映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「小川の辺 (ほとり)」

2011年05月10日 | 日記

        

     藤沢周平の作品は「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「蝉しぐれ」
     「武士の一分」「山桜」「花のあと」「必死剣鳥刺し」と映画化され
     てきましたが、ファンから是非映画化をと要望されていたものに「小
     川の辺」がありました。
     この原作には義と情の狭間で揺れ動きながらも、その運命に静かに
     立ち向かう主人公たちの姿が真摯に描かれていたからです。

     海坂藩士戌井朔之助(東山紀之)、その妹・田鶴(菊地凛子)、戌井家
     に仕える若党・新蔵(勝地涼)はひとつ屋根の下で兄弟のように育った
     三人でしたが、妹は兄の親友・佐久間森衛(片岡愛之助)に嫁ぎ、事情
     があって脱藩したことから兄が妹婿を追って斬る羽目になるのです。
     そうした過酷な運命は彼らを藩から遠く離れた下総の小川の辺へと導
     いて行くのでした。
     無垢だった絆が切り裂かれようとした時、三人が選んだ道とは・・・。

     上記のように、映画化したらきっと格調ある時代劇になるであろうと思
     わしめる原作であり、監督の篠原哲雄と主演の東山は前作「山桜」で
     コンビを組んだ間柄、「山桜」は中々いい出来だったので期待して見
     ました。

     全体的に真面目に撮っているのは評価しますが、いくつか苦言を呈す
     るなら、脚本の練り込みが不足していることで途中の展開が物足りな
     いし、菊地凛子がここではミスキャストで全体に響いていますし、妹が
     結婚前にお互い好意を持っていた若党役の勝地涼も、演技に深みが
     出せず足を引っ張っています。

     本格時代劇を多くのファンが望んでいるので、このスタッフ・キャスト
     も意気込みを見せているものの、満足するには緻密さが少しばかり足
     りない残念な一作です。



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