CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】平場の月

2019-08-21 21:00:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
平場の月  作:朝倉かすみ

読み終わって、最初に戻る
そんな感じで読むとよいのだろうと思うんだが、
最初に戻る気力がわかなかった
悲しいというか、なんというか、物語が終わってしまったと
読み終えて、悲しさを抱えた読書となりました

他愛のない男女の、それも、歳を食ったというほどでもないが、
やっぱり歳を食っているといえる、50代の男女が、
学生の頃の延長といった気分で過ごし、
少なからず楽しい、名づけるなら思秋期的なそれを謳歌する
そこはかとない悲しさもまとわりつけながら
なんとも、静かな物語が展開していたのであります

地元のツレと偶然であった、病院で
という感じで、そういえばと、かつてのことを思い返しながら
なんだかんだ、よいような、そうでもないような、
一緒にいたいような、そうでもないような
不思議な感覚で、友達とも、恋人とも違うなんて
格好をつけるでもないけど、何か、
どれとも違う関係と名づけつつ凄し、
それは、やっぱり、恋愛というものであったのではと
思わされたりしながら
まぁ、ともかく、繊細な物語だったようにも思うのであります

誰にでも訪れそうな出会いと、感情だったように感じられて、
なんとも、愛おしく読んでしまったのだけども、
その場、その時に、それなりに自分らしく生きていく
その周辺で起きる様々なことと、
そこに彩りとなる出会いなんかがあってと
平たい人生を感じる物語で、
特に強い起伏が発生するわけではないのに、
連綿と、読み続けたくなってしまう物語でありました

ちょっと、文体が私には合わなくて、
結局、どっちの名前が、どれだっけと
登場人物が少ないにも関わらず、
台詞や印象が入れ替わってしまったりするのだけども、
それもまた、味わいというか、どちらかの独白ではない、
平等な描写とも思えば、面白く読めたと思うのでありました

しんみりというか、しっとりした
そんな物語を読み終えたのであります