ハリウッドで特機(クレーンなど)技術を学んだ軽部進一が、これまでに培っ
た技術や撮影技法を用いて撮った時代劇で、彼の第1回監督作品でもあり
期待して見ました。
江戸時代末期、武士の早坂憲吾(市瀬秀和)は、幕府に背いた罪で佐渡島
へ流されます。
佐渡島でかつて吉原の女郎だったというお雪(西条美咲)と出会い、2人は愛
し合うように・・・。やがてお雪は憲吾の子を身ごもりますが、いずれ憲吾は赦
免されるということを知ったお雪は、ひとりで子を育てる自信がなく、堕胎しよ
うと自らを痛めつけますが・・・。
軽部監督は、世界で初めてとなる特機の使い方をしたいと、今回新しく生み
出した撮影技法“4シーンワンカット”など様ざまな特機技法に挑戦したと述べ
ていますが、まず基本的な脚本・脚本がともに未熟であり、前述の特機によ
る手法も特に効果があったとは思われません。
とにかく物語も酷いが、時代考証なども全く不備で、撮影にいたっては、人物
が出ない場面の方が良く撮れているという有様です。
出演は主演の「ここにいる」の市瀬秀和のほか、竹中直人、竹内力、片岡愛
之助、川野太郎といった面々ですが、監督はこの内の誰一人として上手く使
い切っていません。
こんな程度の作品を劇場に出すなんて、願い下げにして貰いたいものです。