818)脂質ラフトをターゲットにしたがん治療(その1):シンバスタチン

図:細胞膜でコレステロールが増えると、細胞膜の流動性が低下する(①)。細胞膜の脂質二重層にはコレステロールとスフィンゴ脂質が豊富なミクロドメイン(脂質ラフト)が存在する(②)。ラフトは筏(いかだ)の意味で、脂質ラフトには細胞増殖を促進する増殖因子受容体やシグナル伝達分子が集まっており(③)、がん細胞の増殖や細胞死抵抗性を促進する(④)。シンバスタチンはコレステロールの合成を阻害する(⑤)。その結果 . . . 本文を読む
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817)亜麻仁油やえごま油(紫蘇油)はがんや認知症には効かない

図:α-リノレン酸(①)は亜麻の種子や荏胡麻(エゴマ)の種子など植物油に含まれる(②)。エイコサペンタエン酸(③)とドコサヘキサエン酸(④)は微細藻類(⑤)や魚類(⑥)に多く含まれるが植物油には含まれない。α-リノレン酸を摂取すると一部はエイコサペンタエン酸に変換される(⑦)。しかしドコサヘキサエン酸への変換は極めて少ない(⑧)。がん、認知症、うつ病、心臓疾患などの予防や治 . . . 本文を読む
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816)ドコサヘキサンエン酸(DHA)はプレバイオティクスか?:DHAは酪酸菌を増やす

図:抗がん剤や放射線治療は腸内細菌叢の異常(Dysbiosis)を引き起こし(①)、粘膜バリアが破綻し(②)、悪玉菌が優位になって(③)、粘膜の炎症を引き起こす(④)。腸内細菌が体内に侵入して全身感染症を引き起こす(⑤)。ドコサヘキサエン酸と食物繊維と酪酸菌は腸内の酪酸を増やし、腸内細菌叢の異常を改善し、悪玉菌の有害作用を阻止する(⑥)。 816)ドコサヘキサンエン酸(DHA)はプレバイオティク . . . 本文を読む
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815)高齢者の抗がん剤治療にエビデンスがあるのか?

図:臨床試験の大多数は、全身状態が良く、がん以外に健康問題はほとんどないと言った理想的な患者を使って薬を検証している。
このような理想的な集団での試験は、治療薬の有効性が高く、副作用が少ない結果が得られる。抗がん剤治療を受ける一般人口集団には高齢者や併存疾患を有するがん患者も含まれる。高齢者や併存疾患を有する患者の場合は、臨床試験の結果と比べて、副作用は多く、利益(効果)は少なくなる可能性が高い。 . . . 本文を読む
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814)オールトランスレチノイン酸(ATRA)+ビタミンD3+PPARγアゴニストの抗がん作用

図: ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)とビタミンD受容体(VDR)とレチノイン酸受容体(RAR)はそれぞれレチノイドX受容体(RXR)とヘテロダイマー(ヘテロ二量体)を形成して遺伝子のプロモーター領域の応答配列(ペルオキシソーム増殖因子応答配列とビタミンD応答配列とレチノイン酸応答配列)に結合して、それぞれの標的遺伝子の発現を誘導する。PPARとVDRと . . . 本文を読む
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813)発がんリスクが増えている

図:正常細胞に遺伝子変異(①)が蓄積することによって変異細胞(②)が発生し、さらに遺伝子変異が蓄積し、数個から十数個のがん遺伝子やがん抑制遺伝子に異常が起こるとがん細胞になる(③)。遺伝子変異の蓄積によって細胞が悪性化(がん化)することを「がんの多段階発がん」という(④)。がん細胞の発生や悪性進展を促進する因子(⑤)や抑制する因子(⑥)が知られている。促進因子を減らし、抑制因子を増やせば、がん細胞 . . . 本文を読む
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812)地球温暖化と海洋汚染とドコサヘキサエン酸

図:地球規模の気候変動によって気温上昇、二酸化炭素の増加、紫外線照射の増加が起こっている(①)。これらの環境の変化はオメガ3多価不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)の産生源である微細藻類の増殖を減少し、DHA/EPAの産性能を低下する(②)。食物連鎖によって魚に蓄積するDHAとEPAが減少し(③)、食物からのDHA/EPAの摂取量が減少し、ω(オメ . . . 本文を読む
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811)酪酸菌(宮入菌)はチェックポイント阻害剤の効き目を高める

