889)人類は太りやすい体質を持っている

図:人類は進化の過程で、氷河期における約200万年以上におよぶ狩猟採集時代に太る体質を獲得した(①)。それを説明する仮説として肉食関連仮説(Carnivor Connection Hypothesis)、倹約遺伝子仮説(Thrifty Gene Hypothesis)、捕食者解放仮説(Predation Release Hypothesis)などがある。これらの複合的な効果で人間は太りやすくなっており、糖質摂取量が増えると肥満が増えてくる(②)。近年は、インスリン分泌を増やす糖類や精製した糖質の摂取が増えたため、肥満の程度が高くなっている(③)。

889)人類は太りやすい体質を持っている

【なぜ生活習慣病が増えているのか】
肥満や糖尿病やメタボリック症候群などの生活習慣病は、遺伝的要因環境要因によって発症リスクが決まります。糖尿病の疑いがあるとき、最初の診察で医者がまず聞くのが家族歴です。糖尿病になりやすい遺伝形質があるからです。親や兄弟に糖尿病患者がいると糖尿病になりやすい体質をもっており、この状態で運動不足や過食といった環境要因が重なると糖尿病を発症します。

欧米人はインスリンの分泌能が高い人種です。その結果、糖質の摂取が増えると肥満を起こしやすい体質を持っています。この遺伝形質だけであれば肥満も糖尿病も起こりません。産業革命以前は穀物は潰したり荒く粉にしたりして調理していたので、食物繊維が豊富で糖質の消化や吸収が遅く、インスリンの分泌も多くありませんでした。
しかし、産業革命後は機械による穀物の精製技術が進歩し、精製した糖質や砂糖の摂取量が増え、インスリンの分泌が増えたために肥満が増えました。
高血糖によるインスリン分泌刺激が増えると、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の酸化ストレスが増強し、β細胞がアポトーシスで死滅して数が減っていき、最終的にはインスリン分泌能が極端に低下して糖尿病を発症します。

農耕が始まっても、つい最近までは肥満も糖尿病も例外的なものでした。つまり、食糧が十分に獲得でき、労働で体を動かす必要のない上流階級の病気でした。しかし、近年は肥満と糖尿病はごく普通の病気になりました。
精製した穀物や単純糖質の消費が増え、機械の発達によって労力を使わなくなり、暖房や衣服の発達によって寒い気候でも体の熱産生を高める必要がなくなりました。その結果、摂取エネルギーが消費エネルギーを超えるようになり、太りやすい体質を持っている人は簡単に肥満になります

前述のように人間は肥満になりやすい形質を多数持っています。つまり生活習慣病を起こしやすい遺伝的要因は人類の中に蔓延しています。
残念ながらこのような遺伝形質を体から消し去ることはできません。このような遺伝形質が人類の遺伝子プールから消えるには何万年も何十万年もかかります。つまり、遺伝的素因は自分の責任ではどうすることもできません。
したがって、生活習慣病を減らすには環境要因を改善するしかありません。その第一が精製した糖質の摂取を減らすことです。

【人間は肉食動物として進化した】
人類において「肥満になりやすい形質(体質)」の一つが「インスリン抵抗性」という生理的特徴です。
インスリン抵抗性とは、体の細胞がインスリンの作用にうまく反応しなくなる状態を指します。
インスリンは血液中のブドウ糖(グルコース)を細胞内に取り込むことで血糖値を下げる作用をします。インスリンの働きが低下すると、細胞内へグルコースを取り込ませる機能が低下し、グルコースが細胞外に溢れて血糖が上がります。この状態がインスリン抵抗性です。
下図は、インスリン抵抗性があるとグルコースが細胞外に溢れる状態を、満員電車で乗り切れない乗客がホームに溢れるのと同じことを意味しています。

図:インスリン抵抗性が無いと、グルコースはスムーズに細胞内に入る(左)。インスリンの働きが低下していると、グルコースを細胞内に取り込ませることができず、細胞外にグルコースが溢れた状態になる。

