安倍首相は22日、第196回通常国会(会期:1月22日~6月20日までの150日間)開会にあたり、施政方針演説を行いました。
安倍首相は同演説で、昨年7月国連で採択された核兵器の使用や保有を法的に禁止じる核兵器禁止条約に関して一切言及しませんでした。 唯一の戦争被爆国の首相として、また、昨年10月臨時国会では、所信表明さえせず、解散を強行した首相として、当然、核兵器禁止条約への安倍政権の対応を報告し、見解を述べることは国民に対する極めて重要な責任ではないでしょうか。
安倍首相は、「総理就任から5年、これまで76カ国・地域を訪問し、600回の首脳会談を行い、世界の平和と繁栄に貢献するとともに、積極果敢に国益を追求してまいりました」と語りました。 安倍首相は、核兵器禁止条約に核兵器保有国や米国と軍事同盟を結んでいる国々と共同して、人類の緊急かつ最重要課題である核兵器禁止・廃絶に反対したことが、「世界の平和と繁栄への貢献」「国益の追求」だということでしょうか。
そうであるならば、安倍首相は、正真正銘の核戦争推進者であり、戦争被爆国の首相として最も不適任な首相であり、直ちに辞任にあたえすると言わざるを得ません。
安倍首相は、日米同盟について、「我が国の外交・安全保障の基軸は、これまでも、これからも日米同盟」であり、「自衛隊は初めて、米艦艇と航空機の防護の任務」を行ったことを挙げ、日米同盟の「絆を強くする」「間違いなく、かつてないほど強固なもの」と誇らしげに語りました。
安倍首相が、「電話会談を含めて20回を超える首脳会談」したと自慢するトランプ米大統領の外交・安全保障政策とはどんな内容でしょうか。 日本共産党の志位和夫委員長は、4日の「党旗びらきのあいさつ」で次のように語りました。
「第2次世界大戦後、アメリカは、政治・外交・経済などあらゆる面で、『米国主導の国際秩序』をつくってきた」「それは覇権主義的な世界支配を目的にしたものでしたが、ともかくも米国は彼らなりの『国際秩序』を主道してきた」
「トランプ大統領が『アメリカ・ファースト』のスローガンのもとで投げ捨てつつあるのは、こうした『米国主導の国際秩序』に対する『責任』そのもです。 トランプ政権は、国連で核兵器禁止条約が採択され、世界が核兵器廃絶へと大きく動きだしたその時に、この動きを激しく妨害し、オバマ政権時代にはともかくも掲げた『核兵器のない世界』という目標を放棄し、核戦力の強化を公言しています」
「世界はいま、核兵器禁止条約に象徴されるように、『大国中心』の世界が過去のものになっただけでなく、トランプ大統領のもとで、『米国主導の国際秩序』がくずれつつあるいう、大変動の最中にある」と強調しました。
19日付「しんぶん赤旗」3面に、ウィスコンシン大学・アルフレッド・マッコイ教授(歴史学者)のインタビュ―記事が掲載されました。 「終わる米国の時代」「理性失う指導者の危険警告」です。 同教授は次のように語っています。
「世界における米国の力が弱まり、指導者の質が落ち、理性が失われるーこうしたことを考慮するならば、北朝鮮に対しての軍事的行動の可能性があります。 トランプ政権が大胆な行動を行うことはありえるのです」
「冷戦終結を受け、米国は世界において単独のスーパーパワーとして現れました。 世界の歴史上、最も強力な帝国の出現です」
「第2次世界大戦後、米国は、世界において50%の経済力を誇っていました。 1960年代に40%になり、現在は20%です。 最近の世界の動向をみると、ドイツや豪州では、もはや米国の時代は終わったとの見方、議論がさかんになっています。 これが米国の同盟の基軸である諸国での動きです」
「中国の台頭、米国の経済的な力の低下、その他いくつかのシナリオを想定した今後を予測すれば、2030年までには米国の時代は終わりを告げます」
「過去70年間、米国の同盟国であった諸国は今後、『米国後の世界』への適応という現実に直面します。 急速な世界秩序の変革のなかで、日本も立ち位置を独自に変更することを余儀なくされます」
志位委員長は、さきの「あいさつ」のなかで、「トランプ大統領のやることは、それがどんなに無法なものであっても、無理無体なものであっても、決して批判しない。 これが安倍首相の『大方針』ですが、こんな首脳は世界に2人といません」
憲法前文、9条をいかした自主的、自立的な日本外交こそが、日本と国民の最大の安全の保障ではないでしょうか。 また、国際社会、人類に対する日本の責任でもあるのではないでしょうか。
明日の志位委員長の代表質問に注目し、期待しています。