復興かき

　バレンタインデーに「復興かき」が届いた。
　これは「三陸牡蠣復興支援プロジェクト」の「復興かきオーナー制度」に申し込んだ妻に送られてきたものだ。

「復興かきオーナーの皆様、ご支援をいただきまして誠にありがとうございます。
プロジェクトスタッフ一同、心より御礼申し上げます。
オーナーの皆様のご支援と生産者さんのご努力で復興かきをお届けできるようになりました。
ぜひ、生産者さんの思いを受けとめていただきながらご賞味いただけますと幸いです」

という詞書きと共に、復興かき２０個（宮城県産　生食用殻付き牡蠣）が発泡スチロールの箱に入っていた。「生産者さんからのお礼の寄せ書き」も添えられていて、一つ一つ読んでいると胸が熱くなってきた。復興のために、ほとんど何もしていない私が図々しくもかきを食べてもいいのか、という思いも募ってきたが、懸命にここまで育てたかきを送って下さったのだから、感謝の気持ちを抱きながら、いただくことにした。




　妻のかきを、妻に殻から取り出してもらって、偉そうに食べるのはちょっと気が引けたが、一つ口に入れた瞬間、口の中に広がった潮のかおりにすべてを忘れてしまった。大ぶりの身がプリプリしていて、噛むとじゅわっとエキスが広がる。「おいしい！！」それしか言葉が出てこず、妻が取りだしてくれるかきを次から次へとむさぼり食べた。１０個くらいを間髪入れず食べ続けた気がする・・。本当においしかった・・。

　復興かきのことは妻から何度も聞いていたが、こんなにおいしいかきを出荷できるようになったのだから、プロジェクトは直実に実を結びつつあるように思える。だが、これはまだ端緒に過ぎないだろう。本格的な復興に向けて、私も微力ながら協力できることがあればして行きたいと、心を新たにした。