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中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

大映宣伝部・番外編の番外 (72) 浦辺粂子さん

2015年07月13日 | 日記

      

  

 

     今回はもともと大映所属なのに、芸熱心と人柄の良さから邦画各社に万遍なく
     出演していた有名「おばあちゃま」浦辺粂子さんです。1902年生れですから生き
     ていれば、あり得ないけど113歳という計算になります。

     静岡県下田市の出身で、女学生時代から芸能界に憧れ、家出までして芸能界
     入りし初心を貫いたそうです。それでも中々芽が出ず、あちらこちらの舞台一座
     などで苦労し、後に溝口健二監督の奥さんになった嵯峨千枝子と親しくなった
     ことなどなどで映画への道にどんどん近づいて行ったのです。

     1923年頃に知人に勧められて日活の試験を受け、ついに映画入りを果たします。
     でも当てがわれる役は通行人に毛が生えた程度の役ばかりでしたが、本人の
     頑張りもあって、段々と演技の上手い俳優として認められるようになります。
     それから結婚しますがすぐに離婚してしまったりに加えて、日活→入江プロ→
     新興キネマし移ります。1930年代の前半に新興キネマが大映に吸収され、それ
     以後は大映が倒産するまで所属は大映になるのです。

     一番頭に書いたように、五社協定もなんのその各社に出演しまくっていますが、
     黒沢明、小津安二郎、成瀬己喜男、溝口健二らの名匠作品に無くてはならない
     存在として活躍したことは特筆すべきことでしよう。
     そんな訳ですから各社にそれぞれ約20~30本くらい出ていて、大映では「稲妻」
     「雁」「あにいもうと」「赤線地帯」「細雪」「浮草」「破戒」などが特に印象に残る作
     品です。

     大映倒産後も各社の作品に出るほか、テレビでも活躍の場を増やしています。
     大映時代もその後もそうですが、このユニークなお婆ちゃんは歌手デビューも果
     したり、競輪と麻雀、それに手品が玄人はだしで、テレビのバラエティ番組などで
     よくやっていたのを覚えています。
     1986年に渋谷の自宅でお湯を沸かそうとコンロに火をつけたその火が和服の袂
     に引火して全身に大火傷を負い、治療もむなしく翌日に火傷による多臓器不全
     で亡くなりました。
     享年87歳。生前に紫綬褒章、第一回山路ふみ子映画功労賞を受賞しています。

          



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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
中島様 (タム親父)
2015-07-13 11:08:35
こんにちは。
おばあちゃん役といえば浦部さん、という漢字ですよね。大映作品では、「ああ海軍」の露口茂さんの母親役が、戦争の現状をあまりよく知らない銃後の代表、といった雰囲気を出していたと思います。他社作品でもよくお見かけしますが、先日スカパーで放送された東宝のクレージー映画で、東宝には同じようなキャラクターの千石規子さんがいるにもかかわらず、わざわざ大映から参加されているのが目につきました。やはりあの浦辺さん独特の「間」というか、「間のはずし方」というか、その演技力は余人をもって代えがたいということでしょうか。
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TBSラジオ (ヒラヤマ)
2015-07-13 12:46:07
TBSラジオ12時40分「大映回顧録」の案内を大沢悠里さん西村知江子さんが紹介しています!

もちろん私は買って読みました!
返信する
Unknown (なおちゃん)
2015-07-14 00:32:24
中島けんさま
おひさしぶりです。
けんさんの本、楽しく読んでいます。
(上田寛さんの出てくる・・あのお富士さん事件は
何回も読んでしまいます。。笑)
現在、自分が不安定な中で・・(笑)、ふっと笑える
ひとときが、けんさんの本だったりします。
けんさんの本を買って・・・
けんさんが、今もすごい方で・・
私が簡単に愚痴や冗談を書いてはいけないような、
話をしてはいけないような方だったのだな・・・と。。
本を読みながら、、ふっと考えて・・
軽々しくブログに書き込んだ自分を責めています。笑
また、そんな私にいろいろと優しくコメントくださり
改めてまた、、すごい方だと感謝しております。

浦辺粂子さんは、私が若いころは
ドラマにバラエティーにバンバン(笑)
出演されていました。
片岡鶴太郎さんがよく浦辺さんの
ものまねをしていたのを覚えています。笑
女優さんなのに、返しの難しいバラエティーも
こなすというのは、すごい女優さんです・・







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こんにちわ。 (中島けん)
2015-07-14 14:44:29
タム親父さん

このおばあちゃまこそユニークな人と言えると思います。
生い立ちも芸歴も、そして亡くなった事故まで含めて、一大読み物です。
まだ暫く活躍が出来たでしょうに、本当に気の毒な最後でした。
私もそうですが、あの独特の声はいつまでも忘れられません。
返信する
有難うございます。 (中島けん)
2015-07-14 14:48:32
ヒラヤマさん

ご連絡有難うございました。
ヒラヤマ様は私の知人にお三方いますが、ひょっとするともと大映の平山さんですか?
本を買って頂いた由、重ねて有難うございますです。
返信する
お元気そうで何よりです。 (中島けん)
2015-07-14 14:55:58
なおちゃん

本当にお久しぶりです。大変なことが続いたと伺っていたので心配して
いましたが、少しは落ち着いたのですね。

ところで何回も言いますが、私は本当に普通の人ですから、どうか特別扱いに
しないでいただきたい、もっと気楽にお付き合いください、お願いします。

浦辺粂子さんは偉大な女優さんでした。あんなことが無ければ、金さん銀さん
以上に長生きして、映画やテレビに出ていたかも知れませんね。
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やっと届きました。 (千葉 こてつ)
2015-07-14 20:02:20
お久しぶりです。
 ネットで注文しましたが、手違いで遅めに今日、
中島さんの本がやっと届きました。
 やはり、渥美マリさんのところから読み初めました。
即読みはもったいない気がして、ゆっくり時間をかけて
読んでいきます。 私は、ラストタンゴインパリという映画がいろんなグッヅをもってるくらい好きで、その主演している方が、本に載ってて嬉しかったです。
  又、後ほどお邪魔させて頂きます。

返信する
こんばんわ。 (中島けん)
2015-07-14 22:56:52
千葉 こてつさん

本を買って頂き、有難うございます。とても嬉しいです。
ブログでも本も渥美マリに随分スペースを取っています。それだけ私としても思い出の
ある女優さんということです。

マーロン・ブロンドのファンなのですね、私も大好きな俳優さんの一人です。
どうか読み終わられたら、忌憚のないご意見を伺いたいものです。
返信する
Unknown (ジゼル)
2016-04-15 09:50:56
初めまして。
浦辺さんの名前を見つけ、
コメントさせていただきました。
大好きな女優さんです。
最近「私は二歳」を見たばかりで
印象が強く残っています。
やっぱりとてもいい味がありますね。
「坊ちゃん」でのばあやも
とても温かみがあって好きです。

私の亡き母にどことなく面影が
似ていて余計慕わしい気持ちになります。実は私の母も大映(京都)に所属していました。
大部屋で端役が多かったですが
何本か、ほんの少しですが
セリフをもらったりもしました。
古い大映の映画を見ると母が
後ろのほうに映っていたりして
それを見つけるのもまた、楽しみです。
返信する
こんばんわ。 (中島けん)
2016-04-16 20:31:20
ジゼルさん

お立寄りいただきとても嬉しいです。
お母様とのお話も感激です。ご迷惑をお掛けすることは絶対にありませんから、
もし良かったらお母様の芸名をお教え下さい。
浦辺さんはユニークな女優さんでしたね。

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