人類が氷河期に肉食として進化する過程で、脳の大きな胎児を守るために「インスリン抵抗性」を獲得するように進化したと考えられています。その理由を以下の解説します。

動物は食事の内容によって肉食草食雑食と分けられていますが、消化管の構造や体の代謝系はその食事の内容に適応するように進化しています。
例えば、肉食動物のネコには唾液にアミラーゼ(デンプンを分解する酵素)が無く、腸や膵臓の消化液も糖質を分解する酵素の活性が低くなっています。
肝臓ではアミノ酸などからブドウ糖を作り出す酵素の活性が高くなっています。さらに、タンパク質を分解して得られるアミノ酸からミトコンドリアでエネルギー(ATP)を産生できるような代謝系が発達しています。
このように肉食の動物は肉が多く糖質の少ない食事に適応するように消化管の構造や体の代謝系が進化しています。

一方、ウシヒツジのような草食動物は、セルロース繊維の多い植物を消化するために長い腸をもち、胃腸には莫大な量のバクテリアが住み着いて食物繊維や糖質を発酵させています。
炭水化物の発酵によって生成した酢酸やプロピオン酸や酪酸などの有機酸を吸収して、細胞内のミトコンドリアでさらに分解してエネルギーを産生しています。消化管内のバクテリアはアミノ酸も合成して草食動物に供給しています。つまり、牛は草だけを食べて、大量のミルクや肉を作り出しています。

草食動物において炭水化物を発酵させて有機酸を作る部位は、ウシやヤギやヒツジのような反芻動物では反芻胃で行われ、ウサギは盲腸で、ウマでは大腸です。このように、草食動物は炭水化物をバクテリアで発酵させる「発酵タンク」を持つのが特徴です。 

犬は雑食ですが、肉食に近い雑食と言われています。人間も雑食ですが、現代の一般的な食事は炭水化物が半分以上を占めており、草食に近い雑食ということになります。
しかし、人間の消化管の構造は犬や猫に似ており、肉食動物の特徴を備えています。つまり、人間は草食動物に必要な発酵タンクを持っていないという意味において肉食が基本だと言われています。
また、人間はアミノ酸からミトコンドリアでエネルギーを産生する代謝系や、アミノ酸から肝臓でブドウ糖を合成する代謝系(糖新生)も発達しています。つまり、タンパク質を分解してエネルギー産生と物質合成を行う代謝系が肉食動物と同じように発達しています。

人間は、ブドウ糖(グルコース)の血中濃度(血糖)を下げるのはインスリンだけですが、血糖を上げるホルモンはグルカゴン、エピネフリン(アドレナリン)、糖質コルチコイド 、成長ホルモン、甲状腺ホルモンがあります
高血糖を防ぐホルモン(=インスリン)より低血糖を防ぐホルモンを多く持っていることは、人間ではもともと血糖が上がらない食事が基本であることを示唆しています。つまり、日常的に高血糖になることは少なく、低血糖になるリスクの方が大きい生活を送っていたと言えます。

【人類は氷河期に入って肉食になった】
オランウータンやゴリラやチンパンジーのような類人猿から初期人類(猿人)にいたる1000万年以上の年月において、私たち祖先はアフリカの森林に生息し、主に植物性の食糧を食べていました。
約400万年〜200万年前に生存したアウストラロピテクス (Australopithecus)は二足歩行を行うようになり、密林からより開けた草原で住むようになります。アフリカ東部や南部のサバンナ(乾期と雨期のある熱帯に分布する疎林と灌木を交えた熱帯長草草原地帯)の環境に適応し、歯が発達して硬い殻をもつ大きな種子や地下の根なども食べるようになります。植物性食物を中心にして、さらに小動物の狩猟や、動物の死肉や肉食獣の食べ残しから動物質性食糧を得るようになりました。

ホモ属(Homo)が現れたのは今から250万年〜200万年前です。ホモ属は現代の人類(ホモ・サピエンス)と同じ属です。この頃から人類は石器を道具として利用し、狩猟や肉食獣の食べ残しから動物性の食糧が増えてきます。さらに、160万年前くらいから人類は火を使うようになり、食物を火で加熱することによって、栄養の吸収が良くなりました。
人類が狩猟を開始する直接のきっかけは250万年前くらいから起こってきた気候や環境の変化です。このころから氷河期に移行し、地球上の気温が低下していき、アフリカのジャングルは縮小し、草原やサバンナに変化していきます。

