CLASS3103 三十三組

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【読書】薬草ハンター、世界をゆく

2022-12-07 20:58:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
薬草ハンター、世界をゆく  著:カサンドラ・リア・クウェイヴ

副題にある「義足の女性民族植物学者、新たな薬を求めて」が、すべてをあらわしている
そんな自伝的な本でありました
凄い面白かったというか、ものすごいバイタリティで研究を、生きることをと
精一杯にかけているといった印象なんだけども、
ものすごくハレバレとしていて、でも、とてもとても苦難が多くてと
冒険譚にも近い人生のあれこれを読める本だった

なかなか驚いたというか、わざとなのかわからんが、
伴侶と出会った話、そして連れ合う話のあたりの妙な距離感というか、
ちょっと他人行儀っぽいような言い回しが多くて、
これは翻訳のそれなのか、本当にそう書かれていたのかわからんが、
読んでいて、この人と結ばれないんじゃないか、
あるいは、死んでしまうんじゃないかと、なんか、ハラハラしながら読んでしまったんだが
まったくそういうこともなく、むしろ、彼女を支える理想的すぎる夫といった感じで
この人すごい、いい男だなとほれぼれするような感じだったのが印象的だった
でも、すごいいい旦那だなんて書いてしまうと
ただの惚気話になるから、やめたんだろうか、
わからんが、そもそも主題じゃないからどうでもよいのかもしれない

科学者という生き方の難しさというか、
大変さというのが様々な場面や、ジェンダー、年齢等々の問題で
いかにも前時代的な壁や悪意に立ち会ったりしてしまうのが悲しいけど、
それをなんとか乗り越えていくという素晴らしさがあるんだけど、
本当に大変だったろうと考えるだけで恐ろしい
そして、何よりも、研究費用がないという絶望的な問題への言及が
割と頻繁にというか、後半はほぼその話しかないんじゃないか
すべての問題は、お金がないにつきてしまうんじゃないかと
それくらいあれこれと書かれていて、考えさせられるところであった

学問として異端ととらえられるというのも、よくわかる、
民俗学的なそれと医療という組み合わせが、
どことなくうさん臭さみたいなのにカテゴライズされてしまうという不幸も
なんとなしわからんでもないが、どうしようもないとも言い切れない
夢はあるが、実績が伴うかということに答えられないというか、
そういうことじゃないみたいな、平行線になってしまう主義主張だなと
これまた、この分野が研究費や援助を得るのは
きわめて難しいだろうと推測しやすい環境なのは、
すごく理解できた

書かれていたことは面白かったし、あれもこれもといった感じだったので
一本強い主張はどれだったのかと、判断つきかねるというか、
全部だよと言われてしまう感じなのかと思ったりしつつ読んだわけだが
一言では言い表せない、多方面のあれこれが詰め合わされた一冊だったと思うのである


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