図:大腸内で食物繊維が酪酸菌で分解・発酵されて短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)が産生される(①)。短鎖脂肪酸は悪玉菌(腐敗菌)の増殖を抑え、善玉菌(有用菌)の増殖を促進する(②)。善玉菌と短鎖脂肪酸(特に酪酸)は腸内環境を良くするように腸内細菌叢の組成を変え、免疫細胞の働きを活性化する(③)。その結果、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫療法の効き目を高め(④)、奏功率を上昇し延命効果を . . . 本文を読む
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810)腸内の酪酸を増やすシンバイオティクス:オクラと海藻とヨーグルトと酪酸菌

図:腸内の悪玉菌(腐敗菌)は腸内のタンパク質やアミノ酸を腐敗させて有害物質を作り(①)、体の治癒力を低下し、発がんを促進する(②)。オクラや海藻類に多く含まれる水溶性食物繊維(③)は、乳酸菌やビフィズス菌や酪酸菌によって発酵され、短鎖脂肪酸(⑤)や乳酸(⑥)を作る。短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)のうちの酪酸は遺伝子発現に作用して、がん細胞の分化誘導と細胞死誘導、細胞増殖抑制、抗炎症作用など . . . 本文を読む
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809) 漢方治療は上皮成長因子受容体チロキシンキナーゼ阻害剤の効果を高める

図:上皮成長因子受容体(EGFR)の変異を有する非小細胞肺がん患者の治療において、無増悪生存期間の中央値は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤単独投与群(n=61)では8.8ヶ月、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に漢方治療を併用した群(n=90)では13ヶ月であった。漢方薬の併用はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の無増悪生存期間を有意に延長した。(ハザード比 = 0.59、95%信頼区間 = 0.33&n . . . 本文を読む
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808) 七叶一枝花(Paris polyphylla)の抗がん作用

図:七叶一枝花(Paris polyphylla)は中国やインドやチベットなどに分布するユリ科の多年草で、その根茎はがんや感染症や蛇咬傷など様々な病気の治療に古くから使用されている。抗がん作用を示す成分としてステロイドサポニンのpolyphyllin Dが最も研究されている。さらにDiosgenin、Paris saponins I, II, VI, VII, Hなど多くの成分に、がん細胞の増殖・ . . . 本文を読む
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807) 魚油はがん患者の悪液質を改善する

図:がん細胞は周囲の正常組織を破壊し、炎症反応を引き起こす(①)。抗がん剤や放射線治療はがん組織だけでなく正常組織にもダメージを与えて炎症反応を増悪する(②)。組織破壊とそれに伴う炎症反応はIL-1、 IL-6、 TNF-αなどの炎症性サイトカインやプロスタグランジンE2の産生を増やし(③)、食欲低下や栄養障害や体重減少を引き起こしてがん性悪液質を引き起こす(④)。ドコサヘキサエン酸( . . . 本文を読む
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806)再利用薬を用いた胆道がんの治療

図:肝臓で作られる胆汁を十二指腸に運ぶ通路を胆道と言う。胆道にできるがんを胆道がんと言い、発生する場所によって肝内胆管がん、肝門部胆管がん、胆管がん、胆嚢がんなどに分けれ、発生する場所によって症状や手術法が異なる。しかし、がん細胞の性状は同様であり、抗がん剤治療に使われる薬剤やその効果(感受性)は似ている。すなわち、使用できる抗がん剤の種類は少なく、抗がん剤は効果が出にくい特徴がある。胆道がんの多 . . . 本文を読む
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805)がん細胞のフェロトーシス誘導(その4):まとめ

図:シスチン・トランスポーターはシスチン/グルタミン酸交換輸送体とも呼ばれ、細胞内のグルタミン酸との交換により細胞外のシスチン(Cystine)を細胞内に輸送する(①)。シスチンはグルタチオンの構成成分であるシステイン(Cysteine)が2個結合したアミノ酸で、シスチンが細胞内に取り込まれると、システインに変換されて還元型グルタチオン(GSH)の合成が増える(②)。グルタチンペルオキシダーゼ4( . . . 本文を読む
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804)がん細胞のフェロトーシス誘導(その3):多価不飽和脂肪酸(DHA/EPA )

図:食事(①)からのドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は細胞膜に取り込まれる(②)。多価不飽和脂肪酸は酸化を受けやすいので、がん細胞内で鉄介在性に活性酸素の産生が高まると(③)、脂質の過酸化によって細胞は酸化傷害を受け(④)、フェロトーシスの機序で死滅する(⑤)。抗がん剤、放射線照射、アルテスネイト、鉄剤、高濃度ビタミンC点滴、スルファサラジン、ジクロロ酢酸ナトリウムはが . . . 本文を読む
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