映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「おやじ男優 Z」

2015年07月11日 | 日記

   

     ピンク映画界の巨匠と言われ、既に125本を送り出している池島ゆたか監督が、
     ピンク映画ではなく通常作品と言える作品を自主製作したもので、冴えないオ
     ヤジAV男優3人組と、売れっ子AV女優の奇妙な同居生活を描いたエロティッ
     クコメディです。原作は、「花と蛇」シリーズなどで知られる緊縛師の有末剛が
     同人誌に発表した小説「緊縛亭日常外伝 おやじ男優ズ」です。

     スナック経営に失敗して借金を抱えた上に、妻子にも逃げられてどん底の毎日
     を送っていた52歳の豆田満男は、ひょんなことからAV男優の世界に足を踏み
     入れることになります。
     AV男優の中でも最下層の「汁男優」の仕事を与えられた豆田は、そこでベテラ
     ン汁男優の蜂谷や大前と出会い、一緒に暮らすことになります。そんな彼らの
     もとに突然、人気AV女優ゆりあが現われ、事情があって自分も同居したいと言
     いだして・・・。

     主人公・豆田役には、500本以上のピンク映画出演歴のベテラン俳優なかみつ
     せいじ。グラビアアイドルで女優の坂ノ上朝美がゆりあ役を演じ、大胆なヌード
     にも挑んでいます。

     どんな映画でもそうですが、脚本・監督・俳優の三者が一体化しないといい作
     品にはなりませんが、この作品は小規模だけどとても三者の息が合い、楽しい
     仕上がりだと思います。
     今までこの監督のピンク作品を見ていて、なんと短い尺数の中で、自分の主張
     というか思っていることを上手く纏めていると感心していたのですが、このような
     通常作品、今回は約1時間40分ですが、喜怒哀楽が実に上手く収まっています。

     前述のように三者の息がよく合っているとしか言えないのですが、脚本を担当
     した五代暁子は監督の持ち味をよく呑み込んでいての構成と展開が上手いし、
     俳優では特になかみつせいじの深い演技力を買います。この人はもっと通常
     作品に引っ張り出し、幅の広い演技を見せて欲しいという願望もあります。
     またこの監督は俳優出身でもあることから、演技指導が上手いとの印象を画
     面から見受けますが、坂ノ上朝美が素人に近い演技でも何とかやり抜いたの
     もこの監督ならではです。

     製作費は監督から聞いていますが、実に驚くくらい低額です。いい映画が出来
     るのは製作費だけではなく才覚の問題であることを実感するし、スタッフ・キャス
     トがオールピンク映画関係者と言うのも新鮮で驚きです。
     池島監督がピンク作品以外にももっと乗り出して欲しいと心から思うのは私だ
     けではないと思います。池島ゆたか監督、期待していますよ。
    
         ↑池島監督(右)と私



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