CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

玉人

2006-06-22 08:52:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
玉人 作:宮城谷昌光

ハードカバーの短編集でありました
宮城谷昌光先生のステキ小説
舞台は、やっぱり、古代中国あたりから漢くらいまで
その時代それぞれの女性にまつわる短編集であります
侍者の短編小説なんぞいくらもありますが
それの中華版というのは初めてだったのでありますが
これは、夏姫春秋あたりと同時期のものなんでしょうか
内容がなるほど、あれに似ているのでありました

どれも珠玉の名品というか
なんかそこはかとない寂しさ溢れる内容で
愛される女の書き方とか、なんかとても
ステキに優しいとか、私何しゃべってるか
わからなくなるほど、頬を染めるステキさで埋め尽くされております

6本の収録作品中「雨」という短編のみ
なんだか切ないとかではなく、怖い話みたくなってましたが
他は、痴情の絡んだ推理物もあり
骨の太い女と関わる男の一生を描いたのもありと
これを読むだけで、モテてる気分に浸れるのもあり
わたくし夢を見ておりました

1点、でもないですが、前々から思ってましたが
先生は男女のまぐわいを描くときに
やたら滅法、指先の描写にこだわりがあると
若くもないのに、青い何かを触発されておったのですが
今回、題名そのまま「指」というステキ短編があり
とても美しい女性を少しずつ
その指にて開花させていくというお話が
ああ、女性は男子が丹精こめて育てるものなのだ
フェミニストの方に晒し首とされても文句が言えないことを
わたくし感じましたが、そういうお話ではないにせよ
なんとなし、慈しむという愛し方が必要なのだわと
せつせつ感じ入った次第

また、わたくし大好きな任侠というか
敵討ちものも含まれており
女の子による敵討ちの短編「歳月」も優れておりました
凄い助っ人が出てきたりするかとも思ったが
じっと我慢して、生きるということを描いており
わたくし、こういう世界観大好きであります
裕福だった女の子が一夜にして全てを失い
その仇をとるため生きていく
そして、果たした後の悟り、この流れが
すばらしく爽快に描かれており、うわぁ、と
一人感嘆の声を漏らしておりました
いいなぁ

そして、単行本名にもなった「玉人」も
ステキな恋慕のお話でありました
であった瞬間にこの人を妻とするべきだと思う
この考え方が、宮城谷先生得意というか
私が今まで読んだ小説、全部そうだったんだが
その部分のみをクローズアップしててステキ
ただ、終わりが切なく悲しいあたり
スキっと決まって、読後感さわやかすぎでありましたとさ

また、ボケ入れる隙もなく感想書きましたが
短いながらに読み所が多く
よかったのであります、歴史がどうしたとか
陰謀がどうしたとか些細なことであります
男は、それらを駆使して
妻となるべき人
を慈しむべきなのでありましょうとか

聖人ぶったことを思うのです


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