「スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が14日に発表した報告書によれば、2013年の世界全体の軍事支出は前年比1.9%減(2004年度比は26%増)の総額1兆7470億㌦(約178兆円)でした。 欧米が関連予算を削減した一方、中国やロシアが大幅に伸長しました」 【しんぶん赤旗】16日付は、ストックホルム国際平和研究所の「報告書」の内容を報道しました。 以下、記事の内容を紹介します。
「報告書によれば、支出額が最大だったのは前年に引き続き米国で6400億㌦(全体の37%)。 これは同国前年比で7.8%の減額となりますが2位以下10位までの合計額に匹敵し、10年前と比べ12%増となります。 同国のGDP(国内総生産)に占める軍事費の割合は4%弱で、この10年ほど変わっていきません」
「2位は中国で1880億㌦、3位はロシア878億㌦です。 両国の順位は前年と変わりないものの、中国は前年度比で7.4%、ロシアは同4.8%の伸びを示しました。 GDPに占める割合は、中国で2%、ロシアで4.1%となり、米、中、ロの上位3カ国だけで世界の軍事費支出の半分以上を占めます。 (中国とロシアの軍事費についてはSIPRIの推計)」
「4位以下は、サウジアラビア(670億㌦)、フランス(612億㌦)、英国(579億ドル)、ドイツ(488億ドル)、日本(486億㌦)、インド(474億㌦)、韓国(339億㌦)の順。 サウジは前年の7位から急浮上、486億㌦支出した日本は前年の5位から8位に下落しています」
「世界全体の軍事費支出額は同GDPの2.4%を占め、上位15カ国の支出額(1兆4080億㌦)は全体の80.6%を占めています」
同記事の「表」によると、中国の軍事費の伸び率は、2004年~20013年比で170%、ロシアは同108%、サウジは118%となっています。米国のGDP比は3.8%(13年)となっています。
こうした状況から言えることは、まず、米国の軍事費の巨大さです。 その米国がいま、アフガン、イラク戦争で行き詰まり軍事費の削減を迫られる事態となっています。 しかし、オバマ大統領が、「われわれが指導性を担ってこそ世界はよりよい場所となる」と宣言しているように、軍事的覇権主義への固執をやめたわけではないことは、在日米軍の強化、日米共同軍事作戦体制確立への様々な動向をみれば明らかです。
そして、中国の急速な軍事費の拡大です。 この軍事費の拡大路線が、周辺国、アジア、世界にどういう影響を及ぼすのか、注視していかなければならないと思います。
日本共産党第26回党大会決議は、「社会主義をめざす国ぐに」の資本主義国との対比の問題で「国際活動で覇権主義を許さない世界秩序の確立にどれだけ真剣に取り組んでいるか」を指摘しました。
また、率直に「覇権主義や大国主義が再現される危険もありうるだろう。 そうした大きな誤りを犯すなら、社会主義への道から決定的に踏み外す危険すらあるだろう。 私たちは、”社会主義をめざす国くに”が、旧ソ連のような致命的な誤りを、絶対に再現させないことを願っている」と強調しました。
その際、「覇権主義という点でいえば、レーニンが、勝利したソビエト・ロシアが周辺諸国との関係で大国主義的な態度に陥ることを、どんなにきびしく戒めたかも、想起されなければならない重要な問題である」