JF4CADの運用日誌2.5

アマチュア無線局JF4CADの活動内容紹介ブログです。

JALのMSJ(旧MRJ)導入計画の破棄が明らかに

2022-07-22 | シャック便り
日本ではあまり報じられていませんが、日本航空(JAL)のレゲット幹部がロイターの取材に対し語った内容が興味深いものになっています(Japan Airlines eyes replacement of 767s, regional jets, executive says)。

2022年6月21日付のロイターの記事で、要約すると
・老朽化したボーンイング767とリージョナルジェット機の後継機を今後1~2年内に決める
・ボーイング767の後継機候補はボーイング787またはエアバスA321neo
・リージョナル機後継機候補はエアバスA220またはエンブラエルE2ジェット
・いずれの機種になろうとも効率的な運用が可能だろう
というものです。


[767の後継はどうなるか]
現在JALグループは767を31機保有しています。順次787に更新していますが、787は構造上の不具合から2021年前半に納入停止となり納入再開は今年後半とされています。しかも納入再開時期は当初の発表から遅れており、果たして今年後半に再開されるかも不明です。このためA321neoを検討せざるを得ない模様です。

恐らく787の納入再開を待って発注する、状況が深刻ならA321neoにするという姿勢だと思われます。なおJALの767の一部は787の納入遅延により代わりとして購入した767の最終ロットですのでまだ10年あまりの機齢ですから当面使えそうです。


[リージョナル機の後継はどうなるか]
現在JALグループはリージョナル機としてエンブラエルE170を18機、E190を14機保有しています。

本来JALグループの次期リージョナル機は三菱のスペースジェト(MSJ:旧MRJ)であり、2015年に購入契約を結んでいます。2021年から納入される予定でしたが、ご存知の通りMSJは全く納入されておらず、開発自体も中断されています。後継機を「A220またはE2ジェットから検討する」ということはMSJの導入を既に断念したことを示唆したことになります。MSJの購入契約破棄は両社から公表されていませんが、「もはやJALのMSJは可能性がなくなった」と考えていいと思います。伊丹空港の17番と18番搭乗口の間のロビーにMSJのモデルプレーンがありますが、幻のJAL塗装のこのモデルは早晩撤去されそうですね。

A220とE2ジェットのどちらになるかですが、JALの別の幹部が「1社偏重はリスクが大きい」としており、エアバスへの偏重を避けることができ、現行のE170/190と同じ資格で操縦できる、整備現場も受け入れやすいエンブラエルE2が本命とみられます。E190-E2は既に商業運航が始まっていますが、E170の後継となるE175-E2の就航が2027年以降となるため、この動きを見極めていると考えられます。


[鍵を握るもう一つの後継機]
JALにはもう1機種置き換えの検討が必要な機材があります。小型機のボーイング737です。この件については7/1にブルームバーグが報じており、737MAXまたはA320neoで検討していると報じています。

しかしながら737MAXは機材が原因の墜落事故を立て続けに起こし、日本では飛行禁止となったままです。海外でも737MAXの信頼性に疑問を持つ航空会社が少なくなく、A320neoで置き換えられる可能性が高そうです。このため「1社偏重はしない」と考えれば787とE2が候補で、787の納入見込みがつかないのであればA321neoとなりそうです。

ボーイングは大型機の777Xも開発中断となっており、まともに納入できる機材がない状態です。A350を買って正解だったと言えます。とはいえエアバス偏重になるとこれまたリスクがあるため、中型機の置き換えは737後継機の動向と絡んでくることになります。


いずれもなぜか日本ではほとんど報じられていないのですが、非常に興味深い内容だと思います。MSJについても失敗の可能性を見込んだ計画を立てていたことからJALの機材計画には余裕がありますが、機材計画がことごとく裏目に出ている全日空は今後が心配されます。
コメント
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