図:ケモカイン受容体CXCR4はGタンパク質に共役した7回膜貫通型の受容体で、これにケモカインCXCL12が結合することによって細胞内のシグナル伝達系が活性化されて、細胞の移動や増殖が亢進する(①)。低酸素誘導性因子-1(HIF-1)はCXCR4の発現を亢進する(②)。多くのがん細胞においてHIF-1は活性が亢進し、CXCR4が過剰に発現していて、これが転移や増殖を促進している。高用量の抗がん剤を . . . 本文を読む
図:乳がんの全身治療において、抗がん剤治療以外に、ホルモン受容体が陽性の場合はホルモン療法が使用でき、HER2受容体陽性の場合はHER2タンパク質に対するモノクローナル抗体のトラスツズマブ(ハーセプチン)による治療がある。ホルモン受容体とHER2のいずれも発現していないトリプル・ネガティブ乳がんに対しては抗がん剤治療しか使えない。解糖系阻害やAkt/mTORシグナル伝達系阻害やFoxO3a活性化や . . . 本文を読む
図:がん組織内には、薬剤耐性の程度において不均一なクローンが混在している(①)。最大耐用量の抗がん剤投与を行うと、抗がん剤感受性のがん細胞は死滅するが、抗がん剤耐性のがん細胞は生き残る(②)。生き残ったがん細胞は増殖してがんは再発する(③)。同じ抗がん剤を投与しても、がん細胞は死滅せずにさらに薬剤耐性細胞の比率は増し、がん組織は増大する(④)。最大耐用量の抗がん剤治療で抗がん剤感受性細胞が消滅する . . . 本文を読む
図:がん細胞は遺伝子変異の蓄積により悪性化が進行する。抗がん剤は遺伝子の突然変異を引き起こして、より悪性度の強いがん細胞の出現を促進する。DNAミスマッチ修復酵素などのDNA修復系に異常をきたすような遺伝子変異は、突然変異の発生率を高める結果、がん細胞の悪性化進展を促進する。つまり、抗がん剤治療は遺伝子変異を誘発して、悪性度の高いがん細胞を増やしていくデメリットがある。
553)抗がん剤でがんが . . . 本文を読む
図:がん組織には線維芽細胞(がん関連線維芽細胞)が存在する(①)。がん関連線維芽細胞はケモカインのCXCL12を分泌する(②)。CXCL12はがん細胞に発現するケモカイン受容体CXCR4に結合することによって、がん細胞の増殖や浸潤や転移を促進する(③)。がん組織から産生されるCXCL12は骨髄から血管内皮前駆細胞(CXCR4を発現している)をがん組織に動員して腫瘍血管を増生する(④)。高用量の抗が . . . 本文を読む