
昨夜、東京ドームにコンサートを観に行ってきたんです。
一瞬たりとも見逃すまい、一音たりとも聞き逃すまい。だって、もしかしたら、最初で最後の彼のライブになるのかも知れないのだから。そう思って、集中~集中~、って言ってたんですけどネ、いざ会場を前にすると、逆になぜだか途端にぶわっが飲みたくなって、一杯、そしてもう一杯
。いい気分でスタンド席に腰を下ろしました。「うわ、やっぱり結構遠いなぁ。発売日にチケット買ったのになぁ。」
「ピアノ・マン」こと、ビリー・ジョエル。おんとし、57歳。11年ぶりの単独来日公演。数年前、「もうライブは引退」とのニュースが入って来たときに「大変なことになった。」とライブDVDを探すも、どこか虚しい思いばかり。それが、急遽復活し、アメリカではマジソンスクエアガーデン12回連続公演という世界記録を作り、そして来日とあっては。行かなくては。行かなくては。会いに、行かなくては。
小学4年の時に継父になった現在の父の影響で、最初は聴くとも無しに耳に入ってきた洋楽。それまでも雨漏りのように生活のそこかしこに少しの「洋楽」はありましたが、この頃、雨漏りどころか、まるで突然天井が抜け落ちたかのように「どば~っ!」と、洋楽の大洗礼を受けたんです。その切っ先となったアーティストの一人が、間違い無く彼、ビリージョエルでした。それまで聴いたことのない、音楽でした。聞きすぎでカセットテープが伸びてふにゃふにゃになったくらい、本当によく聴いたんです
。
昨夜は、見渡せば10代など皆無でして、20代もちらりほらり程度。見事に30~50代が中心の客層でしたから(笑)、照明が落ちてノリノリのロックンロールが聴こえてきても、ほとんど立ち上がることもなく、しかし皆ものすごい笑顔でビリーの曲に聴き入っていました。僕も、出来れば落ち着いてじっくりゆっくり聴きたかったので、これは実にありがたかったです
。って、僕ももう、トシなのかなー(笑)?ねぇ。
それにしてもっ。
「『オネスティ』とか生で聴いたら、泣いちゃうんだろうなー。」と事前に思っていた通り、ビリーがサビを歌うと、やっぱり、ツツー
。
『アレンタウン』という曲では、なんとその曲の入っているアルバムの他の曲「グッドナイト・サイゴン」を思い出して(こんなこともあるんですね)、そしてまた、このあたりの曲を毎日のようにじっと聴いていた(色んな意味で『大変』だった)中学生の頃を思い出して、ツツツー
。
最高のプレイと歌とパフォーマンスで盛り上がったステージも、いよいよ本編が終わり、アンコールへ。本当の最後の最後に「あぁ、これで『ピアノ・マン』なんか歌われた日にゃ、ヤバイぞ。」と思っていたら、その通りに始まった名曲『ピアノ・マン』。もうね、・・・ドーーッ
でした。
いや、ほんまよー泣きましたわ、昨夜は(笑)。って、誰やねん。いや、誰ですか。
彼がどんだけ凄い作詞家で、作曲家で、シンガーで、ピアニストで、驚異的な成功を収めたミュージシャンかなんて、今ここで改めて書くことも無いと思うので(長くなるし(笑))やめますが、つい先日、そんな彼の、「英語でしゃべらナイト」という番組内でのインタビューを偶然地方のホテルで観ることが出来ました。
「これからあなたのように成功したいと思っている若いミュージシャンに、一言アドヴァイスを。」
という問いに、ビリーは、
「『成功』するだけのために何かをする、ということだけは、決してしてはいけない。」
「僕は一度だって成功したいと思ったことはないし、お金が欲しいと思ったことも無いんだ。ただ、いつだって自分の音楽(ミュージック)をより良くしたいとだけ思っていた。ただそれだけなんだ。」
「その時の本当の自分に合った場所で、本当の自分の音楽をちゃんと演っていれば、必ず誰かが見てくれているものだよ。だから、単純に成功したい、大きなところで演りたい、とかじゃなくて、まず自分に合った、そういう場所を見つけたほうが、いいんだ。」
そんなインタビューを見ていたせいでしょうか。ドームの大きなステージに立つ彼の姿が、世界的に大成功した超大金持ちのポップスター、ビリー・ジョエル、じゃなくて、十代の頃から鬱病で入退院を繰り返し、何度も結婚、離婚を繰り返し、現在でもまた精神を病み、アルコール依存症に悩んだりもする、でも、そんな中で一曲一曲、コツコツと曲を書き、詞を書き、歌い続けた小さな(失礼!でも169cmという、アチラの人にしては彼はとても小さい)、一人のダウンタウン生まれの、普通のアメリカ人に見えたんです。ピアノが、そして音楽が大好きな、一人の人生の先輩に。
もし、この世にあなたが居なかったら、こんなちっぽけな僕ですが、その僕は、・・・今こうして、ピアノを弾いていなかったかもしれないんです。ほんとうに感謝してます。
そして昨夜は、素晴らしい歌を、ステージを、ありがとうございました。ビリー、あなたに会えて、本当に良かった。この文章があなたに届くことはないでしょうけれど、僕の気持ち、です
。
というわけで、すっかりいちファンに戻れての、最高の一夜となりました。その後、思わず食べ過ぎちゃいましたよ、もぅ(笑)。って、ビリーのせいじゃ、全然無いんですけどー。
今日から師走ですね。まー何かとバタバタしてくるか思いますが、皆さん、風邪などおひきになりませんよう
。
ではー。ラーララー。