Yoshi Veggie & Salon de Topinambour

自然な暮らしとナチュラルフード、地球の多様な食文化を愛する、旅する植物料理研究家YOSHIのつれづれ

南インド旅日記2

2015-03-07 | Asia&Cambodia
南インド旅日記1はこちら



インドといえばスパイス。
スパイス交易で栄えたコチ。インド商工省・香辛料局の本部があるのは、ここケララ州コチ!
数年前に日本でインドのスパイスプロモーションの仕事を一緒にして以来、スパイスのことではなにかとやりとりを続けてきた、ディレクターのタンピ博士を訪問。
若いスタッフ4人と連れ立って食堂に降り、和気あいあいとミールスのランチ。
タンピ博士は、陽気で、仕事には情熱的で、局の皆から慕われているのもうなずける。



ミールスは、南インド特有の野菜のプレート。ごはんも、煮込みスープのサンバルも、食べたい分だけおかわりできる。
右手だけでエレガントに食べるのには、慣れがいる。私も練習中。食後にベタベタになった指、これどうしたらいいのとしゃぶって見せたら、ネトゥ女史に笑われた、子供の頃はそうしていたけどね。
おいしい指、って新鮮な感覚。日本の食事のなかじゃ、味わうことはない。
それにしてもあんなに指を第2関節まで上手に駆使して食べていたのに、皆の指はそう汚れてない。大人のエレガントな食べ終え方のあたり、もう少し研究と観察が必要だな。



ケララ州の旅。コチからさらに南下して、トリヴァンドラムを目指す。今回の旅のもう一つの目的地。
コチのエルナクラム駅から列車に乗ること5時間あまりの移動になる。座席に座ってすぐにお尻が痛くなるペコペコのシートを確保した。
列車内には食べ物屋さんが頻繁に回ってくる。
ビリヤニビリヤニ、チャイチャイチャイ、コヒコヒコヒ、と声を出しながら車両を移動販売する。
スナックを売り歩く男の人を呼び止めて、カゴのなかを見せてもらう。ワダだ。ワダは、米と豆をペーストにし、発酵させて揚げた団子。ふわっとした食感は、お豆腐屋さんのおからドーナッツの甘くない版ってところかな。ココナッツのチャトネがかかっている。チャイ屋も呼び止めて、軽い昼食にする。

日も暮れた頃、トリヴァンドラムの駅からオートリクシャーで30分ほど、コヴァーラムビーチに到着。オートリクシャーに案内されたホテルに荷を解く。
このまちではインドでの残り少ない日々を心底、くつろぎの時間にしたい。シンプルでいい、光が入る部屋がいい。海が見えるならなおいい。
明日、あらためて宿探し。



アーユルヴェーダ

この町への滞在者は、ほとんどが落ち着いた年代のヨーロッパ人。
ビーチ沿いにはカフェレストランや土産物屋。でも他のいろんな町で体験してきたほど売り込みがはげしくない。受け入れる側にも落ち着きと余裕がある。

ケララは、インドの伝統医療であるアーユルヴェーダ、発祥の地。
今回インドに飛ぼうと思ったのは、このアーユルヴェーダを体験するためだった。私の身近に、アーユルヴェーダのトリートメントを受けるために、毎年この町を訪れている人たちがいる。
私の体が冷え切っていたあるとき、南へ、というお告げがきた。
アーユルヴェーダ常連、青木さんにふとケララのことを聞いてみた。彼は、滞在型アーユルヴェーダ・リゾートの庭から見えるコヴァーラムの青い海、青い空、ヤシの木の風景写真をメールで送ってくれた。
なんていう癒しの青、そして癒しの輝き!写真の向こうで違う時間が流れている。
写真を何度も眺めながら、私のインド旅が勝手に始まっていた。常連の皆と話をしているうち、なんとかなるな、の図ができあがった。航空券とビザはある。

彼らが通っているところなら、間違いなく最高のトリートメントを体験できるだろう。そのリゾートは毎朝医師の問診があり、それに合わせたトリートメントプログラムがあり、薬を処方され、一人ひとり体の状態に合わせた内容の3度の食事が出される。
トリートメントは、本来なら最低2週間、または1ヶ月間かけて行う。私の場合、1週間はおろか、受けられるのはせいぜい4日間だ。
コチを出る前に、同宿で親しくなったドイツ人がコヴァーラムの友人を紹介してくれていたので、電話をかけて相談する。
限られた日程なら本格的なトリートメントは求めないほうがいい。今回はリラクゼーションのつもりでホテルから近いところに気軽に通ったらどう、というアドバイス。そして評判が高いセンターをいくつか教わった。

