今回登場する久保菜穂子さんは、新東宝出身ですが現代劇は勿論、時代劇で
もなんでもごされという貴重な万能女優さんとして大映にも多く出演しています。
新東宝から大映に来た人は、宇津井健さん、万里昌代さん、久保菜穂子さんと
続きますが、大映でも無くてはならない俳優さんとして活躍しました。
私は撮影所で一回しか会ったことがありませんが、はっきりした性格の女性で、
とても素敵なプロポーションだと感心したことを覚えています。
久保菜穂子さんは東京出身で高校を卒業して昭和27年(1952)に新東宝の第一
期スターレットとして入社、清純な雰囲気と日本人離れした身長163㎝のスタイル
で人気を取りました。
折角人気が出たのに新東宝が経営困難になり、彼女は昭和34年(1959)に新東
宝を退社、東映を経て昭和38年(1963)にはフリーとなって大映作品に出演して
います。
前にも書きましたが、現代物だけではなく時代物までもこなすとても重宝な女優
さんとして、大映では田宮二郎の相手役、勝ちゃんの座頭市、雷ちゃんの眠狂
四郎、江波杏子の女賭博師などに出演、大映での本数は21本の筈です。新東
宝を辞めて東映に入る前に大映配給の「殺されたスチュワーデス 白か黒か」に
主演していますので、合わせると22本になりますか。
昭和45年(1970)引退しましたが暫くしてカムバック、テレビや舞台に出演を続け
ました。
久保菜穂子さんは昭和7年生れですから今年で83歳。彼女の近況はよく判らな
かったのですが、平成25年(2013)に都内で行われた「復活!久保菜穂子のトー
クショー」に、元気な顔を見せたそうですよ。
一昨年の4月、渋谷のシネマヴェーラという映画館で行われた、彼女の特集とトークショー、私も行ったんですよ。
その時は黒のスーツ姿でしたが、現役時代と少しも変わらないスタイルで驚きました。とても80歳とは思えなかったです。
当日は館内も満席で、終了後ロビーでサインにも気軽に応じていただき、大変嬉しい一日となりました。
うっかり失念していましたが、久保さんも新東宝のご出身でしたね。新東宝は、都会的な雰囲気のスターさんが多かったように思います。大映での久保さんというと、眠狂四郎で演じていた「びるぜん志摩」が印象に残っています。それから、テレビの特撮もので「マイティジャック」にも出演されていて、戦闘服で戦闘機の操縦などもされていました。悪役もヒロインも特撮もこなせる、非常に器用な女優さんですね。「猛虎」様、サインをいただいたとは羨ましい限りです。
私はどんな役でもこなせる人こそ俳優と言えると思っていますので、
久保菜穂子さんはまさしくこれに沿った女優さんです。
一昨年のイベントでの久保さんの様子を伺い、お元気だったそうで、
こちらまで嬉しい気分になります。
組合問題で、当時の東宝の精鋭たちが一斉に飛び出して作ったのが
新東宝ですから、いま思えば凄い顔ぶれでした。
私もそんな時期に新東宝で、ほんの少しですが走り使いをしていて
懐かしい思い出が一杯あります。
中島様の新東宝時代というと、大蔵社長が就任されたころの前でしょうか、後でしょうか。大蔵社長以前ですと、「細雪」が一番のお気に入りです。田崎潤さんが、その後の役柄とは違う役を演じていらっしゃいましたね。新東宝と大映の「細雪」では、芦屋川(でしたか?)の氾濫シーンを特撮で見せてくれましたが、後の市川監督の東宝版「細雪」では、東宝であるにもかかわらずそこのシーンはスルーでしたね。個人的には、「細雪」は大映版がベストだと思います。
新東宝の「細雪」私がいた頃です。他には「銀座かんかん娘」や「三百六十五夜」
なんかもやっていましたよ。
従って大蔵社長時代はずーっと後になります。
私も「細雪」は大映作品が良かったと思っている一人です。
美人とは思いませんが、大人の女を感じる女優さんでしたね。
私も好きな女優さんの一人です。
新東宝からからは万里昌代さんも大映に入りましたが、この人も素敵でした。
Un grand merci a cette actrice, a qui je rend hommage.
この人は新東宝から大映に移籍してきた人ですが、独特の個性・雰囲気を
持っている素敵な女優さんでした。よく覚えていて下さり、私まで嬉しくなりました。