九州地方が、梅雨入りしたという。ついこの前まで、最高の季節だったのに。
ブッダシリーズ最終版。
インドから、始まって、シルクロードを経て、中国、台湾、日本まで、話は、及ぶ。
インドの部分で、興味深いのは、仏像の紀元についての考察だろう。
ガンダーラで、仏像は、作られ始めたと言われ、それは、ギリシャ人がもたらしたヘレニズムの影響だというイメージがあるが、本書では、仏像を作られ始めた時代、まだギリシャの影響はまだそう大きくなかったという。
マトゥラーで、ほぼ同時に仏像が作られ始めたことの説明もできない。
当時、インド北部では、異民族の侵入が相次いでおり、救いを求める気持ちの高まりから、仏教が起こって500年も経ってから、仏像が作られ始めたのではないかと本書はいう。
そして、カニシカ王で有名な、クシャーン王国時代、色即是空の大乗仏教が生まれ、シルクロードを経て、中国、日本に伝えられた。
台湾の龍山寺を訪れた時、その信仰心の強さに感心した話や、不思議なお寺であったお話を書いたように思う。
観音菩薩と、媽祖と、関羽が祀られ、韋駄天や、十八羅漢もいる。
それら全てが同じお寺で、喧嘩もせずに祀られており、祈る人は、分け隔てなく、お祈りを奉げているように見える。
台湾の人々の多くが、仏教徒であり、儒教徒であり、道教徒であるとすらいえるのかもしれない。華僑信仰という分野と捉えた方が正しいかも。
横浜の中華街の華人の方々もたぶん同じだ。シンガポールの華人も。
ということで、本シリーズは、亜細亜の宗教の実態を俯瞰する観点からも、ひじょうに有意義なプロジェクトだったと思う。