発がん過程の促進に重要な役割を担っていると考えられます。したがって、がん治療において、ミトコンドリアと乳酸産生は重要なターゲットになります。

【がん細胞は乳酸を主要な栄養源として利用している】
がん細胞の2大栄養素はグルコースグルタミンです。
グルコースは解糖系が亢進して乳酸の産生が増えています。グルタミンもグルタミン酸からαケトグルタル酸に変換されてTCA回路に入り、その50%くらいが乳酸に変換されると報告されています。
このようにして、がん細胞内では、乳酸の産生が増え、モノカルボン酸トランスポーター(MCT)を通って細胞外に移行し、周囲のがん間質細胞(線維芽細胞や炎症細胞)や血流にのって肝臓や腎臓を使って、糖新生でグルコースに変換されて、がん細胞に再利用されます。

 

図:がん細胞ではグルコース(ブドウ糖)とグルタミンの取込みが増え、乳酸の産生が増えている。乳酸は肝臓や腎臓やがん組織の間質細胞などで糖新生によってグルコースへ変換され、再度、がん細胞に利用される。がん細胞は宿主の代謝系をハイジャックして、自分の生存と増殖に利用している。この状況を阻止するためには、がん細胞からの乳酸の産生を抑制することが重要である。

この糖新生では宿主(正常細胞)はエネルギーを使って、がん細胞のためにグルコースを再生することになります。2分子の乳酸から1分子のグルコースを作るのに6分子のATPを消費します。つまり、がん細胞は宿主の代謝系をハイジャックし、自分の増殖に利用しているのです。
このがん細胞の代謝を阻止しないと、宿主はがん細胞によって無駄にエネルギーを消費して、体力と栄養を消耗することになります。

【ミトコンドリアを活性化にすると乳酸の産生が抑えられる】
がん細胞のエネルギー代謝の特徴は、「酸素が十分にある条件でも、酸素を使わない解糖系での代謝」に依存したエネルギー産生を行っていることです。
酸素が十分にある状況でもがん細胞がグルコース(ブドウ糖)の取込みを増やし乳酸の産生を増やす現象をワールブルグ効果(Warburg effect)あるいは好気性解糖と呼んでいます。「好気性解糖」とは、酸素が十分に存在する好気性条件でも、酸素を利用しない嫌気性解糖と同じ方法でエネルギー産生を行っていることを意味します。
がん細胞ではミトコンドリアでの酸化的リン酸化が抑制されています。ミトコンドリアでのATP産生が抑えられています。
ワールブルグが「がん細胞は酸素が十分にあっても乳酸の産生が増えている」という現象を最初に報告したのは1923年です。もう95年も前の発見になります。
ミトコンドリアを元気にしてがんを消す」という理由と根拠は多数ありますが、最も簡単な説明は、「ミトコンドリアでの代謝を亢進すると乳酸産生が減少する」という点です。
乳酸の産生自体が、がん細胞の発生や進展に重要な働きをしていることが明らかになっています。がん細胞からの乳酸産生を阻止できれば、がん細胞の増殖や転移を抑制できます。ミトコンドリアでの代謝を亢進すると乳酸の産生が低下します。これが、「ミトコンドリアを元気にしてがんを消す」ということの理由になります。
以下のような論文があります。

Reexamining cancer metabolism: lactate production for carcinogenesis could be the purpose and explanation of the Warburg Effect.(がん代謝の再検討:発がんのための乳酸産生がワールブルグ効果の目的であり説明である)Carcinogenesis, 38(2): 119-133, 2017