氷期の間は地球全体が乾燥し、降雨量が少なくなると大きな樹木は育たなくなり、草原が増えてきます。そこに草食動物が増え、草食動物を獲物とする大型の肉食動物が棲息するようになります。
人類はそのような獣を狩猟によって食糧にしてきました。動物以外にも、漁によって魚介類も多く摂取しています。間氷期になって気候が暖かくなって樹木が成長すると木の実や果物なども増えますが、基本的には動物性の食糧が半分以上を占めていたようです。

氷河期というのは地球の気候が長期にわたって寒冷化する期間で、北アメリカやヨーロッパ大陸に氷床が拡大し、アジアやアフリカも気温が低下して涼しくなり、熱帯性の密林は縮小していきます。氷河期は数万年続いて再び温かい気候に戻ります。氷期と氷期の間を間氷期と呼びます。
約250万年以降、4万年から10万年の周期で氷期と間氷期を繰り返しています。最後の氷期が終わったのが約1万年前で現在は間氷期にあたります。
現代人類の祖先であるホモ・サピエンスは約14万年前にアフリカにいた小集団で、約10万年前にアフリカを出て、世界に分布を広げていきました。

【人類の食事は3度大きく変化した】
人類の食事の内容は、その長い歴史の中で3度大きく変化したと言われています。
初期人類がアフリカの森林に住んでいたころ(250万年前より以前)は、木の葉や果実や木の実などの植物性食物が主体で、主要な栄養素は炭水化物(糖質)でした。
約250万年前ころから氷河期に入って森林が縮小し、人類は草原で狩猟採集を行い、動物性食物が主体になってタンパク質や脂肪の多い食事になります。これが第1回目の変化です。

約1万年前に最後の氷河期が終わって地球が温暖化して農耕と牧畜が始まります。農耕によって穀物の摂取が増え、再び糖質の多い食事に戻りました。これが第2回目の変化です。

さらに18世紀末に起こった産業革命以降は穀物の生産性が飛躍的に向上し、穀物の精製技術や貯蔵技術が進歩し、糖質摂取量と摂取カロリーが増えるようになりました。近年(1970年代以降)になると、さらに砂糖のような精製糖や異性化糖(でんぷんを酵素などで処理して作ったグルコースとフルクトースの混在した糖)など吸収の早い単純糖質の摂取が増えるようになりました。このように産業革命以降、精製した糖質や砂糖の多い食事になったのが第3回目の変化です。

つまり、人類の長い歴史のなかで、①氷河期という気候変動による狩猟の開始によって高糖質食から低糖質食へ変化し、②農耕の開始によって低糖質食から高糖質食へ戻り、③産業革命以降、特に近年は精製した糖質の多い高糖質・高カロリー食になったというのが人類の食事における3度の大きな変化です。

【肉食になってインスリン抵抗性を獲得した】
インスリンは様々な作用を持っていますが、最も重要な作用は血糖を下げることです。この血糖降下作用においてインスリンの標的になる組織が骨格筋脂肪組織肝臓です。
グルコースは細胞膜にあるグルコース・トランスポーター(グルコース輸送担体)を使って細胞膜を通過します。グルコース・トランスポーターには幾つかの種類があり、組織の違いなどによって種類の異なるトランスポーターが使われます。
脂肪細胞と筋肉細胞(骨格筋と心筋)ではインスリン感受性のグルコース・トランスポーター4(GLUT4)が使われます
GLUT4は細胞内に貯蔵されていて、インスリンが細胞に作用するとGLUT4が細胞膜上へと浮上してグルコースを取り込みます。つまり、インスリン依存性のグルコース・トランスポーターで、血糖が高くなると膵臓からインスリンが分泌され、骨格筋と脂肪組織のGLUT4が細胞膜に輸送されてグルコースの取込みが増えるという仕組みです

肝臓ではアミノ酸やグリセオールや乳酸などからグルコースを合成できます。これを糖新生と言います。インスリンはこの糖新生を抑制する作用があります。つまり、インスリンは骨格筋と脂肪組織でのグルコースの取込みを増やし、肝臓での糖新生を抑制することによって血糖を下げる作用をしめすのです。肝臓でのインスリンの働きを弱めることは糖新生を増やすことになります。

