CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】希望の糸

2019-08-01 21:24:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
希望の糸  作:東野 圭吾

よくまぁ、毎回色々思いつくなぁと感じつつも、
今回のも、こんな設定よく思いついて、それでいて
ちゃんと物語にしてしまうなぁと
感動してしまったのであります
ある悲劇が、様々な動機を招いて、不幸な事件を呼んでしまう
この動機の部分がやっぱり、東野圭吾という作家の
妙があふれているんだろうと
しみじみかみ締めたのでありました
この内容で、ガリレオ先生でも違和感がなかったようにも思うが、
解決する刑事の身の上とリンクするというところが
また秀逸でありました

ネタバレしたくなってしまうが、
なんとなし、こういう要素が入っていそうだなと
予測していたものが、確かに含まれていたけども
それが主軸の部分ではないところに
でも、重要な要素として出てきて
本当、素晴らしい作家さんだとシャッポを脱いだ感じなのでありますが
人間感情というものの方向や、種類というものを
様々にアレンジして見せてくれるのがよいなぁと
感激した次第でありました
やっぱり、トリックがどうしたとか、事件がどのようにというのではなく、
人間がどうしてそうせざるを得なかったかの
動機部分に争点をあてるというのが
面白いミステリの肝なのかもしれんと感じ入ったのでありました

直接的には関係のない、刑事の身の上話が、別の家族との間でも発生しているので、
ちょっとこんがらがってしまうというか、
どの家族が、どの話の当事者だったり、加害者だったりだっけかなと
解らなくなったのは、私の理解力低下のせいだろうと思うものの
そんな入り組んだ話なのに、やっぱり、さらっと読めて
概要が理解できる
というか感動できるというところに、本当、凄いなと
ほれぼれしてしまったのでありました
難しい入り組んだ話を、解りやすく、でも、説明調子ではなく解説しきってしまう
この物語はほどよく脳みそを刺激してくれるし
情動も催すので、なんというか、極上だなとべた褒めしてしまうのでありました

最終的には悲しい事件でもあるけど、
やや救われた感じで終わるのがよろしくて
安心して読み終えることのできた小説でありました