ルメール騎手のコメントにあるように、大外枠は恵まれた枠順ではなかった。結果的に馬の能力が高く勝利したが、サウンドビバーチェの放馬によりスタートが10分も遅れるとは想像できない、アクシデントだった。一番人気のサークルオブライフはレースが始まるまでで消耗が激しく、12着と大敗した。むしろ入れ込みが激しくなると想定された、ナミュールは好走した。馬券組み立てを一番人気のサークルオブライフから組み立てたが、基本的に桜花賞の人気をひっくり返すほどのインパクトがあったわけではないので、人気が桜花賞から下がったナミュールは買いのサインではなかったのかと思う。それにしても馬体細化で連続好走を続けるピンハイは侮れない存在だ。秋が楽しみな一頭になる。
結局、前に行った馬が残った競馬になった。レイパパレは絶好に位置につけていて、謎の多い負け方だったが、後になって調べると、スタート直後に落馬寸前のアクシデント、これでリズムを崩したとしか思えない。もう一つは大阪杯がタフな馬場で、見えない疲れもあったのかもしれない。ソダシは路線選びが難しく、ダートのGIまで挑戦しフェブラリーステークスは3着と好走した。桜花賞を1.31秒台で優勝しているので、マイルの特性は十分だったのだろう。次はマイル路線なのか分からないが、札幌記念連覇も視野に入るかもしれない。
惜しかったのはマテンロウオリオン、万両賞でつかんだ横山騎手の感触によって、今回は追い込み作戦だったのだろう。スタートから後方に位置して決め打ちの競馬だった。誤算はジャングロの落馬だっただろう。しかし、トウシンマカオの思わぬ先行で前半のペースが速くなった。この恩恵を味方につけたのはダノンスコーピオンだった。大外の不利もなくなり、進路取りも理想的な位置だった。勝てる時はこんなもんだろう。最後は怒涛のマテンロウオリオンの追い込みで惜しかった。人気のセリフォスは枠が良くて前半の速いペースでなし崩しに脚を使った形になった。実力負けと決めるのは早計だろう。出遅れたジャングロは大善戦だった。致命的な逃げ馬の出遅れを挽回したのだから、この先も出番はあるだろう。
終わってみれば、菊花賞馬の格の違いを見せつけた競馬になつた。枠が外目になったこと、前夜からの雨で馬場が悪化したこともあり、降り方次第では外枠も有利にも不利にも有利にもなる状況だった。スタートで好位を取るために脚を使うと後半のスタミナに影響すると見ていたが、タイトルホルダーはすんなり鼻を切れた。前半の1000mが60.5秒、真ん中の1000mが63.1秒でうまくペースダウン。上がりが36.4秒で最速、最後の一ハロンが13.1秒でバテているが7馬身差の圧勝。全てが嵌った競馬になつた。惜しかったのはテイオーロイヤルだった。勝ちいく競馬で見せ場たっぷりだった。次走も期待できるのではないか。京都コースではこんな感じの上がり馬が好走していないが、阪神ゆえの好走だったかもしれない。