この作品は、早稲田大学在学中に小説家デビューし、第22回小説すばる新人
賞を受賞した朝井リョウの同名小説を、「クヒオ大佐」「腑抜けども、悲しみの愛
を見せろ」で好評だった吉田大八監督が映画化した青春エンターメントです。
ある田舎町の県立高校で映画部に所属する前田涼也(神木隆之介)は、クラス
の中では地味で目立たない存在。彼が監督した作品がコンクールで表彰され
ても、クラスメイトには相手にしてもらえなかったのです。
そんなある日、文武両道の人気者でバレー部のキャプテン桐島が突然部活を
辞めるというニュースが高校中を駆け巡ります。
その事実を知らなかった親友や恋人はショックを受け、部活の仲間どころかあ
まり関係のない映画部にまで余波が広がり、それまで存在していた校内の秩
序が崩壊して行くのでした・・・。
映画部の前田役に神木隆之介、前田があこがれるバトミントン部のカスミを
橋本愛、前田同様に目立たない存在の吹奏楽部員・亜矢を大後寿々花が、
それぞれ高校生役を熱演しているのも収穫の一つです。
高校生を描いた作品はいままで数多くありますが、今回の高校生の言動は
見た者のほとんどが頷ける要素を持っていて注目です。
"桐島が部活やめるってよ"という言葉で学校中が振り回されることになるの
ですが、肝心の"桐島"は最後まで顔を見せない構成での青春群像劇と言え
ましょう。
ただこの新味は既に小説が書かれた時点で生み出されていたもので、それ
に映画がよく付いて行きました。
映画は出だしからタドタドしいスタートで、まるで素人が撮ったような映像で
したが、それも監督の狙いの一つだったのかも知れません。
曜日に沿って物語が進行して行く手法も、いま一つ起承転結が上手くなかっ
たと思います。
とは言うものの新しい青春映画を撮ろうという意欲は大いに認めてやりたい
一作です。
しかし、娯楽映画としては如何かと首をかしげるもので、興行面での成功は
難しいのでは・・・。
(8/13 TOHOシネマズ天神 3日目 10:40の回 13人)
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