さて、進化の系統樹でオランウータンと分岐する1300万年以上前から初期人類の時期を含めて、現生人類の祖先は長く森林に生息し糖質が主体の食事を行っていました。そのため、エネルギー産生も脳の働きもグルコースを中心とした代謝系に依存してきました。それが氷河期に入って糖質摂取が減少したことに適応するために人類はインスリン抵抗性の体質を獲得するようになったのです。

脳はエネルギー消費量が多く、安静時で全身が消費するエネルギーの20%以上が脳で消費されます。脳組織でのグルコースの取込みはインスリンの作用が不要なGLUT3で行われます。糖質摂取が少ない状況でインスリンが作用して血糖が骨格筋と脂肪細胞に多く取込まれると脳へ行くグルコースの量が減ります
脳へのグルコースを確保するため、骨格筋と脂肪細胞でのグルコースの取込みを制限するためにインスリン抵抗性が高い方が生存に有利に働くということです

また、胎児は大きく生まれる方が出生後の生存に有利です。したがって、妊娠時はより多くのグルコースを胎児に送るためにもインスリン抵抗性は有利になります。
インスリンは食事から吸収されたグルコースを血中から早く消失させる作用がありますが、食事からの糖質摂取量が少ない状況では、血中からグルコースが早く無くなると脳の働きや胎児の発育に支障をきたすのです。少ない血糖を脳や胎児に多く確保するためにインスリン抵抗性の性質を持つ方が生存に有利になるというわけです。
このように、糖質の摂取量が減少したことに適応するため、人類はインスリン抵抗性を獲得したと考えられています。 (下図)

図:インスリンは標的組織(インスリン依存性組織)の筋肉細胞と脂肪細胞のグルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞質から細胞膜への輸送を促進して、筋肉細胞と脂肪細胞へのグルコースの取込みを亢進する(①)。さらに、インスリンは肝細胞の糖新生を抑制する(②)。これらの作用によって食事から摂取したグルコースは血中から速やかに減少する(③)。脳や胎児のグルコーストランスポーター(GLUT1とGLUT3)はインスリン非依存性であり発現量はインスリンによって増えない(④)。そのため、低糖質食になってグルコースの摂取量が減ると、インスリンの働きが良い状態では脳や胎児へのグルコースの供給量が減少し、脳の働きや胎児の発育が低下する(⑤)。低糖質食でも血中のグルコースの量を確保し、脳や胎児に十分なグルコースを供給するために、筋肉細胞や脂肪細胞や肝細胞でのインスリンの働きを低下させる(インスリン抵抗性を高める)方が生存に有利になる(⑥)。このため、人類が氷河期において肉食中心で低糖質食を行っているときにインスリン抵抗性を高める方向で進化した。

【人類は糖質で太りやすい体質を持っている】
氷河期に糖質を多く含む植物性食物の入手が困難になったために、人類はインスリン抵抗性を獲得したという仮説は「肉食関連仮説(Carnivor Connection Hypothesis)」と呼ばれ、オーストラリアのブランド・ミラー(Jennie Brand-Miller)博士らが1994年に提唱した仮説です。
そのほかにも、人間が太りやすい理由を示す多くの仮説が提唱されています。

その一つに「倹約遺伝子仮説(Thrifty Gene Hypothesis)」があります。狩猟採集では食物が規則的に獲得できるという保証はありません。季節的に食糧が入手できない太古の環境では、食事摂取できるときに体内にエネルギーを溜め込むために必要ないわゆる倹約遺伝子と呼ばれる遺伝子が進化の過程で人類の遺伝子プールの中に広がったという考えです。
基礎代謝量を少なくしたり、脂肪の蓄積を促進するような遺伝子が倹約遺伝子の候補になっています。
食物が足りないときには、少ないエネルギー消費量で生き残れる倹約遺伝子型を持っている人が有利です。しかし食物が豊富になると倹約遺伝子型を持っている人は肥満や糖尿病になりやすいと考えられます。この仮説は1962年に米国のニール(James V Neel)博士によって提唱されています。

