CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】イタリア女子が沼ったジワる日本語

2024-07-29 21:05:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
イタリア女子が沼ったジワる日本語  著:テシ・リッゾーリ

翻訳じゃなくて、自身で書かれているというのが凄い、
完璧な現代日本語使いが見事で、読んでいて感心してしまった
こういう偉そうな物言いで読むのはどうだと、自分でも思うのだが、
言葉の研究をしているということが、
こういうところに発揮されてんじゃないかと思いつつ、
表現のそれこれよりも、言葉選びと、文章の流れの見事さ、
日本語のナチュラルっぽいそれに驚いたのであった

内容としては、自身の半生を語りつつ
日本を、日本語を好きになったという話しをつらつらと書いていて
とりとめのない内容でもあるんだが、旅日記めいた内容としても面白く読めた

やはり良いのは、言語的に不思議という指摘の部分で、
日本語特有の表現やオノマトペへの感激だったり、
推察と研究がさらりと挿し込まれているのがすごく面白かった
「おなら」に関する話しが実に興味深く、
聞いた瞬間に、「なんらかの【なら】なる単語に、丁寧の【お】をつけているな」と、
すぐに気づいていたらしいというのが衝撃的で、
日本人として、そんな由来考えたことも、気づきもしなかったので面白かった
結局調べてみれば「鳴る」の変形であるというところまでたどり着いたらしく
まあ、それが本当かどうかというのはよくわからんところだが、
言語に対する敏感さといったらいいのか、敏い感じがすごく読んでいて面白かったのである

言語から文化、人との付き合い方への波及というか、
色々と考えさせられるところもあるようで、言葉による距離の詰め方とか、
間合いを図るものなんかの指摘が興味深く、
マッチングアプリで出会った人から受け取る「愛している」という単語については、
民族、言語もさることながら、男女差も様々教慮すると
興味深すぎて考え込んでしまった

そのほか、省略がやたら多いところやら、多言語が入り乱れているところなど
学ぶ上では障害になりそうなことが多い言語であるというのが
日本語の面白さでもあるなと思い知らされたのであった
話者である自分ですら、時代に取り残されるとこの言語を使えなくなるんじゃないかと
現代日本語を操る著者に敬意を覚えるばかりであった