宮応かつゆきの日本改革ブログ

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元駐韓大使 小倉和夫さん 「しんぶん赤旗」で「日中、日韓関係、打開」について語る

2014年04月19日 | 安全保障関連

 駐韓大使、駐仏大使などを務めた小倉和夫さんが、「しんぶん赤旗」で日中、日韓関係の打開について語っています。 大変参考になる発言だと思いました。 要旨を紹介させていただきます。

 「日中、日韓の関係で、今のような状況が生じている背景をどう考えるか。 私は、『経深政浅』『勢変政遅』という2つの新語を提示したいと思います。 日中、日韓ともに投資、貿易だけでなく、観光や教育、文化交流はこの10年来、非常に深まっています。 一方で、政治が浅い。 環境問題をはじめ、先行している実態を制度化するルールづくりが進んでいません。 これが『経深政浅』です」

 「さらに、中国の台頭や韓国の経済発展、そして米国の相対的な力関係の変化など、東アジアでは今、力関係、勢力関係が非常に変化、複雑化しています。 これにたいして政治が対応しきれていない。 『勢変政遅』です」

 小倉さんはこう語った後、次のように指摘しています。

 「なぜこうした状況になるのか。 やはり日本、中国、韓国の3カ国が政治的価値観を共有していないという点が指摘できます。 中国や韓国は植民地支配を打ち破って新しい国づくりを進めてきました。 ですから、侵略や植民地支配を許さないという価値観を、植民地支配をすすめてきた側の日本が果たして共有してくれるか、という思いがある。 一方、日本側には、民主、人権、平等といった価値観を中国、韓国はどこまで共有できるのか、という思いがある。 東アジアで起きている大きな変化の下で、パワーバランスが微妙なときに、価値観を共有していれば、ここまで摩擦が表立つことはないはずです」

 小倉さんは、この問題を打開する上ための重要な提言をしています。

 「では、政治的価値観を共有するためにどうるればいいのでしょうか。 今、歴史認識の問題が日中、日韓の関係改善を図る上での大きな溝になっています。 ここをどう乗り越えるのか。そのことを考える上で、植民地支配とはなにかをよく考えなければいけない。 『植民地支配も経済的な繁栄を与えたし、近代化のためにも良かった面があったじゃないか』という一部の日本人の主張にたいし、『経済発展に役立ったとか、役立っていないとかという問題ではなくて、最終的な問題点は、人間の自由がじゅうりんされたところにある』と韓国の有識者が反論しています。 私はこの反論は正しいと思います」

「しかし、よく考えるべき点は人権じゅうりんされたのは、朝鮮半島での話だけではなかったということです。 日本でも、治安維持法下の政治の下、多くの人々が、自由を奪われ、表現の自由を制限され、人権をじゅうりんされました。 歴史をきちんと見るとき、この問題は植民地支配であると同時に権力によって、人権、自由、民主主義がいかに侵されたか。 どうやって人権、自由、民主主義を守るのかという問題になります。 『慰安婦』の問題でも同様です」

 「こうした次元に立って、お互いに教訓を導きだせば、日本、中国、韓国の3カ国は、歴史認識の溝を乗り越えて、政治的価値観を共有することができるのだと思います」

 日本共産党は、先の党大会で、中国、韓国を含む北東アジア平和協力構想を提唱しました。 この提唱のなかで次の項目を上げています。

 「北東アジアで友好と協力を発展させるうえで、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台となる。 日本軍『慰安婦』問題など未解決の問題をすみやかに解決するとともに、歴史を偽造する逆流の台頭を許さない」

 安倍政権の外交の行き詰まりの根本に、小倉さんの指摘がることはあきらかではないでしょうか。 同時に打開の見通しも見えてきているのではないでしょうか。