goo

つれない

 昨日は、妻の妹の家族と、鱒釣り場に出かけた。ここは、昨年の8月29日に「大漁」という題名で紹介した場所であり、それから8ヶ月ぶりに訪れたことになるが、昨日の釣り場は実に閑散としてもの寂しい雰囲気が漂っていた。かなり山の中にあるため、知る人ぞ知るといった穴場ではあるが、あまりに人がいないとやはり寂しいものである。市街地は桜など散ってしまったが、さすがにここまでくるとまだ花の残っている木もあって、風に吹かれた花びらがひらひらと舞い落ちてくる。それがまたえも言われぬ寂しさを誘う

 

とは言っても、まったく釣れない。いつもなら練り餌をつけた釣り糸を水の中に投げ入れれば瞬時に鱒が寄ってきて、竿をくいっと上げるだけで釣れるのに、今日は当たりさえない。しかもいつもに増して流れ来る水に勢いがあるため、水面が波うってじっと見ていても魚影が見にくい。魚の群れがいるところに針を投げ入れさえすればつれる、という感覚でいる私にはなんともイライラが募る状態である。30分ほど頑張ってみたのだが、まったく釣れない。もう何十回となく来たことがある釣り場なのだが、こんなことは初めてだ。わずかにいる他の客たちもまったく釣れず、ぶつぶつ不満を言っている。妻は、甥っ子の持ってきたNintenndo DS に夢中になっているから、全くそんなことに頓着していない。私は、元来が忍耐力の欠けた人間であるため、面白くなくて仕方がない。甥っ子と一緒になって、頑張っていたものの一向に釣れない。こりゃだめだと思い、網ですくってもらうしかないなと思い始めた瞬間にどういうわけだか、私の竿に大きな鱒がヒットした。おお、これはなんとしても釣り上げねばならぬと必死の思いで、かなりの手ごたえを感じながらも、なんとか無事釣り上げることができた。思わず、「やった!」と甥っ子とハイタッチしてしまったが、久しぶりに胸のすく思いがした。
 

この調子で、どんどん釣れるかと思ったのだが、昨日ばかりはそうは問屋が卸さなかった。どれだけ頑張っても、一匹も釣れない。もうこれ以上粘っても仕方ないやとあきらめて、釣り場の人に網ですくってもらうことにした。それでも、なかなかすくい上げることができずに、結局かなりの大型の物ではあるが、3匹だけすくうことができ、私の釣った一匹と合わせて料理してもらうことにした。普段なら、小中合わせて20匹近く釣り上げるのに、こんなにも釣れなかったのは前代未聞のことであった。息子はこの釣り場では、圧倒的な釣果を誇る名人であるが、昨日は友人と学習会を開くとかいう理由で参加しなかった。息子がいれば・・と、妻や義妹はさかんに嘆いていたが、受験生たる者おいそれとは遊ぶ気にはなれないのだろう。仕方がない。
 釣った魚の数は少ないが、一匹一匹が大振りのものばかりなので、1匹を刺身、2匹をフライ、もう1匹を塩焼きにしてもらうことにした。どれもがおいしいが、その中でもフライが香ばしくてうまいと絶賛する人が多い。普段なら塩焼きをメインに一人一匹ずつ食べられるのだが、昨日の場合は望むべくもなかった。それでも、塩焼きを皆でつついてもかなり食べられたのには驚いた。本当に大きかったんだろう。薪でおこした火で、ざっと塩を全体にまぶした野趣あふれる焼き具合は、何度食べてもおいしい。丸ごと一匹食べられなかったのは、返す返すも悔しいが、こんな日もあるさとあきらめなければならないだろう。

 
 
 久しぶりに会った甥っ子は、今年で小学3年生になる。小学校入学の時には、「かえるになりたい」と宇宙人のようなことを言っていた子が、今月から中学受験のための勉強を始めたという。家が近かったら勉強など私がみてやるものを、私の家から車で1時間半ほどかかる名古屋のはずれに住んでいるから仕方がない。いざと言うときは、いくらでも相談にのってやるから、「頑張れよ」と励ましてやった。
 しかし、母親の反対を押し切って、DSのゲームソフトをネット注文してしまった私という伯父は、はたして彼の目にはどんな存在に映っているのだろうか・・・
 

コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする