映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

永田雅一氏のこと、その6

2011年06月24日 | 日記

        
           ↑左から田宮二郎・永田秀雅副社長・私

     本日は谷村新司が試みているキャラバン方式のライブ"ココロの学校"にご招待を受け
     て行って参りました。
     ユニークで感動的なライブでしたので改めてご紹介したいと思っています。
     今日は初めから"永田雅一"氏のことを書くつもりだったのでお許しください。

     ここ暫く大映や永田社長のことを書いています。
     今さらそんな事に興味はないと思われる方もおられるでしようが、私の大事な思い出
     でもありますので、次回は「羅生門」を製作した前後の事情とかを、書きますので併
     せてお付き合いください。


     昭和30年前後は、当時の社会情勢からどこでも就職が厳しく中々思うようにならなか
     った時代でもありました。
     私は大映に少しばかりコネもあって比較的簡単に入りましたが、普通だと入社はとて
     も困難なことでした。その頃入ってくるのは政財界や映画人の子弟がほとんどだった
     ように記憶しています。そんな子弟の入社でさえ永田社長の入社に対する考え方は、
     とても厳しい指摘をしていました。
     永田社長の考え方を、ご本人が書かれた本の中から抜粋します・・

     単に映画が面白いから、好きだからと言って来る人がある。好きのみでは映画会社に
     は勤まらない。自分の一生を託し、自分の青春を捧げ尽くして、これを生涯の仕事場
     とする所の機構内容が如何になっているか、会社の歴史、会社を運営する重役幹部の
     性質まで調査研究して、自分の性格能力と自分の希望が会社の実体にマッチすること
     が判明したとき初めて申込みをなすべきである。
     就職とは、会社が必要とする能力を提供して、その報酬としての対価を受ける契約関
     係を結ぶことである。就職希望者は、まず自分が会社の欲する能力・知識め経験を有
     する人物であることを会社に認識せしめることが最も重大である。

     これには先ず履歴書の書き方である。履歴書は単に字の上手下手を判定するのでなく
     自分の今までの歴史の大略を表明すると共に、その人の就職に対する態度がこれに明
     示されていなければならない。私は履歴書を見てこれを書いた人の性・能力・注意力
     ・創意工夫を判定する。
     履歴書の書き出し、字の配置、字画の厳正、略字誤字の有無、認印の押し方にまで気
     を配る必要がある。「一葉の履歴書に汝の運命かかりて存す」という感がする。
     字は下手でも、一生懸命、一字一画丁寧に、字配りよく書かれているものは、実に美
     的感覚さえ起さしめる。投げやりな履歴書はそれを見ただけで不採用にする。

     次は面接であるる。
     人に接するには常に身体・服装を清潔端正にして、会う人をして悪感情を起さしめざ
     ることが必要である。身体の中に包蔵する能力が如何に大なるものであるかは使って
     見なければ判らないが、見た目の不愉快な者はその能力を発揮するチャンスが与えら
     れる前にはねられることになる。

     ここからが問題である。一二度の面接でその人の全人格・全能力がわかる筈はない。
     そのために最も自分を良く知ってくれている先輩知己より会社へ紹介を願うこと、
     また折にふれて会社を訪問する必要もある。そんな場合に気持よい挙措進退が出来る
     者こそ入社の資格があると言える。
     内剛外柔は常に心の中は期する所があって、しかも表面温順なる者を私は採用する。

     今こういった考え方はどの程度理解され通じるかは判りませんが、少なくとも大映は
     そうであったし、それによって更に同志的な結びつきが助長されていたのも事実です。
     しかし昭和40年代の大映はかなり社員の出入りが激しくなり、社長の思う通りになら
     なかった事も事実です。
     私は良き時代の大映に運よく入り、良さと面白さに加えて、苦しみも味わうという貴重
     な経験をしたことになります。(続く)

  
   ↑若かりし玉緒ちゃんと私          ↑気心が合った藤村のお志保ちゃん

  
   ↑麻雀友達もあった田宮夫人・藤由紀子   ↑熱心に仕事に励む山本のお富士さんと私

           
コメント (2)
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