図:生薬は、がん細胞と生体の双方からがんの静止や休眠を誘導させる成分の宝庫であるため、がん休眠療法に有効な手段となる。
33)腫瘍休眠療法としての漢方治療
がん治療の一つの考え方として、Tumor Dormancy (腫瘍休眠)という概念が討論されています。Dormancyというのは休眠とか休止という意味で、がん細胞の増殖を停止させて腫瘍を休眠状態にもって行こうという治療法で、「がんとの共存」 . . . 本文を読む
図:西洋医学では普遍性と再現性に基づいた治療法を、ガイドラインとして確立することを目指している。一方、漢方医学では個別性や偶然性も重視しながら、試行錯誤や遂時修正する方法論も利用している。
32)漢方治療の遂次修正理論
現代医学は、科学的合理的に割り切って、例えば、二重盲検試験で効果がはっきり証明されなければ、その薬は治療に使用しないという立場に立ち、したがって、再現性と普遍性の証明された治 . . . 本文を読む
図:線形システムでは、一つの指示に対して一定の決まった結果が得られる。非線形システムでは、システム内部の状況に応じて異なる結果が出力される。機械(線形システム)の故障を修理するような西洋医学の考え方で、生体(非線形システム)の異常(=病気)を治療することには限界がある。
31)生体は非線形システム
多くの機械は、ある指示(入力)に応じて、一定の決まった結果(出力)が出てきます。車でアクセルを踏 . . . 本文を読む
図:生命力の低下は気(生命エネルギー)の量の不足と言える。諸臓器の機能の低下によって気の産生が低下する。補気薬や健脾薬は、消化管での栄養素の消化吸収を促進し、呼吸器から取り込んだ酸素を使ったエネルギー産生を高める。補腎薬は腎に貯蔵された先天の気(精気)の量を高めることによって生命エネルギー(生命力)を増やすことができる。
30)緩和医療における漢方治療の役割
【生活の質の改善と延命 . . . 本文を読む
図:漢方薬は複数の生薬を組み合わせて作成される。その煎じ薬には主な活性成分だけでも数百種類の成分が含まれていると言われている。
29)複合成分薬のメリット
西洋医学も、つい100年程前までは、天然物を薬として用いていました。しかし、再現性と効率を重んじる近代西洋医学では、作用が強く効果が確実な単一な化合物を求める方向で薬の開発が行われてきました。経験的に薬効が知られていた薬用植物から、活性 . . . 本文を読む
図:補剤は生体のマクロファージ活性化などを介して宿主の免疫力を高め、体力増強作用を発揮する。一方、炎症を悪化させてがんの進行を促進したり悪液質を悪化させる場合もある。補剤の滋養強壮作用は、がん細胞の増殖をも促進する可能性がある。このような状態の時に、抗がん作用、抗炎症作用、抗酸化作用、血液循環改善作用などを有する生薬(清熱解毒薬、駆お血薬、抗がん生薬など)を使った瀉法を適切に併用すると、補剤のデメ . . . 本文を読む