○「歴史読本」編集部編『若狭・敦賀 歴史読本』 中経出版 2013.10
小浜に秘仏探訪に行って一泊した。翌朝は、早いバスで京都に向かうことになり、街の中にコンビニがなかったので、駅の売店でパンとコーヒーを買って朝食にした。そのとき、レジ台に置かれていたこの本を見つけたのである。しばらく迷ったが、朝食と一緒に買ってしまった。952円。全頁カラー、A5判のハンディサイズである。
表紙には「読む・見る・歩く おとなのための街歩きガイドブック」とあり、背表紙には小さく「別冊・歴史読本2号(38巻5号/857号)」と記されている。「歴史読本」といえば、いかにもドラマや小説で安直に歴史を学ぶことが好きな中高年サラリーマンの愛読雑誌、という偏見を持っていたが、こんなこじゃれた街歩き本の別冊シリーズを出しているとは知らなかった。「会津」「横須賀」「呉・江田島」「出雲国」「熊本」などの既刊本があるようだが、「御所(ごぜ)歴史読本」は、マニアすぎて笑ってしまった。私は欲しいけど。
『若狭・敦賀』編であるが、まず「祈りの旅路 若狭の名仏を訪ねる」の巻頭特集がうれしい。16寺20件をカラー写真で紹介。昨年と今年のバスツアーで拝観できた仏像もあるし、まだ見ぬ秘仏も掲載されている。東博の『大神社展』においでになっていた、神宮寺の男神・女神坐像の御姿も。「なぜ若狭にすぐれた仏像が伝わったのか」の寄稿は、若狭歴史民俗資料館の芝田寿朗館長である。若狭歴史博物館(仮称)2014年夏、リニューアルオープンの記事もあり。でも今年(平成25年)の「みほとけの里 若狭の秘仏」特別公開とバスツアーの日程を掲載しているのは、時期的に意味があったのかな。奥付には、9月12日印刷・10月12日発行とあるのだが。
私の小浜に対する関心は主に仏像にあるが、城跡紹介も面白く読んだ。(松前藩につながる)若狭武田氏の本拠は、小浜湾に面した後瀬山城なのか。石垣や堀がよく保存されているそうだ。そして、昨年、法事の最中で拝見できなかった栖雲寺が若狭武田氏の菩提寺なのだな。伝統芸能と祭りの紹介も面白い。赤い鼻高面を被って舞う「王の舞」、見たいなあ。舞楽の「散手」「貴徳」など鉾を使う一人舞が変化したものと考えられている。美浜町・若狭町の神社で4~5月に行われるそうだ。敦賀市立博物館長の外岡慎一郎館長の「若狭・敦賀の歴史を読む」も、簡潔にまとまっていて、ありがたい。
読みものとして面白いだけでなく、実際の街歩きガイドブックとしてもポイントが高いと思う。一般の「観光」ガイドでは、まず無視されるであろう寺社や資料館、史跡などを丹念に拾って紹介してくれている。必ず写真付きで、住所とアクセス方法も記載。旅の楽しみ、グルメ・レストラン・お土産ガイドが付いているのも嬉しい。福井出身の五木ひろしさん、大和田伸也さん、高橋愛さんのインタビューと朝ドラ「ちりとてちん」の記事もあり。目配りが広い。
また来年の秘仏ツアーまで、本書を座右において過ごそう。
小浜に秘仏探訪に行って一泊した。翌朝は、早いバスで京都に向かうことになり、街の中にコンビニがなかったので、駅の売店でパンとコーヒーを買って朝食にした。そのとき、レジ台に置かれていたこの本を見つけたのである。しばらく迷ったが、朝食と一緒に買ってしまった。952円。全頁カラー、A5判のハンディサイズである。
表紙には「読む・見る・歩く おとなのための街歩きガイドブック」とあり、背表紙には小さく「別冊・歴史読本2号(38巻5号/857号)」と記されている。「歴史読本」といえば、いかにもドラマや小説で安直に歴史を学ぶことが好きな中高年サラリーマンの愛読雑誌、という偏見を持っていたが、こんなこじゃれた街歩き本の別冊シリーズを出しているとは知らなかった。「会津」「横須賀」「呉・江田島」「出雲国」「熊本」などの既刊本があるようだが、「御所(ごぜ)歴史読本」は、マニアすぎて笑ってしまった。私は欲しいけど。
『若狭・敦賀』編であるが、まず「祈りの旅路 若狭の名仏を訪ねる」の巻頭特集がうれしい。16寺20件をカラー写真で紹介。昨年と今年のバスツアーで拝観できた仏像もあるし、まだ見ぬ秘仏も掲載されている。東博の『大神社展』においでになっていた、神宮寺の男神・女神坐像の御姿も。「なぜ若狭にすぐれた仏像が伝わったのか」の寄稿は、若狭歴史民俗資料館の芝田寿朗館長である。若狭歴史博物館(仮称)2014年夏、リニューアルオープンの記事もあり。でも今年(平成25年)の「みほとけの里 若狭の秘仏」特別公開とバスツアーの日程を掲載しているのは、時期的に意味があったのかな。奥付には、9月12日印刷・10月12日発行とあるのだが。
私の小浜に対する関心は主に仏像にあるが、城跡紹介も面白く読んだ。(松前藩につながる)若狭武田氏の本拠は、小浜湾に面した後瀬山城なのか。石垣や堀がよく保存されているそうだ。そして、昨年、法事の最中で拝見できなかった栖雲寺が若狭武田氏の菩提寺なのだな。伝統芸能と祭りの紹介も面白い。赤い鼻高面を被って舞う「王の舞」、見たいなあ。舞楽の「散手」「貴徳」など鉾を使う一人舞が変化したものと考えられている。美浜町・若狭町の神社で4~5月に行われるそうだ。敦賀市立博物館長の外岡慎一郎館長の「若狭・敦賀の歴史を読む」も、簡潔にまとまっていて、ありがたい。
読みものとして面白いだけでなく、実際の街歩きガイドブックとしてもポイントが高いと思う。一般の「観光」ガイドでは、まず無視されるであろう寺社や資料館、史跡などを丹念に拾って紹介してくれている。必ず写真付きで、住所とアクセス方法も記載。旅の楽しみ、グルメ・レストラン・お土産ガイドが付いているのも嬉しい。福井出身の五木ひろしさん、大和田伸也さん、高橋愛さんのインタビューと朝ドラ「ちりとてちん」の記事もあり。目配りが広い。
また来年の秘仏ツアーまで、本書を座右において過ごそう。