安倍首相は26日の衆院本会議で、次のように述べました。 「日米同盟を強化する。 それにより抑止力が高まれば、日本が攻撃を受けるリスクは一層下がると考えています。 自衛隊が活動する場所や近傍で戦闘行為が発生した場合などには、ただちに活動を一時中止、または、中断するなどして安全を確保することとしています。 もちろん、それでもリスクは残ります。 しかし、それはあくまでも国民の命と平和な暮らしを守り抜くために自衛隊員に負ってもらうものであります」
その上で、安倍首相は、「法整備により得られる国全体、国民のリスクが下がる効果は非常に大きいと考えており、整備を行うべきと考えている」と説明しました。
第1の問題は、自衛隊員は日本国民の一員であることです。 志位委員長は国会質疑で、イラク戦争の当時、首相官邸で自衛隊派兵の中心を担った柳沢元内閣官房副長官補が「必ず戦死者が出る」と断言していることを紹介しました。 また、アフガン・イラク帰還自衛官の自殺者の実態を質問し、防衛省は、陸・海・空自衛官合わせて、54名であることを明らかにしました。 陸自の場合は、2004年~2006年に派兵された約5600人のうち21人、267人に1人にのぼっています。 志位氏は、「戦争で真っ先に犠牲にされるのは未来ある若者です。 若者を戦場に送るわけにはいかない」と厳しく指摘しました。(27日)
第2の問題、自衛隊員のこうした犠牲が、「国民の命と平和な暮らしを守る」ことになるのでしょうか。 この「法整備=戦争法案」の最大の目的は、「究極のアメリカ従属の政府が集団的自衛権を発動し、アメリカとともに海外での戦争に踏み出す国家体制をつくること」にあります。 志位氏は、アメリカのベトナム、イラク侵略戦争に対す日本政府の主権国家の政府としては考えられない異常な対応を明らかにした上で、「米国の無法な戦争に、自衛隊が武力をもって参戦することになります。 日本が侵略国の仲間入りをすることになるわけでありまして、その危険性ははかりしれないといわなければなりません」
「政府が『平和安全法制』の名で持ち出してきた法案は、武力の行使を禁止し、戦力の保持を禁止した憲法9条を幾重にも踏みにじる違憲立法である」であると指摘しました。
4月27日に合意された、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」は、「目的」として、「平時から緊急事態までのいかなる状況においても日本の平和及び安全を確保するため、また、アジア太平洋地域及びこれを超えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるよう、日米両国間の安全保障及び防衛協力は、次の事項を強調する」として、第1項に、「切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応」を挙げています。 「日本の平和と安全」を掲げていますが、日米安全保障条約上は当然のことですが、目的は後段にあることは明らかではないでしょうか。
平和憲法を破壊し、戦争する国の「リスク」はかり知れません。
第3の問題は、米軍の指揮下のもとで、世界中のどこの地域の戦争にも自衛隊が派兵されるこになれば、その派兵費用はどんな巨額のもになるのでしょうか。 すでに15年度の軍事費は5兆円を超えています。 その一方で、社会保障関連予算は消費税が増税された中で3900億円削減されています。 オスプレイ17機の購入予算だけでも3600億円と報道されています。 大型艦船の建造、最新鋭戦闘機F35の購入、水陸両用車の導入、日本版海兵隊の創設、サイバー対策、軍事衛星網増強。 陸・海・空・宇宙に至るまで軍事費の大増強がすでにはじまっています。 この道の先に、「国全体、国民のリスクが下る」日本が見えてくるでしょうか。
第4に、教育や文化・スポーツの分野のリスクも重大なものになるでしょう。