下積み時代に「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」シリーズでスーツアクターを務
めた経験のある唐沢寿明が主演、「太秦ライムライト」に続く撮影所の裏話であ
り、期待して見た作品です。
下落合ヒーローアクションクラブの社長にして、その道25年のスーツアクターで
ある本城渉(唐沢寿明)は、いつか自分の名前と顔を出して映画に出演すること
を夢見ています。
そして数年ぶりにヒーロー映画に出演する機会を、どたん場で新人俳優のリョウ
(福士蒼汰)に奪われてしまうのです。当初はリョウと対立しますが、徐々に理解
する二人でした。
そんな中、日本で撮影中のハリウッド大作で、落下して炎にまみれながらノーカ
ットで殺陣を繰り出すクライマックスに出演する予定だった外国人俳優が、恐れ
をなして降板。慌てたスタッフは、本城の評判を聞き付けて彼に白羽の矢が立ち
ます・・・。
監督は「EDEN」「モンゴル野球青春記」などの武正晴。キャストは唐沢寿明、福
士蒼汰に加えて、黒谷友香、寺島進、草野イニ、小出恵介、和久井映見らが共
演です。
会社こそ違いますが私も映画人の端くれなので、この手の作品にあまり良くない
感想を述べるのは嫌なのですが、正直言って全体的に中途半端で無駄な挿話
が多く退屈します。それに「太秦ライムライト」もそうでしたが、今回も撮影所の描
き方がチープです。
私たちは大監督がいて大スターがいる厳粛な撮影現場を見て、感激し憧れたも
のです。この作品に出てくる監督は私たちには考えられない虚匠です。このよう
な作品を見て俺も監督になりたいなんて思う人は居ないと思います。それだけで
もこの作品は失敗であり、これで客が呼べると思っているのでしょうか。一番いけ
ないのは脚本と演出でしょう。