【要旨】
本論文では、運動の生理学と代謝において得た知識を用いて、遺伝子突然変異によって引き起こされる乳酸産生の増大(乳酸生成)がワールブルグ効果の理由および目的であり、乳酸代謝およびシグナル伝達の調節不全が発がんの重要な要素であることを提案する。
がん細胞は、好気性解糖の亢進と過剰な乳酸産生を特徴としている。この現象は93年前にOtto Warburgによって報告されたが、その理由についてはまだ十分に解明されていない。
このワールブルグ効果に関しては、数十年の間あまり注目されていなかったが、最近は発がんメカニズムの重要な因子として乳酸への関心が高まっている。
正常細胞の生理学では、解糖の必然的な最終産物である乳酸は、重要な代謝燃料エネルギー源であり、最も重要な糖新生前駆体であり、主要な調節特性を有するシグナル伝達物質(lactormone)である。
乳酸を産生しているがん細胞では、乳酸生成のためのグルコース利用の亢進および細胞内および細胞間の乳酸の移動を増加させる目的で、細胞内代謝が変化している。その変化として、以下の5つの主要な現象が同定されている。
グルコース取り込みの増加、②解糖系酵素の発現および活性の増加、③ミトコンドリア機能の低下、④乳酸産生の増加、蓄積および放出、⑤乳酸の交換(移動)のためのモノカルボン酸トランスポーターMTC1およびMCT4の発現亢進、である。
乳酸はおそらく、血管新生、免疫逃避、細胞遊走、転移および自己充足代謝など、発がんのための全ての主要な経路に関与する唯一の代謝化合物である
我々は、発がんのための乳酸産生がワールブルグ効果(Warburg effect)の説明と目的であると仮定している。
したがって、がん細胞内およびがん細胞間の乳酸の交換およびシグナル伝達を阻止するための治療法の開発を優先すべきである。

激しい運動を行うと筋肉に乳酸が蓄積します。激しい運動を行うには、そのエネルギーを賄う大量のATPが必要になり、解糖系の反応が活発に行われます。しかし、ミトコンドリアはすべてのピルビン酸を処理できず、ピルビン酸が余ります。そのピルビン酸が乳酸に変換されるからです。
筋肉の疲労には乳酸が関わっていると長い間理解されてきました。乳酸はエネルギー産生における代謝老廃物で、筋肉疲労の原因になっている疲労物質であると、運動生理学では長い間、乳酸は有害物質だと考えられていました。
しかし、乳酸を細胞膜やミトコンドリア膜を通して運び、出し入れする仕事をする膜タンパク質であるモノカルボン酸トランスポーターがあることが、1990年代の初めに発見されました。
このモノカルボン酸トランスポーターを介して、乳酸が細胞内と細胞間で交換している乳酸シャトルの存在が明らかになり、乳酸の考え方が劇的に変化したのです。
この乳酸に対する認識の変化はケトン体と似ています。ケトン体も長い間、有害な代謝老廃物が考えられていましたが、最近ではケトン体は生体に有益な生理活性物質であることが明らかになっています。
ケトン体と乳酸の理解の変化を知ると、物質代謝はまだ十分に解明されていないことは確かです。
がん細胞は酸素があるのに乳酸産生が亢進している」という現象をオットー・ワールブルグが最初に発表したのは1923年です。
ワールブルグは13mMのグルコース濃度で培養して、がん細胞は正常細胞に比べて70倍も乳酸産生が亢進していることを観察しています。また、がん組織に流入する動脈血とがん組織から流出する静脈血を比較し、静脈血に多くの乳酸が含まれていることを観察しています。ワールブルグは、がん細胞は取り込んだグルコースの66%を乳酸に変換していると計算しています。
ワールブルグの解釈は、がん細胞ではミトコンドリアにおける呼吸鎖の異常が起こって酸素呼吸ができないので、エネルギー産生を酸化的リン酸化でなく解糖系に依存していると言うものでした。つまり、ミトコンドリアの異常が発がん過程の最初のステップという考えです。
しかし、その後の研究によって、ゲノムDNAの突然変異の蓄積によって細胞ががん化するという「体細胞突然変異説」が主流になり、ミトコンドリア異常説はほとんど忘れられていました。
また、乳酸は解糖系亢進の結果であり、乳酸が単なる代謝老廃物をいう認識が常識的であったため、ワールブルグ効果はがん研究の主流から離れていました。
しかし、がん細胞の代謝異常が細胞のがん化や悪性進展に関わっている証拠が蓄積し、がん治療のターゲットとしてミトコンドリア機能の異常や乳酸産生に注目が集まっています。 
つまり、がん細胞のミトコンドリアを活性化し、同時に解糖系を阻害して、乳酸の産生を減らすだけでも、がん細胞の増殖と転移を抑える効果が期待できるのです。 

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