JF4CADの運用日誌2.5

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岩手・花巻御朱印&風景印巡り①

2021-08-03 | 御朱印めぐり
岩手県花巻市で御朱印と風景印巡りをしてきました。

花巻市は岩田県中部内陸にある中堅都市で人口は約9.4万人。盛岡藩にとっては南の伊達氏との国境を守る要衝で、支藩と花巻城を置いて南の守りとしていました。今や花巻と言えば大谷翔平選手を輩出した花巻東高校で有名ですが、児童文学作家の宮沢賢治の故郷としても知られています。

宮沢賢治は1896年に花巻の商家に生まれ、1918年に盛岡農林学校(現在の岩手大学農学部)を卒業、1921年に岩手県立花巻農学校の教師となっています。その傍らで詩集や童話集を発刊していますが生前はほとんど売れず、生前に得た原稿料は僅か5円だったと言われています。

1926年には農学校を退職し「羅須地人協会」を設立、農業や肥料の講習の傍らでレコード鑑賞会を開くなどしていました。ただこの当時の東北は農業技術の発達遅れや冷害の頻発で農民の生活が不安定だったようです。「羅須地人協会」の建物は賢治の死後に宮沢家の手を離れましたが、移築先が後年偶然にも農学校の後身である岩手県立花巻農業高校の校地となり、高校が管理する形で保存されています(現在は新型コロナウイルスの影響で見学不可)。しかしながら肺を病み、1933年9月21日に37歳でこの世を去っています。

賢治は生涯独身であったため死後に原稿は弟の清六さんに託され、詩人の草野心平らが遺稿を整理し出版、「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」などの作品が世に知られることになります。清六さんは後年賢治の原稿を花巻市に寄贈、現在は市立の宮沢賢治記念館が所蔵しています。その後も2001年に97歳で亡くなるまで賢治作品の校訂に携わっており、清六さんのお孫さんが花巻市内でカフェ兼グッズ販売を行っています。


まずは宮沢賢治記念館へ。花巻駅から岩手県交通の土沢線というバスがあります(賢治記念館口下車)。平日8.5往復、土休日は4往復です。土沢線は新花巻駅を経由しますので新花巻駅からもアプローチ可能ですし、新花巻からはタクシーでもすぐの距離です。

花巻市では土沢線維持のため賢治記念館口で下車すると記念館をはじめ周囲の博物館などがその日全て無料になるカードを発行しています(降車時に運転士からもらえます)。バスの本数が少ないので帰り時間を考えながら見て回るとよいと思います。

こちらが宮沢賢治記念館です。清六さんから託された賢治の原稿や同人誌、書簡などが展示されています。

花巻市博物館なども見て回っているといい具合に帰りのバスの時間となりました。上町バス停で下車、東北本線のガード下をくぐります。

少し歩くと花巻藤沢町郵便局があります。花巻市内ではほとんどの郵便局で風景印が配備されています。

花巻藤沢町郵便局の風景印です。銀河鉄道の夜と重文の阿弥陀如来像です。


さらに暑い中を進むと鼬幣稲荷神社があります。「いたちべいいなりじんじゃ」と読むそうです。

1681年に南部重信が創建しています。賢治と親交のあった英文学者で元高知大学長の阿部孝さんはこちらの神主を代々務める阿部家の出身だそうです。

立派なご神木があります。雷の被害に遭いてっぺんは切り落としたもののまだまだ元気なのだそうです。社務所に神主さんがいらっしゃったので御朱印を頂けました。

鼬幣稲荷神社の御朱印です。


次は身照寺です。元々は南部政光が1394年に八戸に創建した日蓮宗のお寺です。

政光は日蓮を身延に招いた南部実長の末裔で、南朝側について奥州に下り土着しています。身照寺は1591年に焼失し廃寺となりますが、政光の子孫にあたる身延山鏡円坊の日実が再建を発願、これに応えた賢治の叔父である宮沢恒治らが花巻の現寺地を寄進し、1928年に再建が叶いました。その後1946年に正式に身照寺を名乗ります。

宮沢家は元々浄土真宗でしたが、賢治は青年時代に法華経に触れその教えに傾倒、以後亡くなるまで国柱会(日蓮を宗祖とする在家信者団体)の活動に共鳴していたとされています。賢治の創作の中には(我々が法華経を読んでも分かりませんが)法華経の世界が反映されているのだそうです。宮沢家も1951年に浄土真宗から日蓮宗に改宗し、賢治を含め一族の墓所も身照寺にあります。

上人がいらっしゃったので御首題をお願いすると快く引き受けてもらいました。「賢治さんのお墓にお参りしてはどうですか」とのことで線香をあげてきました。

いろいろ話を聞くと、花巻近辺は曹洞宗や浄土真宗が圧倒的に強く、日蓮宗は非常に少ないそうです。とりわけ日蓮が阿弥陀信仰を強く否定したため「改宗すると村八分になったケースもあった」とのこと(浄土宗・浄土真宗と日蓮宗はともに下級武士や庶民を主な布教相手としていたためライバル同士となったのは確かです)。「(日蓮宗の信徒が多い)千葉とか鎌倉とか岡山ではあり得ない話でしょうが」と話されていました。

身照寺の御首題です。身照寺ではオリジナル御朱印帳(御首題帳)を用意しています。

裏面は「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という賢治の言葉が入っています。普段はオリジナル御朱印帳を買わないのですがこちらの御首題帳は見事ですので買い求めました。


長くなってきましたのでこの辺で。御朱印情報は最後にまとめてご紹介します。
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