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焦土から

 昨年末に近所のふとん店が全焼したことは記事にした。国道沿いの店舗兼住宅が激しく燃えたものだから消火に手間取り、半日国道の通行が禁止になってしまった。そのため至るところ迂回する車であふれ、どの道をどう選んでもものすごい渋滞で、塾から出るにも戻るにも難渋を極めたのを鮮明に覚えている。幸いなことにふとん店の家族にケガはなかったが、消火されたあともしばらくはくすぶり続けていたし、車で近くを通るだけでも焦げた臭いがいつまでも残っていた。正月を目前にした日の突然の出来事に私でさえ呆然としてしまったのだから、焼け出されたふとん店の家族はさぞや仰天したことだろう。仮の住まいで正月を迎えた戸惑いは幾ばくであっただろう、と私の周りでも火事のことが話題になるたびに、ふとん屋さんの悲劇に心を痛めたものだった・・。

 あれから、9ヶ月になろうとするこの頃、やっとふとん屋さんの家が再建されることとなった。火事の原因となった、道路工事業者との補償交渉が続いていると噂では聞いていたが、果たしてどういう形で結論が出たのだろうか。ふとん屋さんもなかなかのやり手だという話なので、自分の納得いく形でしか印をつかないだろうから、こうやって工事が始まったということは、それなりに満足のいく結論が出たのであろう。だが、そんな内情のことは私のような部外者には関係のないことだから、まずは建物が再建されたことを素直に祝福したいと思う。

 

 バスで通りかかったときに慌てて撮った写真だから、全容はよくわからない。国道から斜めに入った道のちょうど角に建てられていたふとん店の再建ではあるが、詳しい事情を知らない私では、これが住居なのかふとん工場なのか、または倉庫なのか、まったく分からない。ただ空爆を受けた戦地のように焦土と化した土地が再生されるのは嬉しいかぎりだ。だが、そんな気持ちとは裏腹に、少しばかり困ったことがないわけではない。それは・・、

 

 火事の後片付けが終わり、更地になって半年以上も経ったが、私のように毎日何度もこの川沿いの道路を通る人間にしてみれば、その半年間はずいぶん見通しがよくなって、国道に出るのもずいぶん楽だった。火事の前はふとん店の建物が邪魔をして、国道の車の様子がずいぶん見にくかったのと比べると雲泥の差があった。それなのに、ふとん店が再建されると、また家が建つと見通しがかなり悪くなり、国道に出るのも一苦労になってしまうのではないか、そんな心配をし始めてしまった。もちろん土地の所有者が、土地をどのように使おうがそれはその人の勝手だから、何も文句を言えた筋合いではないが、この場所以外にもいくつも土地を所有していると言われているふとん店だけに、できればこの地は更地のままににしておいて違う所に建ててくれればよかったのに、どうしても思ってしまう。

 自分が身勝手なのは十分承知しているつもりだが、それでもこうした愚痴をもらしてしまうのも仕方なく思ってしまう・・、そんなことがきっかけで「ご近所トラブル」というものは発生するのかもしれないな、などと今はちょっとした発見をしたような気がしている。
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