その他、英国の生物学者スピークマン(John Speakman)博士の提唱している「捕食者解放仮説(Predation Release Hypothesis)」という理論もあります。
動物はより大きい肉食動物からの捕食を避けるために肥満になりやすい形質は淘汰されるという考えがあります。肥満した動物は逃げるのも遅く、かつ捕食者にとっては太っているほど獲物として魅力があります。つまり肥満は動物にとって生存しにくい形質であるため、肥満になりやすい遺伝子型は生物界の遺伝子プールには広がりにくいと考えられます。
しかし人類は火や道具を使うようになり、知能が発達して捕食者に対する防御も容易になりました。100万年くらい前に人類は捕食者からの脅威を逃れることができるようになり、捕食者からの危険が無くなったので、体重を制限するという進化上の選択圧が無くなったので、肥満になることを許す遺伝子が人類の遺伝子プールの中に広がったという仮説です。
肥満者は捕食者の餌食になりやすいので、肥満になりやすい遺伝形質は進化上淘汰されますが、人類の知能が進化して捕食者の脅威がなくなればそのような選択圧は不要になるということです。

このように、現代社会で肥満や2型糖尿病が増えている理由を説明するためにいろんな仮説が提唱されていますが、恐らくこれらの理由が複合的に作用して人類は太りやすい体質を持っていると考えられます。
食糧が豊富になり、体を動かさない生活が増えた現代において、このような太りやすい体質が肥満や2型糖尿病を増やす原因になっていると考えられます。

【糖質摂取が増えるとインスリン抵抗性が肥満や糖尿病を引き起こす】
インスリン抵抗性というのは骨格筋や脂肪組織でのグルコースの取込みと利用を低下させることです。
脳や妊娠中の胎児へグルコースの供給を維持する必要があるために、人類は氷河期の間の低糖質食に適応するために、インスリンの効き目を悪くするように進化したと言う仮説です

人類は狩猟採集時代に低糖質食に適応するためにインスリンの効き目を弱めるように進化したのですが、農耕が始まって糖質摂取量が増え、さらに近年はグリセミック指数の高い食事が増えています。
その結果、インスリンの効き目が弱い遺伝形質(インスリン抵抗性)を持っている人類に肥満と2型糖尿病が増えるようになったと説明できます(下図)。

図:人類の祖先の類猿人から初期人類にかけての数百万年間は主に森林に生息して木の葉や果実などの植物性食糧が主体であったため、栄養素としては糖質が主体であった。250万年くらい前から氷河期に入ると森林が縮小し人類は狩猟採集によって食糧を得るようになり、動物性の食事が主体になって糖質摂取量は減っていった。約1万年前に最後の氷河期が終わると農耕や牧畜が行われるようになり、人類は再び糖質の多い食事に戻った。産業革命後(19世紀以降)は精製した糖質の摂取が増え、さらに1970年代以降は砂糖や異性化糖などの単純糖質の摂取量が増加した。狩猟採集時代に人類は低糖質食に適応するため、インスリン抵抗性の形質が進化した。つまり、人類はインスリンが効きにくい体質を持っているため、近年における単純糖質の摂取過多が肥満や糖尿病やメタボリック症候群やがんを増やす結果となっている。

日本人はインスリンの分泌能が欧米人の半分くらいと言われています。倹約遺伝子は欧米人より多く持っていると報告されています。これは、農耕が始まったのは日本ではヨーロッパに比べてかなり遅れたためかもしれません。高糖質食に適応する時間が短いためです。

最近まで狩猟採集を行っていた地域に糖質の多い西洋的な食事が導入されると、急速に2型糖尿病が増えることが知られています。例えば、米国アリゾナ州のピマ・インディアンやオーストラリア先住民のアボリジニや南太平洋のナウル共和国の住民は肥満や2型糖尿病が極めて多いことが知られています

これらの住民は昔から肥満や2型糖尿病が多かったわけではなく、農耕が行われずに狩猟採集で最近まで暮らしてきたところに、西洋文化が導入されてグリセミック指数の高い糖質の多い食事をするようになったからです。つまり、糖質の多い食事に遺伝的に適応できていなかったことが原因になっています。

このように狩猟採集を行っている民族が、西洋的は食事や生活習慣を取り入れると、すぐに肥満や糖尿病や動脈硬化が増えることが多くの例で確かめられています。逆に、肥満した人を一時的に狩猟採集時代のような食生活を生活環境で生活させると数週間で2型糖尿病が治るという報告もあります
肥満は糖質制限やケトン食で簡単に治せます。インスリンが脂肪を合成し、脂肪の分解を阻害するので、インスリンを高める食事をしていたら、体脂肪を減らすことは困難です。

 

 

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