一昨年の年末に江波杏子さんの訃報が飛び込んできて驚きました。大映で最初の頃は個性的な役
柄が多く、主演作品はなかった彼女でしたが、若尾文子がやるはずだった「女賭博師」が、色々
な事情で彼女に回り、一躍脚光を浴びることになりました。
大映関係者の中でも、彼女は変わった子だという人も居りますが、私は撮影所でもよく会ってい
て、旅も一緒にしたし、キャンペーンなども幾度となくやり、物事をはっきり言う活発な人とい
う印象が強い彼女です。
演技も本数を重ねるごとに上手くなって行ったし、大映末期に九州のキャバレーでやった「女賭
博師ショー」で、彼女が舞台で転んだ時も、顔色一つ変えずに演じ切ったのを目前に見て、彼女の
根性に感動したのも思い出の一つです。この当時の年賀状は彼女の自筆のものですが、実にいい
字を書くなと感心したものでした。