そのひとつは、本当にホテルのすぐ裏手にあって、5分ほどで行けるところにあった。
庭の手入れが行き届いている。
レンガづくりの建物内に入ると、若い女性の医師2人と、背の高いドクターがいた。受けに来ているのは中高年の白人女性ばかり。聞こえてくるのは、ほとんどがロシア語だった。
3人の医師は、一人ひとりと話をし、体を触り、その日のトリートメント内容を決め、担当の施述者に指示を出している。
実のところ、ここ数年体を酷使してきたツケが回って、あちこちにガタがきている。体の冷えもそこから来ている。4日間とはいえこっちは本気、アーユルヴェーダに期待大なのだ。
2週間から1ヶ月間のトリートメントの只中にある人たちの中に混じって、相談をすると、問診となり、なんとか私のために4日間のプログラムを組んでくれることになった。

暗い個室に案内される。昼間なので、レンガを組んだ壁の隙間からくる自然光だけだ。真っ裸になれという。
あたたかい薬用オイルを頭にたっぷり。寝そべってさらにたっぷり。足を使って、全身をくまなくマッサージ。
隣の部屋に移動し、木の寝台に乗ると、ミルクと薬草をブレンドした湯でさらにトリートメント。
最後に有名なシロダーラ、額にあたたかな油がかかると、1分後にはもう記憶がない。気持ちよすぎるのに、なんてもったいない。
大まかにはこういう順番だけど、実際、毎回トリートメントの方法が違う。

トリートメントが終わると、煎じ薬と錠剤が処方され、飲み方の指示を受ける。センターの中で、調合して煎じて作っているようだ。煎じ薬の色は西洋医学からみたら魔女の処方みたいに怪しげ。一度で飲む量が多い。
インドのスパイスには日頃から料理のなかで親しんできたし、主なスパイス名ならヒンズー語で言える。
だけど、スパイスのみならず薬草、ハーブを駆使するアーユルヴェーダ。もっと深い。
煎じ薬は、飲みやすいとは言いづらいけれど、そのなかに親しみのあるスパイスや、未知の植物の香りが詰まっている。ワンダーランド・インドの扉が、またひとつ開かれた!


*これはお薬ではなく、美味しいグレープスムージー、マサラ入り!! ケララ産のぶどうをつかっているという。

2日目、変化があった。虫刺されと日光で敏感になった肌が湿疹を起こしてしまった。おまけに、朝のヨガで呼吸練習中に、めまいを起こした。
問診時ドクターに言うと、プログラムが変わった。今日はピュリフィケーション(浄化)をする、と言う。トリートメントの後、あたたかいミルクにひまし油(と思われる)が混ぜられたステンレスカップを渡されて・・・。
1時間後(夕方)、ドクターが言うとおり、それはきた。おお、それが浄化、という意味ね。
そこから一晩中、トイレと私は文字通り友だちに。水を買い足して、飲めば飲んだだけ、すぐに出て行く。
実際その日お腹のなかにはほとんど食べ物が入っていなかったので、出てくるのはほとんど水。

日が昇って、バルコニーに出た。どうやら、長い夜が終わったらしい。脱力感。
薬剤師から渡されていたおかゆを食べ、その後海辺のカフェに行ってチャイを頼む。

午後には、気分がとても軽くなっていた。
翌日は、トリートメント最終日。湿疹も治まっていき、体調もすっかりよくなっていた。
毎朝教わったヨガも大きく関係しているのがわかる。



おっし、私、ケララで浄化した!
(このような短い日程では、通常はピュリフィケーションはやらない)
翌朝、ヨガをやった後、コヴァーラムの最後の食事にフルーツサラダを食べ、滞在中にできた友人と青い海を眺めながら、語り、笑い合い、ホテルに戻り急いで荷造りをして空港に向かった。

トリヴァンドラム国際空港のパスポートコントロールで、係官から「次はいつくるのか?」と質問された。
手続き上必要な質問事項かと一瞬思ったけど、そういうわけではない。
とってもいい質問だ。「今すぐ戻りたい、できたら今年中にもう一度」ととっさに答える。

今回のインドは、ケララは、なんだか、素直にやさしかった。
そして、インドが誇る奥深い宝物をいっぱい見せてもらえたなあ。それらのすべてに心身魂ともに浄化されたような軽快感。
日本に向かいながら、日本に着いてからも、係官の「次はいつくるの?」の質問と、私の答えを時折、反すうした。

私も、コヴァーラムの常連者になるような気がしている。
そうだな、まずは今年の11月頃にまた戻ろう。

今度は、みんなと一緒にアーユルヴェーダを体験したり、海のきらめきを眺めたり、おいしいものをシェアしたり、ヨガや瞑想ができたら、最高だな。
一緒に行くことになるグッドカルマのみなさん、予定を空けて、準備しておいてね。

訂正:浄化に使われたのは、ひまし油ではなく、ギー(澄ましバター)のようです。





南インド旅日記1はこちら

最新の画像もっと見る