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2000!!

 松井秀喜が日米通算2000本安打を達成した。日本で1390本のヒットを重ねてきたから、メジャーで610本目のヒットが通算2000本目になった計算になる。これが果たしてどういう意味合いを持つのかよく分からない。日本でのヒット1本とメジャーでのヒット1本では重みが違う。松井がヤンキース入団後に歩んで来た足跡をたどれば、メジャーでのヒット1本がどれだけの努力と苦労の積み重ねの結果であったのかがよく分かる。だから単純に2000本と数えるのには私自身はすごく抵抗がある。日本での1390本も松井の流した汗の結晶ではあるだろうが、メジャーの610本のほうが重みがあるように思えて仕方がない。 
 しかし、松井自身はそうした数字には大した意味合いをおいていないようだ。普段の松井の言動からすれば当然のことであるが、通算2000本安打もさほどの感慨はもたらさなかったようだ。

「すごい数字だとは思うけど、特にないなあ。これを目指してやってきたわけではないから、特別な感じはないです。引退間際でこれを目標にしていたりしたらまた違うんだろうけど」

確かにふらふらになりながらも名球会入りだけのために現役にしがみつきやっとのことで2000本安打を達成した選手も何人かいる。彼らのそうした姿も野球人として1つの見本であるのかもしれないが、松井は違う。まだまだ現役を何年も続けて行って前人未到の記録をいくつも成し遂げていかなければならない男だ。こんな2000本くらいで大きな仕事を成し遂げたような感想をもらしてもらっては困る。ましてや、今はヤンキースが苦境に陥って浮上しようと必死にもがいているところだ。これくらいの記録で大騒ぎしている暇はない。そういう意味では、変なヒット(最初は左翼手のエラーと発表された)であっても、この騒動にさっさと終止符を打てたのはよかった。
 ネットを見ていたら、「次の目標は」などという馬鹿げた質問をしていた記事を見つけた。聞くまでもない質問をなぜ改めてするのか、記者の真意が分からない。そんなの「ワールドシリーズ制覇」に決まってるじゃないか!だが、ナイスガイ松井は丁寧に答えている。

「個人的に何本打ちたいとか考えていない。その時その時で何かの数字が近づいてくるかもしれないけど、あまりそういうことを意識せずに毎日いいプレーができるようにしていきたい」
「いいところで打つ。試合を決める一打ならなおいい。この球をこう打ちたいという技術的なことはあるにはあるけど、形じゃない。試合を決める一打なら、どんなバッティングでも納得のヒット。どんなに格好悪くても、ボテボテでも試合を決める一打ならいいんじゃないかな」

 ヤンキース入団後、05年のホワイトソックス・井口、06年のカージナルス・田口と連続してワールドシリーズ制覇の夢は先を越されてしまった。去年の骨折を克服し、今年こそはと臨んだ今シーズンも太もも肉離れで思うようなスタートが切れなかった。チームも低迷し、苦しいことばかりだったが、この日思わぬ朗報がもたらされた。「ロケット」ことロジャークレメンスがヤンキースに復帰することが、クレメンス自身の口から明らかにされたのだ。44歳とは言え、まだまだ衰えぬ力を持った豪腕の復帰は満員のヤンキースタジアムに大きな歓声で祝福された。先発投手陣の崩壊で失点を重ねてきたチームにとって、かつての大黒柱が復帰するのはワールドシリーズ制覇に向けて大きな助けとなることだろう。 
 松井ファンとして2000本安打は喜ぶべきことではあるが、松井の悲願達成のためには、クレメンス復帰の方が何倍も意味あるニュースであると思う。 
 でも、「松井、2000本安打達成おめでとう!!」
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